2 / 6
2.アクレイの弟子
しおりを挟む
私は異世界へ突然、転移してしまい、わけも分からず誘われるまま王国秘密警察傘下にある、悪役令嬢係りの取るに足らないパート勤務の補助員、通称「アクレイの弟子」の一人になりました。
また今日も「忙しい!」とボヤキながら、仲の良い同僚たちと湯沸かし室の隅で、ヒソヒソと情報交換という噂話に花が咲く
この仕事は、一人づつに分かれて学院や貴族の屋敷、ときにはパーティにまで潜入するので、情報交換の場が少なく、こんなくだらない噂話での息抜きも必要
しかも、たまには悪役令嬢やその取り巻きとして、パーティや学院で他の令嬢を、ケガしない程度に突き飛ばしたり、怒らせるような嫌味を言ったり
逆に悪役令嬢を糾弾する側にまわって、群衆にまぎれて汚いヤジを飛ばして煽る、という微妙で危険な役目
にも関わらす誰にも評価されないまま、貴族や学院の裏の顔を隠すという、つまらない汚れ役、これでは走り使いされる小悪党の集まりに等しい
そんな程度の低いことを、薄給にも関わらす何となくダラダラ、不平タラタラ続けていると、こうも容易に品性に欠けた人間が出来上がるというよい例でしょう
裏金とコネを上手く使って幹部採用され、上には逆らわすゴマをすり、下の者には威張り、失敗は部下に押しつけ、功績だけは自分のものとして
順調に出世したような要領のよい上司でさえ、陰では愚痴ばかりこぼしている
このままでは私も、あんなつまらない人間になってしまうような気がして悩んでいます。
仕事で学院の風紀委員になりすまし、何度かあれこれと指導した生徒たちの成長を見守るのは楽しい
その反面もう直ぐ卒業してあの子たちの顔が見られなくなってしまうのかと思えば本当に寂しい
これが親心というものでしょうか?知らんけど。
そんな生徒たちを見ていると「そろそろ私にも新天地を目指すべき時が来た!」という天啓を得た気がして
最近は、少ないお休みの日をやり繰りして、冒険者ギルドに登録、その資料室や街の有料図書館に通い、薬草の種類や特徴を覚え、ついでにポーションの作り方も研究
その結果、森の浅いところで簡単な薬草採取をしたり、低級ポーションの作成程度なら素人の私でも、手間を惜しまなければなんとか出来そうだと分かりました。
それで、気が緩んでしまったのか、仲間との噂話のついでにうっかり「この仕事はもう辞める」と漏らしてしまい、あわてて冗談だと打ち消したが
翌日、出勤すると同僚たちの目が何となく冷たいうえ、すぐに上司から呼びつけられて、渋々行ってみると今すぐこれを書けと一枚の紙を渡され
読んてみると「一身上の都合」という自己都合退職の辞表を書くための定型文で、これを書き上げたらすぐに退去するように言われた。
どうやら、身元不明の転移者として、前から目をつけられていたらしく仕事が早い。しかも、ご丁寧に「もし従わなければ素行不良で懲戒免職にして、損害賠償も請求する、それでは君も次の仕事も見つけられなくなり、困るだろう」と脅される
そんな手間のかかる面倒なことを、わざわざするはずがないと分かってはいるが、これは今まで仕事とは言え他人を罠にはめるため、証拠を捏造するなど
世間様には到底言えないような悪いことばかり、さんざんしてきた報いかも知れないと思い
上司に言われた通りにして自分の荷物をまとめ、さっさと職場をあとにした。
冷静になってふり返ってみると、失敗した早まったと反省したけれど、もう後の祭りで取り返しがつかないので諦らめて進むしかない
翌日から冒険者ギルドに行って、デシィ・アクレイという変な冒険者ネームで、街なかの倉庫の片付けなど簡単なお手伝いの依頼を引き受ける
こちらでは目の覚めるようなピンク髪の美人や碧眼・金髪のイケメンが普通にそこら中にいるので
かえって異世界生まれの私のような黒目黒髪、チビ・デブ・ハゲの陰キャラが意外とモテるかも知れないわと妄想を広げる。あ、ハゲは無い。
この街できっと運命の人との出会いがあると思えば、つまらない雑用も楽しくなってきて鼻歌まじり♪
けれど、私も魔法が少しでも使えるといいなあと思い、人のいない所で他の冒険者のマネをして、格好良く右手をあげ「ステータス・オープン」と唱える
そんなことをやって遊んでいたら、突然、目の前に不思議な半透明の板が浮かび上がって来たじゃあ~りませんか!(昭和の吉本新喜劇、チャーリー浜さん?)。
確かラノベや漫画の異世界ものでは、魔力量は毎日、使えばつかうほど増えてスキルやポイントもたまるとなっていたので
調子にのって撃てもしないファイアボールとかウインドカッターのマネをして叫んでいたら急に身体が重くなり、めまいまでしてきた。これがいわゆるMP切れの症状なのぉ!😵
ビックリして冒険者ギルドの受付嬢に相談したら「魔法は場合によっては危険を伴う場合があるので、用法・容量を守って正しく使いましょう」と注意されてしまった、お薬?。
そして「お知らせボードに貼ってある、冒険者ギルドや業者、ボランティア団体などが主催している」
「有料・無料の初心者向け講習会を、どれかをとりあえず受講してみて、その結果どうするかまた相談して下さいね」
「もし気に入ったら個人レッスンや弟子入りも検討してみては如何でしょうか」と懇切丁寧に教えてもらう。
でも、受付嬢たちが以前から私を可哀そうな目で見ていて、やけに親切なんだけど
これは女性の冒険者が少ないこともあるけれど、私の言葉づかいや態度が前職の影響でどうしても貴族寄りになってしまうので
良家のお嬢様が複雑な事情を抱えながらも、健気に冒険者として頑張っている、と勘違いされているような気がする
こいつぁ春から縁起がいい、しばらくこの設定を楽しみやしょう(河竹黙阿弥作の歌舞伎、三人吉三?)
また今日も「忙しい!」とボヤキながら、仲の良い同僚たちと湯沸かし室の隅で、ヒソヒソと情報交換という噂話に花が咲く
この仕事は、一人づつに分かれて学院や貴族の屋敷、ときにはパーティにまで潜入するので、情報交換の場が少なく、こんなくだらない噂話での息抜きも必要
しかも、たまには悪役令嬢やその取り巻きとして、パーティや学院で他の令嬢を、ケガしない程度に突き飛ばしたり、怒らせるような嫌味を言ったり
逆に悪役令嬢を糾弾する側にまわって、群衆にまぎれて汚いヤジを飛ばして煽る、という微妙で危険な役目
にも関わらす誰にも評価されないまま、貴族や学院の裏の顔を隠すという、つまらない汚れ役、これでは走り使いされる小悪党の集まりに等しい
そんな程度の低いことを、薄給にも関わらす何となくダラダラ、不平タラタラ続けていると、こうも容易に品性に欠けた人間が出来上がるというよい例でしょう
裏金とコネを上手く使って幹部採用され、上には逆らわすゴマをすり、下の者には威張り、失敗は部下に押しつけ、功績だけは自分のものとして
順調に出世したような要領のよい上司でさえ、陰では愚痴ばかりこぼしている
このままでは私も、あんなつまらない人間になってしまうような気がして悩んでいます。
仕事で学院の風紀委員になりすまし、何度かあれこれと指導した生徒たちの成長を見守るのは楽しい
その反面もう直ぐ卒業してあの子たちの顔が見られなくなってしまうのかと思えば本当に寂しい
これが親心というものでしょうか?知らんけど。
そんな生徒たちを見ていると「そろそろ私にも新天地を目指すべき時が来た!」という天啓を得た気がして
最近は、少ないお休みの日をやり繰りして、冒険者ギルドに登録、その資料室や街の有料図書館に通い、薬草の種類や特徴を覚え、ついでにポーションの作り方も研究
