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「いくら何でもすぐに呼び出すなんて失礼よ。改めて会談を段取ったらいいと思うんだけど。」
ミルアージュはクリストファーに提案するもすぐに却下された。
「だめだ。レーグルトの動きが活発だからやるなら早めがいいだろう。何より次の集まりに私も一緒にいられるとは限らない。この話は正直、気が進まない。だから、私がいる時に会談をするのが条件だ。そうでなければ許可はできない。」
「クリス…」
ミルアージュは困ってレンドランドを見ると優しく頷いた。
「クリストファー殿のおっしゃる通りです。ルーマンの代表としてクリストファー殿にいてもらった方が良いでしょう。」
そうレンドランドが言う後ろで宰相で「ルーマン代表というよりミルアージュ様から離れたくないだけだろう」とボソリとつぶやいた。
クリストファーの耳にも聞こえたはずだが、レンドランドの賛成に笑顔で大きく頷いた。
「心配しなくてもいい、このチャンスは逃せないブランならすぐ来るよ。ミア達は楽しんでこい。その間にこちらでできる事は進めておく。ミアのそばにいるだけが私の仕事ではないからなぁ、宰相。」
クリストファーの嫌味を返した後、宰相と無言で睨み合いをしていた。
ミルアージュは「私もここにいようかしら」と声が出てしまうくらい殺気が出ている。
レンドランドは苦笑いを浮かべてミルアージュに手を差し出した。
「姉上、行きましょう。母上がお待ちですから。」
レンドランドはミルアージュを二人から引き離すようにエスコートして部屋を出る。
「大丈夫かしら、あの二人…」
気にかけながらも義母との面会を楽しみにしていたミルアージュはレンドランドに促されて馬車に向かう事にした。
「…ミアは行ったようだな。」
「はい。」
部屋にはクリストファーと宰相、軍部大将が残った。
「お前達の主は余計な事をしてくれた。」
「申し訳ありません。」
それに関しては宰相も軍部大将も同意していた。
「3カ国同盟自体はいい。レーグルトを抑えるために一番リスクが少なく、大きな結果が期待できる。」
「はい。」
「だがな、ミア抜きでも十分に通せただろう。どうしてミアを巻き込んだ?名誉を挽回させたかったのか?」
クリストファーは静かに話しているが、相当怒りを抑えているのが宰相にも軍部大将にもわかった。
宰相は頭を下げてクリストファーに謝罪をする。
「そうです、自分の行いで落とした名誉をなんとかしたいと考えたと思います。何よりミルアージュ様の才能をルーマンの王太子妃で埋もれるのはいけないと思われたようです。」
「あの才能は外に出してはいけないものだ…」
クリストファーの言葉に二人とも頷いた。
「はい、わかっております。ミルアージュ様を利用する輩は次から次に現れるでしょう。そして、ミルアージュ様はそれも受け入れてしまう。そして、最善という選択の為に命もかけるでしょう。」
「はぁぁ、ミアは私の言うことなんて聞かないからなぁ…」
クリストファーは大きく息を吐いた。
「とりあえずブランを呼び出せ。その後にこの話の続きをしよう。できるだけ穏便に済ませる方法を考えろ。」
「承知しました。」
そう言いながらも良い案が出てこない3人は頭を抱えていた。
ミルアージュはクリストファーに提案するもすぐに却下された。
「だめだ。レーグルトの動きが活発だからやるなら早めがいいだろう。何より次の集まりに私も一緒にいられるとは限らない。この話は正直、気が進まない。だから、私がいる時に会談をするのが条件だ。そうでなければ許可はできない。」
「クリス…」
ミルアージュは困ってレンドランドを見ると優しく頷いた。
「クリストファー殿のおっしゃる通りです。ルーマンの代表としてクリストファー殿にいてもらった方が良いでしょう。」
そうレンドランドが言う後ろで宰相で「ルーマン代表というよりミルアージュ様から離れたくないだけだろう」とボソリとつぶやいた。
クリストファーの耳にも聞こえたはずだが、レンドランドの賛成に笑顔で大きく頷いた。
「心配しなくてもいい、このチャンスは逃せないブランならすぐ来るよ。ミア達は楽しんでこい。その間にこちらでできる事は進めておく。ミアのそばにいるだけが私の仕事ではないからなぁ、宰相。」
クリストファーの嫌味を返した後、宰相と無言で睨み合いをしていた。
ミルアージュは「私もここにいようかしら」と声が出てしまうくらい殺気が出ている。
レンドランドは苦笑いを浮かべてミルアージュに手を差し出した。
「姉上、行きましょう。母上がお待ちですから。」
レンドランドはミルアージュを二人から引き離すようにエスコートして部屋を出る。
「大丈夫かしら、あの二人…」
気にかけながらも義母との面会を楽しみにしていたミルアージュはレンドランドに促されて馬車に向かう事にした。
「…ミアは行ったようだな。」
「はい。」
部屋にはクリストファーと宰相、軍部大将が残った。
「お前達の主は余計な事をしてくれた。」
「申し訳ありません。」
それに関しては宰相も軍部大将も同意していた。
「3カ国同盟自体はいい。レーグルトを抑えるために一番リスクが少なく、大きな結果が期待できる。」
「はい。」
「だがな、ミア抜きでも十分に通せただろう。どうしてミアを巻き込んだ?名誉を挽回させたかったのか?」
クリストファーは静かに話しているが、相当怒りを抑えているのが宰相にも軍部大将にもわかった。
宰相は頭を下げてクリストファーに謝罪をする。
「そうです、自分の行いで落とした名誉をなんとかしたいと考えたと思います。何よりミルアージュ様の才能をルーマンの王太子妃で埋もれるのはいけないと思われたようです。」
「あの才能は外に出してはいけないものだ…」
クリストファーの言葉に二人とも頷いた。
「はい、わかっております。ミルアージュ様を利用する輩は次から次に現れるでしょう。そして、ミルアージュ様はそれも受け入れてしまう。そして、最善という選択の為に命もかけるでしょう。」
「はぁぁ、ミアは私の言うことなんて聞かないからなぁ…」
クリストファーは大きく息を吐いた。
「とりあえずブランを呼び出せ。その後にこの話の続きをしよう。できるだけ穏便に済ませる方法を考えろ。」
「承知しました。」
そう言いながらも良い案が出てこない3人は頭を抱えていた。
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