Clear Color

松山秋ノブ

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Clear Color.13(Side B)

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 姉を捜してほしいと言った少女の顔は一切の曇りがなかった。もはや僕のことをからかって言っているのではないことは明らかだった。それでも言っている意味が分からなくて、僕は改めて彼女に問うた。

「姉を捜してほしいとは、どういうことですか?」

その言葉を予想していたのか彼女は、無理もないか、という顔をして、ゆっくりと自身の状況を話し始めた。ミサキは昨年出逢った男性と結婚する予定だったらしい。まずミサキが結婚するということに驚いたが、それは軽く流すふりをしておいた。確かにミサキは一瞬フランス人形に見違えるほどの容姿で、ショートボブの髪型が良く似合う可愛らしいというカテゴリに入る女性ではあった。しかし、そういったことに無頓着で、絶対に婚期を逃すと思っていた。人生何があるか分からないとはいえ、これは本当に意外だった。ミサキはそんな状況で、何の前触れもなしに家を出たという。そういえばミサキはずっと実家暮らしだった。自分はおろか、家族も婚約者も行き先も家を出た原因も分からない中、彼女は僕を訪ねてきたのだった。

「僕に出来ることなら協力するけど・・・」

そう言うと彼女の顔は安堵に満ちた。

「でも、どうして僕なんだい。他にもいるでしょ」

きっとこの質問はされることを想定していたのだろう。まるで用意された答えを言うように息をつく間もなく答えた。

「姉が事あるごとに森下さんの話をしていたことを思い出したんです」

どうやらミサキが僕のことを妹に話していたようだ。余りに楽しそうに話していたものだから、きっと仲が良いのだろう、と思ったらしい。あわよくば、行き先をしっているかもしれない、と思ったのだ。

「ごめんね。僕は彼女が家を出たことすらも君に言われるまで知らなかったんだ」

「そうですか。でも反応でなんとなく察しはついていました」

ちょっと落胆したみたいだったけれど、彼女はめげずに言った。

「ただ、それでもいいんです。私に協力してもらえませんか」

「それはいいけど、僕はどうすればいいの」

彼女は鞄からメモ帳を取り出して、日付を確認し始めた。

「簡単です。私がめぼしい場所をピックアップしたので、道案内も含めて、いっしょに回ってほしいんです」

そんなことなら、とすぐに僕は返事をした。都会は初めてなので助かります、と彼女は微笑んだ。ところで、いつ付き添えばいいの、と訊くと、いつが休みですか、と逆に訊き返された。僕は今火曜と日曜が休みなので、それを伝えた。すると、早速次の火曜を指定された。幸い何も予定が無かったから、二つ返事でオッケーをした。火曜の11時に新百合ヶ丘駅に来てほしいと。それでは!と言うと、彼女は意気揚々と帰っていった。その後ろ姿に、姉を失った悲壮感はなく、むしろこれから始まる諸々に、期待さえ抱いているようだった。

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