Clear Color

松山秋ノブ

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Clear Color.25(Side B)

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 えっ、と一瞬彼女の表情が変わった気がした。でも本当に一瞬だった。綺麗な夕焼けに幽かにあった雲みたい、普通に過ごしていれば絶対に気付くことはなかっただろう。でも僕はそれを見逃さなかった。昔から人の粗とか、そういう悪だくみとか、そんなものばかりが目についてしまう僕だから分かったのだろうと思う。でも彼女もそんなに単純な子ではなかった。本当に一瞬だけ見せた曇りのあと、

「来たかったからですよ。」

と笑ってごまかした。ごまかした、というのは、それに僕が気づいているからで、そうでなければ本当に自然な会話だったと思う。

「来たかった、って、誰が。」

「私が、ですよ。いや、それ以外ないじゃないですか。」

それでも、僕はミサを捜すことに協力しているのであって、その理由を鵜呑みにできるはずもなかった。

「そこにお姉さんはいるの。」

「いや、いないと思いますよ。」

分かっていた答えだったけれど、余りにもあっさりと答えられてしまうから、僕も一瞬拍子抜けしてしまった。彼女と話していると拍子抜けしてしまうことがよくある。

「あのさ、この間の公園。あそこでミサは写真を撮っていたよね。」

一瞬、また彼女の空気が止まった。今度はさっきよりも分かりやすかったと思う。

「もしかすると、ここにも昔お姉さんが来てるってこと。」

彼女は足を止めるか、止めないかを迷った挙句、歩きながら話す方を選んだ。

「ええ、そうですよ。まぁ、これまでのことを考えれば難しい想像ではないですけど。」

声に変化はなかったけれど、きっと表情は動揺しているのだろう。彼女は前を向いたまま僕の方を見ようとはしなかった。

「でも、それだけですよ。何も手がかりはありません。無いから、姉が行ったことのある場所を巡っていくしかないんです。」

 前回の公園に行ったときから、きっとその場所に行ったところでミサはいないんだろうということは分かっていた。きっと手がかりも余りなんだろう、と。でも彼女がそんな場所を巡っているのは、もしかすると手がかりが無いだけではないのではないか、そういう考えもあった。彼女の雰囲気、話し方、まだ会って3回目だけれど、何も考えずに闇雲に行動するような子ではない、と思った。僕も職業柄いろいろな子どもと接しているから分かる。きっと彼女は彼女なりの考えがあって動いているのだろう、と。

「いや、それだけじゃないよね。ここに来たのって。」

彼女は立ち止って、後ろを行く僕の方を振り返った。そして大きく息をついた。

「やっぱり。」

そう言うと、今度は何かを決めたように、

「姉が言っていた通りでした。」

と言った。
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