【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

文字の大きさ
83 / 87
第3章

リーナは永遠の命を手に入れる

しおりを挟む
リーナに有無を言わさず、永久保存にされ、永遠の命を得る事となる。

体調の変化も特にはない。
何も変わらなさすぎて永遠の命があるのだと自分で認識するのには数年先になりそうだ。
ずっと姿が変わらなければ嫌でも認識するだろうから。

そこでフッと考える。

胸をペタペタ触りながらヴォルティス様に聞く。
「もう少し大人の女性が良かったですか?もう数年経てば立派な女性になったと思うのですが‥」

まだまだ成長途中だった私は胸とか顔とか‥数年先ならもっと大人の女性になったはずだ。

「ん?リーナはリーナだろう?今のリーナもかわいらしいと思うぞ。」
ヴォルティス様は私の顔を覗き込んで言う。

「可愛いではなくて美人になってたかもしれないじゃないですか。」
ただでさえ、ヴォルティス様は美しすぎるのだ。もう少し大人の色気みたいなものが出れば私も自信が湧いてくるはずなのに。

「お前が数年経ったって絶世の美女になるわけがないだろう。」
ボソリとルキアが言う。

絶世の美女になるなんて言ってないから。
ルキアは本当に乙女心がわからない。

「リーナは誰よりも美しいよ。」
ヴォルティス様は微笑みながら言ってくれる。
ヴォルティス様の顔を見ると本当にそう思っているのだろうとわかる。
だが、絶世の美を持つヴォルティス様に言われると気持ちは複雑だ。

「リーナとずっといられるのだな。夢のようだ。」
ヴォルティス様はウットリと私を見つめる。
他には何も目に入っていない。

そんなヴォルティス様の様子を苦笑いしながらルキアは見ていた。

「もう私は離れるぞ。これからの維持方法はその女神達に聞け。ヴォルティス、約束は明日からだからな。」

「ああ、わかっている。ルキア、本当に感謝している。」
ヴォルティス様は満面の笑みを浮かべている。

ルキアはそんなヴォルティス様を見て少し微笑んでスッと消えた。



それからのヴォルティス様はそれは誰が見てもわかるくらい上機嫌だった。

「リーナ、明日は何をしようか?」
ヴォルティス様の最近のブームは明日の予定を立てる事だ。

将来に怯えず、明日という日が迎えられるのが嬉しいらしい。

私がいる限りヴォルティス様の役割である裁きはない。つまり、ヴォルティス様は暇をしている。

ヴォルティス様は今までずっと体調がすぐれなかった為、仕事らしい仕事や役割はないのだ。
毎日ルキアに会いに行く事と満月の時の3日間命の泉に行く以外は。
その3日は命の泉から離れられないらしくルキアは喜んでいるらしい。

ヴォルティス様はどんどん私に甘くなり、ずっとついて回るようになった。
そんな日々がずっと続いていて数百年が経った。




ヴォルティス様が私の顔を覗き込んだ。
「リーナ、元気がないな。」
ヴォルティス様はすぐに私の変化に気づいてしまう。

隠し事はできない。
だけど、言いたくない事もあるのだ。

「何もないですよ?」

「何もないはずはないだろう。そんなに苦しそうな顔をしているのに。何があった?」
心配そうに聞いてくる。

満月前後の3日とルキアの所に行く時間以外ヴォルティス様はずっと私の側にいたのだ。
ただでさえ、私の言動には敏感だ。
数百年一緒にいれば、何かがあったとすぐにわかってしまう。

「‥‥」
こんなのはヴォルティス様に相談できない。
だから、そっとして欲しいのに。

「リーナの苦痛は全部取り除きたい。何があったのか教えてくれ。」

「何もないと言っているじゃないですか!」
私の言葉の語尾が強くなる。
ヴォルティス様にあたりたい訳でない。
だけど、触れて欲しくない事もあるのだ。
1人で考えたい。

ヴォルティス様に少し驚いたような悲しそうな顔をさせてしまい、自分の八つ当たりのような態度に申し訳なくなった。

「‥ルキアの所に行ってくる。少し遅くなるかもしれない。」
いつもはルキアの所には顔を出し少し話したら戻って来ていた。
ルキアも私から離れてソワソワしたヴォルティス様を見るのが嫌らしく顔を見たら早く帰れといわれると言っていた。

ヴォルティス様の落ち込みにルキアの嫌な顔をするのが想像できる。
ヴォルティス様には相談相手がいないため、ルキアに頼っているようだ。
ルキアからすれば私との事を相談されるなど苦痛だと思うのだが‥

ヴォルティス様には言うことができない悩み。
私は永遠の時を生きていけるのかという事だった。

時間が経つにつれ、だんだんと自分の置かれた状況が見えてきた。

ヴォルティス様に甘やかされて今、何をする訳でもなく生きている。
ヴォルティス様もみんなもヴォルティス様の浄化さえしていればいいと言ってくれる。
そう、それだけしていれば世界を救っているのだからと。

それだけでいいの?
ヴォルティス様は大切だ。
だが、ただただ甘やかされてヴォルティス様の側にいるだけの私。
これが永遠に続いていくのかと思うと怖くなった。

ヴォルティス様や神様方とラリーン先生はずっといてくれるけど‥
ラリーン先生も年をとらない為、人の社会では生きていけなくなりマークバルダ様と共に神殿を離れている。
家族はもともといないけど、友達も知り合いもみんな老いて死んでいった。

私だけ世界が止まってしまった。そんな絶望感が私の中に広がっている。

永遠を生きているヴォルティス様にそんな事を言えない。
永遠の命を得た事を後悔していると思われるのも今の状況に不安になっているのも絶対に悟られたくない。

ヴォルティス様は絶対に傷ついて悩むから。

だが、私は何のために存在しているのかわからなくなってきていた。そして、これからどうやって生きていけばいいのかも。

その思いはこの何百年かの間に大きくなっていた。最初の頃は年も数えていたが、もう忘れてしまうくらいに時間が過ぎていた‥
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです

籠の中のうさぎ
恋愛
 日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。 「はー、何もかも投げだしたぁい……」  直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。  十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。  王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。  聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。  そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。 「では、私の愛人はいかがでしょう」

酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜

鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。 そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。 秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。 一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。 ◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。

聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。

下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。 アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】召喚された2人〜大聖女様はどっち?

咲雪
恋愛
日本の大学生、神代清良(かみしろきよら)は異世界に召喚された。同時に後輩と思われる黒髪黒目の美少女の高校生津島花恋(つしまかれん)も召喚された。花恋が大聖女として扱われた。放置された清良を見放せなかった聖騎士クリスフォード・ランディックは、清良を保護することにした。 ※番外編(後日談)含め、全23話完結、予約投稿済みです。 ※ヒロインとヒーローは純然たる善人ではないです。 ※騎士の上位が聖騎士という設定です。 ※下品かも知れません。 ※甘々(当社比) ※ご都合展開あり。

神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと
恋愛
突然通り魔に殺されたと思ったら望んでもないのに記憶を持ったまま転生してしまう主人公。転生したは良いが見目が怪しいと実親に捨てられて、代わりにその怪しい見た目から宗教の教徒を名乗る人たちに拾ってもらう。 そこには自分と同い年で、神の子と崇められる兄がいた。 自分ははっきりと神の子なんかじゃないと拒否したので助かったが、兄は大人たちの期待に応えようと頑張っている。 そんな兄に気を遣っていたら、いつのまにやらかなり溺愛、執着されていたお話。 小説家になろう様でも投稿しています。 勝手ながら、タイトルとあらすじなんか違うなと思ってちょっと変えました。

処理中です...