その結果、森の浅いところで簡単な薬草採取をしたり、低級ポーションの作成程度なら素人の私でも、手間を惜しまなければなんとか出来そうだと分かりました。
それで、気が緩んでしまったのか、仲間との噂話のついでにうっかり「この仕事はもう辞める」と漏らしてしまい、あわてて冗談だと打ち消したが
翌日、出勤すると同僚たちの目が何となく冷たいうえ、すぐに上司から呼びつけられて、渋々行ってみると今すぐこれを書けと一枚の紙を渡され
読んてみると「一身上の都合」という自己都合退職の辞表を書くための定型文で、これを書き上げたらすぐに退去するように言われた。
どうやら、身元不明の転移者として、前から目をつけられていたらしく仕事が早い。しかも、ご丁寧に「もし従わなければ素行不良で懲戒免職にして、損害賠償も請求する、それでは君も次の仕事も見つけられなくなり、困るだろう」と脅される
そんな手間のかかる面倒なことを、わざわざするはずがないと分かってはいるが、これは今まで仕事とは言え他人を罠にはめるため、証拠を捏造するなど
世間様には到底言えないような悪いことばかり、さんざんしてきた報いかも知れないと思い
上司に言われた通りにして自分の荷物をまとめ、さっさと職場をあとにした。
冷静になってふり返ってみると、失敗した早まったと反省したけれど、もう後の祭りで取り返しがつかないので諦らめて進むしかない
翌日から冒険者ギルドに行って、デシィ・アクレイという変な冒険者ネームで、街なかの倉庫の片付けなど簡単なお手伝いの依頼を引き受ける
こちらでは目の覚めるようなピンク髪の美人や碧眼・金髪のイケメンが普通にそこら中にいるので
かえって異世界生まれの私のような黒目黒髪、チビ・デブ・ハゲの陰キャラが意外とモテるかも知れないわと妄想を広げる。あ、ハゲは無い。
この街できっと運命の人との出会いがあると思えば、つまらない雑用も楽しくなってきて鼻歌まじり♪
けれど、私も魔法が少しでも使えるといいなあと思い、人のいない所で他の冒険者のマネをして、格好良く右手をあげ「ステータス・オープン」と唱える
そんなことをやって遊んでいたら、突然、目の前に不思議な半透明の板が浮かび上がって来たじゃあ~りませんか!(昭和の吉本新喜劇、チャーリー浜さん?)。
確かラノベや漫画の異世界ものでは、魔力量は毎日、使えばつかうほど増えてスキルやポイントもたまるとなっていたので
調子にのって撃てもしないファイアボールとかウインドカッターのマネをして叫んでいたら急に身体が重くなり、めまいまでしてきた。これがいわゆるMP切れの症状なのぉ!😵
ビックリして冒険者ギルドの受付嬢に相談したら「魔法は場合によっては危険を伴う場合があるので、用法・容量を守って正しく使いましょう」と注意されてしまった、お薬?。
そして「お知らせボードに貼ってある、冒険者ギルドや業者、ボランティア団体などが主催している」
「有料・無料の初心者向け講習会を、どれかをとりあえず受講してみて、その結果どうするかまた相談して下さいね」
「もし気に入ったら個人レッスンや弟子入りも検討してみては如何でしょうか」と懇切丁寧に教えてもらう。
でも、受付嬢たちが以前から私を可哀そうな目で見ていて、やけに親切なんだけど
これは女性の冒険者が少ないこともあるけれど、私の言葉づかいや態度が前職の影響でどうしても貴族寄りになってしまうので
良家のお嬢様が複雑な事情を抱えながらも、健気に冒険者として頑張っている、と勘違いされているような気がする
こいつぁ春から縁起がいい、しばらくこの設定を楽しみやしょう(河竹黙阿弥作の歌舞伎、三人吉三?)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる