23 / 252
23
しおりを挟む
ミルアージュが国王の政務官となり、クリストファーが対立をしている…
ミルアージュはクリストファーの妃だ。
なぜ、国王の政務官となったのか皆わからなかった。
皆が勝手に憶測でものを言う為に噂話は尾びれを引いてスキャンダルのように話は広がっていった。
ミルアージュがクリストファーを捨て、国王を選んだと…国王の側妃に迎えられるのではないかと。
「ルーマンの貴族って馬鹿じゃないの?」
ミルアージュはイラついた。
状況分析もまともにできず、憶測だけで国王の側妃説を出してきた。
面白おかしく噂話が広げるだけで正確な情報を得ようとする動きもなければ、王族を諌める者、ルーマン王国を心配する者もいない現状にあきれ返る。
アンロックでこんな貴族達がいれば、ミルアージュが動かなくても宰相により王城から追放される。
アンロックという国を維持するつもりのない者が王城で何をするつもりなのか問われるのは当たり前だ。
その当たり前がルーマンでは違う…
「そうイライラするな。」
クリストファーはミルアージュの眉間のシワにチュッとキスをする。
「まぁ、こうなると思っていた。私の予想は外れて欲しかったがな。」
クリストファーはワインを飲みながら苦笑をした。
クリストファーの部屋にミルアージュは愚痴りに来ていた。
と言っても扉でつながっている隣同士の部屋なので行き来を誰かに見られることはない。
結婚当初、クリストファーがどうしてもと言って譲らなかったその部屋割りが今、役に立っている。
クリストファーが調子にのるから言わないようにしているが、次は同部屋がいいと言い出しそうだ。
ミルアージュよりクリストファーはルーマンを知っている。こんな現状が他国にバレるわけにはいかない。
それなのにクリストファーがなかなか変革ができなかった理由…
「私はあなたの邪魔をしている?」
「国王が言ったのか?」
クリストファーから殺気がもれる。
「いいえ、私がそう思うだけ。」
クリストファーはミルアージュの心を見透かすようにみつめている。
「ミアをどういう立場に置くのが良いのか考えていた事は事実だ。だが、ルーマンは腐敗しきっている。中途半端に手を出すのは危険だからな、どうすべきか結論が出ていなかった。ここまで放置した国王や私の責任は重い。」
そう、だからこそ今回国王が動いた。
その危険をおかす選択をした。
国王としての立場を失うおそれもある。下手したら命のリスクすらあるのを承知しているのだ。
「だから、ミアは気にしなくていい。ルーマンに巻き込まれる必要もない。」
クリストファーもわかっているのだ、国王の覚悟を。
ルーマンは一歩間違えば国の存続が難しくなることも…
「私はもうルーマンの人間よ。何かあっても一人だけ逃げる事はしないわ。」
クリストファーなら危険が迫った時、ミルアージュを逃す方法も確保しておくはずだ。
そういう男だとミルアージュもわかっている。
だが、それに従うかはミルアージュ次第。
クリストファーは目を見開いた。
ワインをテーブルに置き、ミルアージュを強く抱きしめた。
「ハハッ、ミアは変わらない。それなら絶対に失敗はできないな。私の最優先はミアだから。」
「そういうクリスも変わらないわ。」
二人は見つめあって笑う。
その晩ミルアージュはクリストファーが離してくれず、自分の部屋に帰る事はできなかった。
ミルアージュはクリストファーの妃だ。
なぜ、国王の政務官となったのか皆わからなかった。
皆が勝手に憶測でものを言う為に噂話は尾びれを引いてスキャンダルのように話は広がっていった。
ミルアージュがクリストファーを捨て、国王を選んだと…国王の側妃に迎えられるのではないかと。
「ルーマンの貴族って馬鹿じゃないの?」
ミルアージュはイラついた。
状況分析もまともにできず、憶測だけで国王の側妃説を出してきた。
面白おかしく噂話が広げるだけで正確な情報を得ようとする動きもなければ、王族を諌める者、ルーマン王国を心配する者もいない現状にあきれ返る。
アンロックでこんな貴族達がいれば、ミルアージュが動かなくても宰相により王城から追放される。
アンロックという国を維持するつもりのない者が王城で何をするつもりなのか問われるのは当たり前だ。
その当たり前がルーマンでは違う…
「そうイライラするな。」
クリストファーはミルアージュの眉間のシワにチュッとキスをする。
「まぁ、こうなると思っていた。私の予想は外れて欲しかったがな。」
クリストファーはワインを飲みながら苦笑をした。
クリストファーの部屋にミルアージュは愚痴りに来ていた。
と言っても扉でつながっている隣同士の部屋なので行き来を誰かに見られることはない。
結婚当初、クリストファーがどうしてもと言って譲らなかったその部屋割りが今、役に立っている。
クリストファーが調子にのるから言わないようにしているが、次は同部屋がいいと言い出しそうだ。
ミルアージュよりクリストファーはルーマンを知っている。こんな現状が他国にバレるわけにはいかない。
それなのにクリストファーがなかなか変革ができなかった理由…
「私はあなたの邪魔をしている?」
「国王が言ったのか?」
クリストファーから殺気がもれる。
「いいえ、私がそう思うだけ。」
クリストファーはミルアージュの心を見透かすようにみつめている。
「ミアをどういう立場に置くのが良いのか考えていた事は事実だ。だが、ルーマンは腐敗しきっている。中途半端に手を出すのは危険だからな、どうすべきか結論が出ていなかった。ここまで放置した国王や私の責任は重い。」
そう、だからこそ今回国王が動いた。
その危険をおかす選択をした。
国王としての立場を失うおそれもある。下手したら命のリスクすらあるのを承知しているのだ。
「だから、ミアは気にしなくていい。ルーマンに巻き込まれる必要もない。」
クリストファーもわかっているのだ、国王の覚悟を。
ルーマンは一歩間違えば国の存続が難しくなることも…
「私はもうルーマンの人間よ。何かあっても一人だけ逃げる事はしないわ。」
クリストファーなら危険が迫った時、ミルアージュを逃す方法も確保しておくはずだ。
そういう男だとミルアージュもわかっている。
だが、それに従うかはミルアージュ次第。
クリストファーは目を見開いた。
ワインをテーブルに置き、ミルアージュを強く抱きしめた。
「ハハッ、ミアは変わらない。それなら絶対に失敗はできないな。私の最優先はミアだから。」
「そういうクリスも変わらないわ。」
二人は見つめあって笑う。
その晩ミルアージュはクリストファーが離してくれず、自分の部屋に帰る事はできなかった。
2
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる