Clear Color

松山秋ノブ

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Clear Color.27(Side B)

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 そびえたつ電波塔の麓に立った時、僕はそれを見上げて一瞬立ちくらんでしまった。僕も何度か来たことがあるこの場所を、その度に僕は見上げては同じ感覚になる。高いところ自体は得意でも不得意でもないけれど、人間があんな高いところまで登れるということに不思議な幻想を感じてしまう。険しい山登りをすることも僕には不思議に感じるが、この電波塔は階段やエレベータで一気にほぼ真上に上ってしまう。人間にそんなことが可能なのだろうか、もしかすると、僕たちはこの大きな建物の持つ何かトリックのようなものに騙されているのかもしれない。そう思うと、その真偽を自分の足で確かめざるを得ない。そういうこともあり、僕は決してエレベータでは絶対に上らない。それは経験があるならば分かるが、そんなに容易なことではない。それもあり、覚悟の意味もあって僕は立ちくらみをしてしまうのだと思う。

「登るのかな」

僕が訊くと、彼女は笑顔で笑い返した。

「えぇ。」

そう、と僕は答え、僕はエレベータを使わずに階段で行くことを告げた。

「そしたら私は上で待っていますね」

彼女は余り驚かずにそう言うと、さっさと中に入って行ってしまった。ちょっとその素振りに僕の方が驚いてしまったけれど、僕は気にしないで階段に行った。本来の階段は約15~30分くらいかけて上に行くのだけれど、僕はそんなに時間をかけはしない、走って上がっていく、どんどんと先客を抜いていき、僕は目的地へと近付いていく。そんなに風景なんて見ない。もちろん余りの高さに立ちすくんでしなうということもあるけれども、出来れば風景は上に着いてから見たい。そうしないと驚きが無くなってしまうから。目隠しをしていられるのならそうしていたいくらいだ。でもそれが出来ないから、僕は風景を見ずに一気に上がっていく。そして5分~10分で上がった僕はちょっと汗を掻きながら彼女の姿を捜した。彼女はジュースを2つ持って僕を待っていた。

「はい、森下さん。」

と手渡されると、僕は疲れで思わずすぐにジュースを飲んだ。口にして僕は驚いた。それは僕が大好きなメロンソーダだった。

「それで良かったですか。」

と笑う彼女の姿から、確信的でないことは予想できたが、それにしては奇跡に近い選択だったと思う。高校生相手ならつゆ知らず、仮にも僕は社会人である。喉が渇いてメロンソーダを飲むなんてどう予想できるだろうか。屈託の無い彼女の姿を見て、改めて僕は彼女やミサの力を思い知った。今目の前にしている彼女の笑顔はやっぱりミサに似ていた。その笑顔を前にして、僕はメロンソーダという最高の選択をしてもらったが、もしかするとどんな飲み物でも最高に感じるのかもしれない。そういえば僕は思い出した。僕がメロンソーダを最高に好きになったのも、やっぱりミサのせいだったのだ。
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