1 / 49
1
しおりを挟む
「聞いたか?聖女様の話」
「ああ、男に溺れて力を無くしたってやつだろう?」
「その男は聖騎士らしい。勝手に惚れられて殺されるなんて迷惑な話だな。」
民衆達の間では追放された聖女の話で持ちきりだった。
国始まって以来の力を持つ聖女がいた。
彼女は癒しの力だけではない。魔の封印や先読みの力もあり、国をあげて必死に守っていた。
神殿の中で大切に育てられた聖女はある時、護衛になった年近い美男子の聖騎士に一目惚れをしてしまった。
神殿の中で隔離され温室培養のお姫様。
男性との関わりなんて自分を敬ってまともに目も合わない老神官くらいしかいなかった聖女にとって聖騎士の存在はとても大きなものになっていった。
聖女としての力をその聖騎士を手に入れるために使った。禁忌の力を使い我がものにしようとしたのだ。
その過程で聖騎士は亡くなり、聖女も力を失った。
国や神殿は聖女を失った焦りと怒りを聖女ではなく、その聖騎士に向けた。
その聖騎士は聖女をそそのかした者として葬式すらなくひっそりと葬られることになった。
それが史上最高の力を持つ聖女と聖騎士のスキャンダルとして騒がれたが、その噂話もすぐに消えていった…
というよりお偉い人たちによって無理やりもみ消されたというのが正解だろう。
そしてその聖女がどうなったのか、皆その行方を知る者はなかった。
聖女を失うことは国にとっての大きな損害だ。
これから国はどうなっていくのだろうか。
だが、お偉い方々を無視して聖女の悪口を言う者がいた。
「そんな勝手なことかあるか?あまりにアールが可哀想だ!」
その聖騎士アールが生まれ育った街では元聖女への怒りを爆発させていた。
本来なら聖女は王族と同じ扱いを受けている。
そんなことを言うのは不敬罪で問われても不思議はない。しかし、元聖女であり犯した罪があまりに大きかったため、誰も不敬罪で問うものはいなかった。
「レピアもそう思わないか?」
食堂のシェフでもあるアビーは気のいい率直なおじさんだ。
自分の街から初めて出た聖騎士への思い入れは強かった。
何よりその聖騎士の実家はこの街の有力者の家系。
皆アールの事を子どもの頃から知っていたから余計だ。
その分聖女のした行為がどうしても許せなかった。
「そうですね…すみません、もう行かないと!」
レピアは時計を見るふりをしてアビーとの会話を終わらせた。
「それは申し訳なかったな。あんまり腹が立ってよ!」
この話を何回きいただろう。
アビーだけではない。
何度も色々な所できく話。
「そうですね…私もそう思います。その聖騎士様は聖女と共にいなければ今でもきっと活躍していたはずです…」
「よくわかってるな、レピア。聖女様は本当に人の命をなんだと思っているんだ!そんな事をしても聖女様は許されるのだからな。」
この街で聖女をよく言うものはいない。それだけ聖騎士アールの存在が大きいかった。
店を出てレピアは呟いた。
「許されるはずがないわ、ねぇアール」
レピアは空を見上げた。
「ああ、男に溺れて力を無くしたってやつだろう?」
「その男は聖騎士らしい。勝手に惚れられて殺されるなんて迷惑な話だな。」
民衆達の間では追放された聖女の話で持ちきりだった。
国始まって以来の力を持つ聖女がいた。
彼女は癒しの力だけではない。魔の封印や先読みの力もあり、国をあげて必死に守っていた。
神殿の中で大切に育てられた聖女はある時、護衛になった年近い美男子の聖騎士に一目惚れをしてしまった。
神殿の中で隔離され温室培養のお姫様。
男性との関わりなんて自分を敬ってまともに目も合わない老神官くらいしかいなかった聖女にとって聖騎士の存在はとても大きなものになっていった。
聖女としての力をその聖騎士を手に入れるために使った。禁忌の力を使い我がものにしようとしたのだ。
その過程で聖騎士は亡くなり、聖女も力を失った。
国や神殿は聖女を失った焦りと怒りを聖女ではなく、その聖騎士に向けた。
その聖騎士は聖女をそそのかした者として葬式すらなくひっそりと葬られることになった。
それが史上最高の力を持つ聖女と聖騎士のスキャンダルとして騒がれたが、その噂話もすぐに消えていった…
というよりお偉い人たちによって無理やりもみ消されたというのが正解だろう。
そしてその聖女がどうなったのか、皆その行方を知る者はなかった。
聖女を失うことは国にとっての大きな損害だ。
これから国はどうなっていくのだろうか。
だが、お偉い方々を無視して聖女の悪口を言う者がいた。
「そんな勝手なことかあるか?あまりにアールが可哀想だ!」
その聖騎士アールが生まれ育った街では元聖女への怒りを爆発させていた。
本来なら聖女は王族と同じ扱いを受けている。
そんなことを言うのは不敬罪で問われても不思議はない。しかし、元聖女であり犯した罪があまりに大きかったため、誰も不敬罪で問うものはいなかった。
「レピアもそう思わないか?」
食堂のシェフでもあるアビーは気のいい率直なおじさんだ。
自分の街から初めて出た聖騎士への思い入れは強かった。
何よりその聖騎士の実家はこの街の有力者の家系。
皆アールの事を子どもの頃から知っていたから余計だ。
その分聖女のした行為がどうしても許せなかった。
「そうですね…すみません、もう行かないと!」
レピアは時計を見るふりをしてアビーとの会話を終わらせた。
「それは申し訳なかったな。あんまり腹が立ってよ!」
この話を何回きいただろう。
アビーだけではない。
何度も色々な所できく話。
「そうですね…私もそう思います。その聖騎士様は聖女と共にいなければ今でもきっと活躍していたはずです…」
「よくわかってるな、レピア。聖女様は本当に人の命をなんだと思っているんだ!そんな事をしても聖女様は許されるのだからな。」
この街で聖女をよく言うものはいない。それだけ聖騎士アールの存在が大きいかった。
店を出てレピアは呟いた。
「許されるはずがないわ、ねぇアール」
レピアは空を見上げた。
0
あなたにおすすめの小説
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです
籠の中のうさぎ
恋愛
日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。
「はー、何もかも投げだしたぁい……」
直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。
十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。
王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。
聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。
そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。
「では、私の愛人はいかがでしょう」
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる