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第1章
リーナは聖女?
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ある貧しい村にリーナという娘がいた。
3人姉弟の長女として生まれたが、一番下の弟ネマが生まれてすぐ父が亡くなり余計に貧しくなった。
まだ、14歳になったばかりのリーナも必死で働いているが、生活は楽にはならない。
今日は街にお花を売りにきていた。
「お花が売れない。どうしよう。」
リーナは焦っていた。
売れなかったら、みんなの食べる物がない。
リーナの住む村は穢れの森のすぐそばにあった。
森が広がれば、のまれてしまう‥
そんな不安を抱えている小さくて何もない貧しい村だった。
森は危険だと言われていたが、リーナは家族のために一人森に入っては珍しい花をとっていた。
家族や村の人にバレないように遠くの街で売りにきたのに。
いつもならもう売れている。
今日に限って全然買い手がつかなかった。
村に帰るのにも時間がかかるため、早く売りたいのにと焦りが強くなる。
「お花はいりませんか?」
リーナは少しでも売りたくて声をかけるが、街ゆく人の反応は良くない。
その中で一人足を止めてくれる人がいた。
神官の格好をしている青年だった。
「バールアンの花か。珍しいな。とるのにも苦労しただろう。どこでとった?」
「いえ。これは‥」
リーナは場所を言うか迷った。
お母さんにバレたら怒られるからだ。
森に入ってはいけないと何度も言われていたから。
リーナがなかなか言わない様子を見て神官は疑いを抱いた。
「盗んだ物か?」
ギロリと睨まれる。
「違います!穢れの森に一人で行ったらお母さんに怒られるから。」
リーナは必死で言い訳をした。
「お前一人で行ったというのか?嘘は言うな。穢れの森に子ども一人で入って生きていられるところではない。」
神官の疑いは確信に変わる。
リーナを盗人だと判断した。
「人の物を盗むという事は心が汚れるという事だ。それが積み重なり闇落ちすれば、もう元には戻れない。処刑され、天国にも行く事はできない。」
神官はリーナを真剣に説得しようとする。
悪い人ではないのだろう。
だが、リーナは本当に悪い事をした覚えはなく、事実を話している。
「違います!付いてきてください。バールアンの花の所まで連れて行きますから!」
リーナはその神官を連れて森には入ることにした。
入ってはいけないと小さな頃から何度も言われてきた森だ。
だが、リーナはずっと、その森に入っていた。
人が入らない分、珍しいものが多く、高価で売れるからだ。
「そのまま入れる訳ないだろう。一瞬で穢れに飲み込まれる!まだ嘘をつくのか?」
リーナの嘘を暴きたくて神官は森に一緒にきていた。
何の装備もなく穢れの森に入るなど自殺行為なのだ。
リーナが嘘をついた手前、後に引けなくなり連れてきたのだと思っていた。
言い訳のできないその場でリーナの罪を白状させるつもりだった。
リーナは迷いもなく森に足を踏み入れる。
神官は慌てた。
「入るな!そこは危険だ。戻ってこい!」
神官は穢れの森の凄まじい力にあてられていた。
この森は危険だ。
この子は追い詰められて自暴自棄になったのか?
神官はリーナを呼び戻そうとして足を一歩踏み入れた。
その瞬間、力が奪われ、穢れが体の中に入ってきた。
神官はその場に倒れこみ、のまれていくのがわかった。
苦しい、誰か‥
黒く汚い感情に覆い尽くされる。
逃げられない‥神官は死を覚悟した。
「大丈夫ですか?」
リーナは倒れている神官に駆け寄り、体に触れる。
その瞬間、神官の体から穢れが消えた。
それどころかあたたかい空気を感じる。
「なんだ、これは‥」
あたたかい、安心できる何かに包まれる。
初めての感覚に神官は涙をこぼした。
その様子をリーナはキョトンとした顔で見つめている。
穢れの森のはずなのに。
この子の周りは空気が澄んでいる。
さっきまでの苦しいばかりの穢れが消えてしまっている。
その理由を神官はわかっていた。
穢れを浄化する事ができる存在に心当たりがあった。
その存在を探す。
それが神官の役目であり、国中を探し回っていた。
「あなたは聖女様なのですね‥」
神官は膝をつきリーナに祈る。
「聖女様?」
リーナはよくわからなくて首をひねった。
人は苦しみ、憎しみなどの負の感情や醜い欲を持っている。
その感情や欲が強すぎると穢れを生む。
そして人が抱えきれなくなった穢れは外に溢れ、森は広がる。
穢れの森はどんどんと拡大して最後は世界をのみ込むと言われている。
聖女は穢れを浄化する。
それができる存在。
穢れが強すぎた人は闇落ちをし、穢れを出し続けるため処刑される。
闇落ちした人はもう救えないが、ある程度の穢れは浄化して森が広がるのを防ぎ、世界の滅亡を阻止する。
それが聖女の役割だ。
リーナにはその力があった。
「聖女様になる気はありませんか?この村を、いえこの国を守る力をあなたは持っています。私と一緒に神殿に行きましょう。」
この神官との出会いがリーナのこれからの運命を大きく変える事となる。
3人姉弟の長女として生まれたが、一番下の弟ネマが生まれてすぐ父が亡くなり余計に貧しくなった。
まだ、14歳になったばかりのリーナも必死で働いているが、生活は楽にはならない。
今日は街にお花を売りにきていた。
「お花が売れない。どうしよう。」
リーナは焦っていた。
売れなかったら、みんなの食べる物がない。
リーナの住む村は穢れの森のすぐそばにあった。
森が広がれば、のまれてしまう‥
そんな不安を抱えている小さくて何もない貧しい村だった。
森は危険だと言われていたが、リーナは家族のために一人森に入っては珍しい花をとっていた。
家族や村の人にバレないように遠くの街で売りにきたのに。
いつもならもう売れている。
今日に限って全然買い手がつかなかった。
村に帰るのにも時間がかかるため、早く売りたいのにと焦りが強くなる。
「お花はいりませんか?」
リーナは少しでも売りたくて声をかけるが、街ゆく人の反応は良くない。
その中で一人足を止めてくれる人がいた。
神官の格好をしている青年だった。
「バールアンの花か。珍しいな。とるのにも苦労しただろう。どこでとった?」
「いえ。これは‥」
リーナは場所を言うか迷った。
お母さんにバレたら怒られるからだ。
森に入ってはいけないと何度も言われていたから。
リーナがなかなか言わない様子を見て神官は疑いを抱いた。
「盗んだ物か?」
ギロリと睨まれる。
「違います!穢れの森に一人で行ったらお母さんに怒られるから。」
リーナは必死で言い訳をした。
「お前一人で行ったというのか?嘘は言うな。穢れの森に子ども一人で入って生きていられるところではない。」
神官の疑いは確信に変わる。
リーナを盗人だと判断した。
「人の物を盗むという事は心が汚れるという事だ。それが積み重なり闇落ちすれば、もう元には戻れない。処刑され、天国にも行く事はできない。」
神官はリーナを真剣に説得しようとする。
悪い人ではないのだろう。
だが、リーナは本当に悪い事をした覚えはなく、事実を話している。
「違います!付いてきてください。バールアンの花の所まで連れて行きますから!」
リーナはその神官を連れて森には入ることにした。
入ってはいけないと小さな頃から何度も言われてきた森だ。
だが、リーナはずっと、その森に入っていた。
人が入らない分、珍しいものが多く、高価で売れるからだ。
「そのまま入れる訳ないだろう。一瞬で穢れに飲み込まれる!まだ嘘をつくのか?」
リーナの嘘を暴きたくて神官は森に一緒にきていた。
何の装備もなく穢れの森に入るなど自殺行為なのだ。
リーナが嘘をついた手前、後に引けなくなり連れてきたのだと思っていた。
言い訳のできないその場でリーナの罪を白状させるつもりだった。
リーナは迷いもなく森に足を踏み入れる。
神官は慌てた。
「入るな!そこは危険だ。戻ってこい!」
神官は穢れの森の凄まじい力にあてられていた。
この森は危険だ。
この子は追い詰められて自暴自棄になったのか?
神官はリーナを呼び戻そうとして足を一歩踏み入れた。
その瞬間、力が奪われ、穢れが体の中に入ってきた。
神官はその場に倒れこみ、のまれていくのがわかった。
苦しい、誰か‥
黒く汚い感情に覆い尽くされる。
逃げられない‥神官は死を覚悟した。
「大丈夫ですか?」
リーナは倒れている神官に駆け寄り、体に触れる。
その瞬間、神官の体から穢れが消えた。
それどころかあたたかい空気を感じる。
「なんだ、これは‥」
あたたかい、安心できる何かに包まれる。
初めての感覚に神官は涙をこぼした。
その様子をリーナはキョトンとした顔で見つめている。
穢れの森のはずなのに。
この子の周りは空気が澄んでいる。
さっきまでの苦しいばかりの穢れが消えてしまっている。
その理由を神官はわかっていた。
穢れを浄化する事ができる存在に心当たりがあった。
その存在を探す。
それが神官の役目であり、国中を探し回っていた。
「あなたは聖女様なのですね‥」
神官は膝をつきリーナに祈る。
「聖女様?」
リーナはよくわからなくて首をひねった。
人は苦しみ、憎しみなどの負の感情や醜い欲を持っている。
その感情や欲が強すぎると穢れを生む。
そして人が抱えきれなくなった穢れは外に溢れ、森は広がる。
穢れの森はどんどんと拡大して最後は世界をのみ込むと言われている。
聖女は穢れを浄化する。
それができる存在。
穢れが強すぎた人は闇落ちをし、穢れを出し続けるため処刑される。
闇落ちした人はもう救えないが、ある程度の穢れは浄化して森が広がるのを防ぎ、世界の滅亡を阻止する。
それが聖女の役割だ。
リーナにはその力があった。
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