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Clear Color.26(Side B)
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「姉が言っていました。森下さんはとても頭がいいって。」
へっ、と一瞬驚いてしまった。まぁ、自分では大学も出ているし、一応こうやって塾の講師もやっているくらいだから、頭が悪いとは思っていないけれど、面と向かって言われると何だかちょっと変な具合。それも人づてに聞くというのも照れる。返答に困ってしまった結果があの「へっ」だったと思う。
「でも、僕もそんなに全部は分からないから、教えてくれないかな。」
「それは出来ません。」
その返答はすぐだった。
「それに、きっと森下さんならすぐに分かりますから。」
ちょっと意地悪そうな微笑みはミサにそっくりだった。僕はミサがそういう表情をすると、いつも意地悪なことを言って返していた。
「教えてくれないと、もう協力しないって言っても。」
ミサはいつも僕のそんな意地悪な返しに動じたりしない、ちょっと考えはするけれど、
「それは大丈夫ですよ。」
「何故。」
「森下さんはそんな冷たい人じゃないから。」
そう、いつもミサは僕よりも一枚上手だ。ミサが僕のことを「頭が良い」と言うならば、きっとミサは「賢い」んだと思う。違いは良くは分からないけれど、でも僕は一生かかってもミサに勝つことはできない。その笑顔に僕はやられてしまい、そして僕は幸せな苦笑いをする。そして僕は最後にミサが望むような質問をする。
「それもお姉さんが教えてくれたこと。」
えへへ、と笑うと、彼女は僕に答えた。
「もちろん。」
彼女と話していると、本当にミサと話しているような気分になる。まぁ、姉妹だから当たり前なのだけれど。しばらくミサに会っていないこともあって、そんな感覚も忘れていた。彼女に会ってまだ数回だけれど、こうして彼女と話していると、ミサとの時間や思い出を増やしていっているような気がする。本当はミサと過ごすはずだった時間を埋めていくように、ゆっくりとゆっくりと流れていく時間に逆らって、僕はミサとの時間を紡いでいるのだと思う。彼女とこうしていろいろな推理をしながらミサのことを考えていると、ミサのことが少しずつ分かってくる気がする。あの頃には自分のことばかりで考えもしなかったミサのことが。ミサは僕のことを分かってくれていたのに、僕はミサのことを全く分かっていなかったから。
へっ、と一瞬驚いてしまった。まぁ、自分では大学も出ているし、一応こうやって塾の講師もやっているくらいだから、頭が悪いとは思っていないけれど、面と向かって言われると何だかちょっと変な具合。それも人づてに聞くというのも照れる。返答に困ってしまった結果があの「へっ」だったと思う。
「でも、僕もそんなに全部は分からないから、教えてくれないかな。」
「それは出来ません。」
その返答はすぐだった。
「それに、きっと森下さんならすぐに分かりますから。」
ちょっと意地悪そうな微笑みはミサにそっくりだった。僕はミサがそういう表情をすると、いつも意地悪なことを言って返していた。
「教えてくれないと、もう協力しないって言っても。」
ミサはいつも僕のそんな意地悪な返しに動じたりしない、ちょっと考えはするけれど、
「それは大丈夫ですよ。」
「何故。」
「森下さんはそんな冷たい人じゃないから。」
そう、いつもミサは僕よりも一枚上手だ。ミサが僕のことを「頭が良い」と言うならば、きっとミサは「賢い」んだと思う。違いは良くは分からないけれど、でも僕は一生かかってもミサに勝つことはできない。その笑顔に僕はやられてしまい、そして僕は幸せな苦笑いをする。そして僕は最後にミサが望むような質問をする。
「それもお姉さんが教えてくれたこと。」
えへへ、と笑うと、彼女は僕に答えた。
「もちろん。」
彼女と話していると、本当にミサと話しているような気分になる。まぁ、姉妹だから当たり前なのだけれど。しばらくミサに会っていないこともあって、そんな感覚も忘れていた。彼女に会ってまだ数回だけれど、こうして彼女と話していると、ミサとの時間や思い出を増やしていっているような気がする。本当はミサと過ごすはずだった時間を埋めていくように、ゆっくりとゆっくりと流れていく時間に逆らって、僕はミサとの時間を紡いでいるのだと思う。彼女とこうしていろいろな推理をしながらミサのことを考えていると、ミサのことが少しずつ分かってくる気がする。あの頃には自分のことばかりで考えもしなかったミサのことが。ミサは僕のことを分かってくれていたのに、僕はミサのことを全く分かっていなかったから。
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