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実は変化を求めている人間程、実際に変化した時には人一倍拒否反応を示すものだ。ぬるま湯にも近い状況から少しばかり刺激的な楽しさを求めることを「変化」と呼ぶ。そんな刺激は時にとてつもない快楽を得ることもあれば、逆にとんでもない拒否反応を示すこともある。劇薬と言うものは正にも負にもとんでもないベクトルで進んでいく。もちろん悪い方に振れたら元に戻したい。けれども良い方に振れても同じことになる。快楽の果てに振り返ったところには何も残っていない。跡に何も残らないから快楽なのである。だから現実に良い変化でも悪い変化でも最終的には「昔の方が良かった」と思うのである。
春休みの最終日はとても不思議な日だった。昨日まではずっと雨が降り続いていて、せっかくの春休みだと云うのに家の中で漫画を読むしかなかったのだけれど、今日に限っては昨日が嘘のように晴れ渡った空だった。普段そんなことなんてしないのだが、橋本は起きるとすぐに寝まきから部屋着に着替えて表に出た。玄関から出るとすぐ目の前が道路なので、風流でもないし、気持ちよくもなんともない。それでも玄関の扉を開けると、視界に光が広がって、ふわりと包み込まれるような気持ちがした。目を閉じてもその光は入ってきて、眩しかったけれども気持ち良かった。どこかに咲いているであろう花の匂いが風に運ばれてくる。昨日までの雨もあって、風は暖かくも少し冷たくて丁度良い。明日から始まる憂鬱な新学期のことを忘れてしまいそうな気分になった。いや、忘れることは出来なかったが、新学期の憂鬱なんてどうだっていい。もっと言えば、何か新学期にとてつもなく素晴らしいことが起きる予感さえしていた。
一年前の今日はこんな憂鬱な気分なんて微塵も持っていなかった。小学校を卒業したなかりの自分にとって、中学校とは未知の領域で、これから起こる変化に歓迎の意を示していた。小学校は小学校で毎日がとても楽しかった。変な仲間意識は正直鬱陶しいこともあったけれど、その変な仲間意識が小学生特有の「イジメ」という問題を消してくれていたこともあって、それはそれで心地よかった。そんな毎日が何年も続くと、もうそれが当たり前になっていて、これよりも悪くなるという状態が想像できなくなってしまう。この辺りの中学校は2つの小学校の生徒が合わさる形で進学する。中学校で人数が増える分、仲間が増えるという想像しかしていなかった。しかし、それは本当に甘い想像でしかなかった。確かにそれは大きな変化だった。けれども、小学校の毎日が薄いパステル色なら、中学校の毎日は淀んだ灰色。何種類もの絵の具を筆洗いで混ぜたような色。違う小学校の生徒が入ってくるということがこんなにも大きなことだとは思わなかった。あんなに毎日本音を言い合っていた仲間が、相手の顔色を見ながら機嫌を取るような会話ばかりしている。、誰がどもグループで、このグループとあのグループは仲がいいとか悪いとか、そんな顔ばかりが並んでいる。橋本にとって、それは恐ろしい変化だった。まるで昔からそうであるようにかつての仲間は嘘を重ねた毎日を送っていた。橋本は急な変化に対応しきれずに、ずっと様子を見るような真似しか出来なかった。そのうち、そんなグループとは少し距離を置いたグループに身を置くようになった。表面上だけ原色な仲間が筆洗いで灰色に混ぜられていくのを橋本は遠目で見ていた。そこにかつての仲間の姿はなかった。ようやく見つけた新しい仲間ではあったが、橋本にはその時にはもう、人間というものの本性がどこにあるのかも分からなくなっていた。素直に全てを曝け出す人間と、周りに合わせている人間の区別がつかなくなっていた。今いるグループのメンバーにさえ、半分疑いの目を向けていた。今、こうして笑っているのは本音?それとも建前?考えれば考えるほど分からない。そしてそうした時ほどマイナスの方へと思考が進んでいくのだ。
春休みの最終日はとても不思議な日だった。昨日まではずっと雨が降り続いていて、せっかくの春休みだと云うのに家の中で漫画を読むしかなかったのだけれど、今日に限っては昨日が嘘のように晴れ渡った空だった。普段そんなことなんてしないのだが、橋本は起きるとすぐに寝まきから部屋着に着替えて表に出た。玄関から出るとすぐ目の前が道路なので、風流でもないし、気持ちよくもなんともない。それでも玄関の扉を開けると、視界に光が広がって、ふわりと包み込まれるような気持ちがした。目を閉じてもその光は入ってきて、眩しかったけれども気持ち良かった。どこかに咲いているであろう花の匂いが風に運ばれてくる。昨日までの雨もあって、風は暖かくも少し冷たくて丁度良い。明日から始まる憂鬱な新学期のことを忘れてしまいそうな気分になった。いや、忘れることは出来なかったが、新学期の憂鬱なんてどうだっていい。もっと言えば、何か新学期にとてつもなく素晴らしいことが起きる予感さえしていた。
一年前の今日はこんな憂鬱な気分なんて微塵も持っていなかった。小学校を卒業したなかりの自分にとって、中学校とは未知の領域で、これから起こる変化に歓迎の意を示していた。小学校は小学校で毎日がとても楽しかった。変な仲間意識は正直鬱陶しいこともあったけれど、その変な仲間意識が小学生特有の「イジメ」という問題を消してくれていたこともあって、それはそれで心地よかった。そんな毎日が何年も続くと、もうそれが当たり前になっていて、これよりも悪くなるという状態が想像できなくなってしまう。この辺りの中学校は2つの小学校の生徒が合わさる形で進学する。中学校で人数が増える分、仲間が増えるという想像しかしていなかった。しかし、それは本当に甘い想像でしかなかった。確かにそれは大きな変化だった。けれども、小学校の毎日が薄いパステル色なら、中学校の毎日は淀んだ灰色。何種類もの絵の具を筆洗いで混ぜたような色。違う小学校の生徒が入ってくるということがこんなにも大きなことだとは思わなかった。あんなに毎日本音を言い合っていた仲間が、相手の顔色を見ながら機嫌を取るような会話ばかりしている。、誰がどもグループで、このグループとあのグループは仲がいいとか悪いとか、そんな顔ばかりが並んでいる。橋本にとって、それは恐ろしい変化だった。まるで昔からそうであるようにかつての仲間は嘘を重ねた毎日を送っていた。橋本は急な変化に対応しきれずに、ずっと様子を見るような真似しか出来なかった。そのうち、そんなグループとは少し距離を置いたグループに身を置くようになった。表面上だけ原色な仲間が筆洗いで灰色に混ぜられていくのを橋本は遠目で見ていた。そこにかつての仲間の姿はなかった。ようやく見つけた新しい仲間ではあったが、橋本にはその時にはもう、人間というものの本性がどこにあるのかも分からなくなっていた。素直に全てを曝け出す人間と、周りに合わせている人間の区別がつかなくなっていた。今いるグループのメンバーにさえ、半分疑いの目を向けていた。今、こうして笑っているのは本音?それとも建前?考えれば考えるほど分からない。そしてそうした時ほどマイナスの方へと思考が進んでいくのだ。
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