ポインセチアの咲く頃に

白石華

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続・ポインセチアの咲く頃に

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「というわけで今年もよろしく、ミズキ。」
「まあ、正さんにクリスマス付近でこの話を持ち掛けた私も迂闊でした。」

 結局。今年のクリスマスもミズキ(ポインセチアの植木鉢)を買うことになった俺だが。ミズキも呆れたようだったが今年も過ごしてくれることになった。

「来年はもうちょっと退出する時間を早めるか遅めるかします。」
「うん。来年こそはそうしよう。というわけでミズキも今年もクリスマスは何かする?」
「……。」

 俺の呼びかけに、ミズキは無言だったがそわそわしているようだ。

「街並みも一年で変わるところや新しいことにチャレンジする店ってあります?」
「うーん。そうだね。ちょこちょこ変わってはいるみたいかな。」
「ほうほう。」
「でも、やっぱりせっかくのクリスマスだから。
 ケーキを食べて、ごちそうを食べて、イルミネーションや街並みを見て。
 ってところは押さえないと。」

 なんだかんだでミズキと過ごすクリスマスに俺も乗り気だった。

「後は……そうですね。秋に食べた栗が美味しかったから。
 また食べたいというのはあります。」

 俺の住んでいる市、稲里市では栗が名産で栗の時期には稲里焼きという狐の形をした白いたい焼きみたいなのが売っていて、餡が栗になっているのと、あとタピオカの代わりに刻んだ栗を入れたホットドリンクも出される。ミルクココアとかカフェオレとかミルクティーとかに。他にも切り込みを入れて皮を割りやすくした焼き栗に、栗のシュークリームに、栗饅頭に、何といっても地元の栗を扱ったモンブランに。取れる時期は秋だが冬も出回ってはいる。他にも栗を飼料にした獣肉とかな。他にも栗のソフトクリームと商品開発も様々である。それだけ市で栗を名産として扱っているのだろう。

「栗か……今栗料理をしているところってあるかな。」
「い、いえ。料理屋まで探してもらう必要はないですよ。
 ひょっとしたらクリスマスディナーのための特別料理になってしまいます。
 どれだけお金がかかるのやら。」
「あ、そっか。」

 今の時期はクリスマス。レストランにとってもかき入れ時である。そんな時にディナーを探したら恋人たちの結構な思い出になれる飯と金額だろう。

「えーと。それじゃあ、去年と回るのは大体、同じでいいかな?」
「それもありますが正さん。今日はもう夜ですよ。」

 今日はクリスマス真っただ中のサイレントナイトでホーリーナイトであった。

「えーと。じゃあ、する?」
「そうですね。部屋を暖かくしてください。」

 既に慣れ切った俺たちの関係が再び始まるのだった。

 ・・・・・・。

「ん……っ。まだ冷たいですね。」
「そのうちあったかくなるよ。」

 お互い服を脱いで、ミズキとベッドの布団にもぐると。二人でごそごそと抱き合って体を温めていた。

「正さん。いただきます。」
「ん。」

 俺もミズキの捕食に慣れたもので唇を合わせるとにゅるんと舌が侵入してくる。

「ちゅ……れる。ちゅぷっ。ちゅふ……はふっ。」

 舌と唇を絡めあう行為と息遣いが聞こえてくる。

「んっ。ミズキ……っ。」

 ミズキの体……乳房に触れるとグラマーな肢体同様、そこだってむにゅんむにゅんしていた。

「きゃふっ。正さん……こっちを。」

 ミズキはにゅるにゅると舌を絡め、俺の咥内を貪っている。

「ミズキは、あんまり愛撫って必要ないの?」

 キスはキスでいいんだけど。俺もミズキとこう……触れ合いたい部分はあったから捕食として割り切られると寂しい部分はあったが、それが種族の違いというものだろう。

「一応、行為をすると言ってくだされば自分で準備を万端にするのも可能ですが。
 こうした方が……温かいですね。」
「うわっ。」

 ミズキに抱きしめられてしまい、体を擦り付けられる。ミズキの体はグラマーでどこも柔らかくてすべすべしている。ちょっと前までは当たり前のように、最初のころなんてほぼ毎日と言っていいほど堪能していたのに、ほんの少し(一か月かそこら)離れただけで、別れを意識しただけで、こんなに懐かしくなってしまうのだろうか。

「俺……ミズキとは別れられるのかな。」
「妖精と付き合うのは厄介な事になるからやめておいた方がいいです。」
 
 ミズキにきっぱりと言われてしまった。

「付き合う……じゃなくて、別の関係ならいいのかな?」
「正さん。人間の彼女がいたら私のことなどコロッと忘れるから大丈夫です。」
「そんなもんかな。」

 段々、せっかくのクリスマスに切なくなるような流れになってきたからこれで終わりにすることにした。

「正さん……さあ、来てください。」

 ミズキはミズキでムードを持ちなおそうと思ったのか俺を誘うようにするし蜜のような甘い芳香もする。ミズキの準備が整った時の匂いだ。ミズキはポインセチア、花の妖精で体からも蜜のように甘い香りがするし蜜の味がする。

「正さん……あっ。」

 ぎしっ。

 ミズキにのしかかろうとするとミズキもあお向けに体勢を変えて、俺の挿入を待つ。

 にちゅう……っ。

 脚を開かせ、花弁に挿入していくと、すでに潤っていて温かく解れた感触がする。ぐいぐいと奥まで入っていくと奥に引き込んで吸い付くような蠕動が起こる。奥まで入ってしまうと今度は獲物を捕らえた食虫植物のように逃がすまいと入り口を締めて、出すまで吸い付いてくるのだった。

「うっ、ううっ。ぐうっ。」

 抽送の度に、ぐいぐいとミズキの中が締まってくる。ぶちゅぶちゅと肉が絡みついてくる。

「きゃふっ。ああ……正さん。出しちゃってもいいですよ?
 そうしたらまたしましょう?」

 ミズキはエッチの時は随分と蠱惑的だった。そして本当に何度でもしてしまいそうになる。

「と。とりあえず。明日。起きられるぐらいには……。」

 今年のクリスマスイブは金曜日で土日が休みだった。こんな日に一人でいたら耐えられなくてミズキを買ったのだけど。もちろん、鉢植えを。

「ふふふ。なら何回ですか? こう……してっ。」

 ミズキがおなかをうねらせ、俺の方には強く吸い込まれたような締まりが来る。

「う、うわっ、ああっ!」

 びゅくっ。ビシュビシュっ!

「あ、ああ……あっ。」

 ほんの一か月、されど一か月。俺はミズキと別れ、それなりに婚活もしたのだがやはり一人のままだった。忙しかったのもあるし、処理らしい処理も満足にしなかった。それまで二人だったから。一人ですると本当にわびしくなるのもあった。そんな状態でこんなことをされたのもあるけど。それを合算してもこの吸い取られ方は……。

「離れていた分まで、しっかりと、いただきますね……。
 ああ……すごい。きゃふっ。」

 俺は意識がなくなるまでミズキに吸い取られていた。相変わらずだが妖精との行為は捕食であるのを思い出したのだった。
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