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【第13話】婚礼と夜明けの誓い

婚礼の日は刻一刻と近づき、城の中は祝福と準備の熱気に包まれていた。

衣装合わせ、宝石の選定──商人たちを招き、ひとつひとつが未来を彩るように決めていく。



そして、婚礼前夜。

最後の家族との食事を終え、胸の奥が高鳴って仕方がなかった。

(明日とうとう、グラヴィスの妻になるんだ……ドキドキして眠れない♡)



夜は更け、星が瞬く。

私は期待と緊張を抱えたまま、ゆっくりとまぶたを閉じた。



──そして、とうとう訪れる婚礼の日。



今、私は花嫁衣装に身を包み、メイドたちの手によって最後の仕上げを受けている。

真紅の生地に宝石が散りばめられ、金糸が流れるように刺繍された衣装。

全身を磨き上げられ、香油の甘い香りがほのかに漂う。



鏡に映る自分を見て、思わず息をのむ。

(あぁ、今日……ようやく、グラヴィスの妻になるのね……)



胸が高鳴り、指先が震える。

髪は宝石の簪で美しくまとめ上げられ、唇には深紅の紅。

顔を覆うのは薄い赤のベール──それを上げることを許されるのは、ただ一人、夫となる彼だけ。



部屋で静かに待っていると、扉がノックされた。

花婿であるグラヴィスが、私を迎えに来てくれたのだ。



黒髪は赤い紐で束ねられ、黒衣には金の刺繍がきらめく。

その姿はまるで夜の王のようで、見惚れるほどに美しい。

私は息を呑み、思わず囁くように言葉をこぼした。



「……カッコ良すぎて、見惚れてしまいました」



彼はわずかに頬を染め、低く、穏やかに微笑む。

「それは、こちらの言葉です。今日の貴方様は……息をすることも忘れるほど、美しい。夢なら、覚めるなと願うほどに」



その一言で、胸の奥が一気に熱を帯びる。

(夢なら、覚めるなと……グラヴィス、そんなこと言われたら私……♡)



彼に手を引かれ、城の大聖堂へと向かう。

通路には民たちが並び、花びらを空へと舞い上げていた。

音楽が響き、鐘が鳴る。



大聖堂の扉が開かれた瞬間、光が差し込み、私たちを包み込む。

神父の前に立ち、誓いの言葉を交わす。

誓約書に互いの名を記し、指輪を交換し──

静かな拍手が、やがて大きな祝福の波へと変わっていった。



その瞬間、私は確かに感じた。

“私は今、この人の妻になったのだ”と。





---



――初夜



夜の帳が下り、月明かりが部屋を照らす。

私は再び磨き上げられ、薄紅の衣装に身を包む。

香炉からは花の香りが立ちのぼり、静かな夜の空気を柔らかく包み込む。



扉が開き、彼が静かに入ってくる。

互いに目が合い、言葉が出ないほどに心が満たされる。



グラヴィスはベールに手をかけ、そっと持ち上げた。

布の向こうで、彼の瞳がわずかに震えているのがわかった。



そして次の瞬間、唇が触れ合う。

優しく、深く、まるで時間が溶けていくような口づけ。

手と手が重なり、息が混ざり合い、心がひとつになる。



言葉は要らなかった。

愛しさと温もりが、すべてを語っていたから。





---



夜が明け、私は胸いっぱいの幸福を抱えて目を覚ます。

隣には穏やかな寝息を立てるグラヴィスの姿。

その横顔を見つめるだけで、涙がこぼれそうになる。



(昨日の夜は……夢みたいに幸せだった)



カーテンの隙間から光が差し込み、部屋をやわらかく照らす。

私の人生は今日から新しい章へと進む。

愛する推しとともに歩む道を、私は恐れずに選んだのだ。





(あとがき)

とうとう本物の夫婦になった二人♡ 面白いと思ったら感想、評価お願いします。
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