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Clear Color.2(Side B)
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引っ越しの作業は昨日のうちに終えてしまった。引っ越しは熱望してのものだったけれど、いざやろうとしても、お金なんてある訳もなく、引っ越しの準備はすべて友達を総動員して行った。まだ人生のうちの何年かしかこの土地にはいないはずなのに、荷物は膨大な量で、中型のトラックをレンタルした。ただ、レンタルをしたと言っても、僕には免許がなかったから、結局手配だけして、運転は友人の仲元にやってもらった。昨日はそんなこんなで、大量の荷物を運ぶだけで多くの時間を費やしてしまい、そのうちのすぐに使う荷物だけをリビングに残し、他のものは奥に押しやってしまった。それから家具やら荷物やらの最低限のものだけを配置していったはずなのに、それでも作業は夜中までかかってしまった。配置し終わったころには、垂れ流しにしていたアニメのDVDはすでに三順してしまっていて、いい加減にイライラしてしまうほどだった。それでも時にテレビに目が行ってしまったことが、ここまで作業を遅らせてしまった原因かもしれない。全く、ダメ人間っぷりは全く変わってはいない。
「モリー、明日の仕事は?」
配置まで手伝ってくれた仲元が買い物から帰ってきた。塾の仕事は、明日は休みだった。そのことを仲元に伝えると、笑顔で買い物袋から缶ビールを取り出した。
「モリー、今日は飲もう」
缶ビールを出す瞬間の幸せそうな仲元の顔を見ると、本当にこっちまで幸せな気分になる。
「引っ越しの時には飲むに限るよ」
「初めて聞いたけれど、そんな気がしてきたよ」
「なに、お清めに近いものだと思えばいいさ」
「それなら飲んだ方がいいんだろうな」
特に意味のない会話を並べて、僕たちは少し重みのある間のノブを、わざと音がなるように開けたのだった。
・・・という訳で、それから幸せにアルコールを体内に運んでいった結果、せっかくの休みは午後過ぎまで睡眠時間に費やされた。僕はどれだけお酒を飲んでも、寝てしまえばすべて消えてしまうので大丈夫なのだが、仲元は一度寝てしまうと、もうしばらくは活動停止してしまう。午後過ぎに目覚めた僕は、とりあえず仲元をそのままにして、家の近くの自販機からお茶を買ってきた。午後過ぎの日差しは寝起きの体には辛い。酒に強いとはいっても、この日差しを浴びれば、ついふらふらしてしまう。それでも、これまでの環境から離れて快適な生活が待っているのかと思うと、自然とそのふらふらが快感になってくる。酔ってもいないのに千鳥足で家にもどると、相変わらず仲元は横になっていた。冷たいお茶を顔に近づけると、少し唸った後に体勢を変えてすぐに眠りの世界に入ってしまう。本当に一度寝てしまったら起きることが困難な男だなと思う。お茶を口に含みながら、僕はぼんやりと窓から外を見た。もうすぐ夕方であろう日差しが窓を通して部屋の中に注いでいる。もうすぐ夜になるのだ。さすがにこのまま一日を終えるのももったいない気がした。とはいえ仲元が寝ている間は遠出もできない。仕方がないから、昨日奥に押しやった荷物の中のものを少し整理することにした。とはいえその荷物のほとんどは、昔買いそろえた雑誌や、もう着ることもない服ばかりだ。そんなものなら、そもそも捨ててしまえばいいと思われるかもしれないが、なんか少しでも今後使えるかもと思えば、どうしても捨てることができないのだ。そんな段ボール箱の山を目の前にして、隙間から小さな箱が見えた。他の段ボールと比べてみても半分以下の大きさだった。こんなものに何を詰めたのだろうと不審に思って封を開けると、いくつかの冊子が入っていた。僕はその冊子を手にとって、開いてみた。
その冊子の中身は小説だった。
「モリー、明日の仕事は?」
配置まで手伝ってくれた仲元が買い物から帰ってきた。塾の仕事は、明日は休みだった。そのことを仲元に伝えると、笑顔で買い物袋から缶ビールを取り出した。
「モリー、今日は飲もう」
缶ビールを出す瞬間の幸せそうな仲元の顔を見ると、本当にこっちまで幸せな気分になる。
「引っ越しの時には飲むに限るよ」
「初めて聞いたけれど、そんな気がしてきたよ」
「なに、お清めに近いものだと思えばいいさ」
「それなら飲んだ方がいいんだろうな」
特に意味のない会話を並べて、僕たちは少し重みのある間のノブを、わざと音がなるように開けたのだった。
・・・という訳で、それから幸せにアルコールを体内に運んでいった結果、せっかくの休みは午後過ぎまで睡眠時間に費やされた。僕はどれだけお酒を飲んでも、寝てしまえばすべて消えてしまうので大丈夫なのだが、仲元は一度寝てしまうと、もうしばらくは活動停止してしまう。午後過ぎに目覚めた僕は、とりあえず仲元をそのままにして、家の近くの自販機からお茶を買ってきた。午後過ぎの日差しは寝起きの体には辛い。酒に強いとはいっても、この日差しを浴びれば、ついふらふらしてしまう。それでも、これまでの環境から離れて快適な生活が待っているのかと思うと、自然とそのふらふらが快感になってくる。酔ってもいないのに千鳥足で家にもどると、相変わらず仲元は横になっていた。冷たいお茶を顔に近づけると、少し唸った後に体勢を変えてすぐに眠りの世界に入ってしまう。本当に一度寝てしまったら起きることが困難な男だなと思う。お茶を口に含みながら、僕はぼんやりと窓から外を見た。もうすぐ夕方であろう日差しが窓を通して部屋の中に注いでいる。もうすぐ夜になるのだ。さすがにこのまま一日を終えるのももったいない気がした。とはいえ仲元が寝ている間は遠出もできない。仕方がないから、昨日奥に押しやった荷物の中のものを少し整理することにした。とはいえその荷物のほとんどは、昔買いそろえた雑誌や、もう着ることもない服ばかりだ。そんなものなら、そもそも捨ててしまえばいいと思われるかもしれないが、なんか少しでも今後使えるかもと思えば、どうしても捨てることができないのだ。そんな段ボール箱の山を目の前にして、隙間から小さな箱が見えた。他の段ボールと比べてみても半分以下の大きさだった。こんなものに何を詰めたのだろうと不審に思って封を開けると、いくつかの冊子が入っていた。僕はその冊子を手にとって、開いてみた。
その冊子の中身は小説だった。
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