Clear Color

松山秋ノブ

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Clear Color.30(Side B回想)

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「だとしたら・・・」

ミサが不敵なそして反面、不安な顔を見せた。

「私といることも選んだことなんだよね。」

まぁ、そういうことになるよね、と僕は返した。返したはいいけれど、改めてそう言われると心の中で少し躊躇ってしまう。

「私といることは良いこと、悪いこと?」

多分そう訊かれるんだろうな、と思っていた。仮にもミサとこうして結構な機会を話していると、何となく相手の言うことが分かってくる。ただそれをどうして言うのかは分からない。僕は決定的なところで女性の感情構成が分かっていないのだと思う。何気なく訊いていることもちょっと複雑に考えてしまうし、その逆もある。感情を知ることはとても難しいと思う。例え行動パターンは分かっても心までは分からない。もしかしたら本当は頑張れば理解できるのかもしれない。でも僕はその域に行こうとは思わない。それが出来たところで、もし僕が望まないような気持ちだったらどうだろう。今まで通りに話すことはまず不可能だろう。望むものばかりがこの世に溢れている訳ではないのだ。僕の好きなココナッツクッキーの中にレーズンクッキーが混ざっている感じ。いや、レーズンクッキーの方が多いのかもしれない。

「とりあえずね」

「とりあえず、どっち?」

本当にミサは適当なところでは離してくれない。

「良いこと」

言った後で僕はメロンソーダに手を伸ばそうと思って、まだ来ていないことに気付いた。喫茶店の飲み物はこういうときに飲む為にあるのに、全くもってタイミングが悪い。別に深い意味なんて無い、だからはっきりと言えばよい。けれども仮にも女性を目の前に褒め言葉を言うことはとてつもなく恥ずかしかった。もう何年もそういったことを言ってない気がした。

「お待たせしました、メロンソーダです。」

タイミングが悪いと思っていたら、ギリギリで間に合った。僕はテーブルに置かれたメロンソーダに手を伸ばした。メロンの味がしないその味は僕が好むものそのものだった。甘ったるい感じに炭酸が喉の奥で鳴っている。甘ったるいものが好きな僕には炭酸は必要ないのだが、多分甘ったるいだけだと僕はメロンソーダをここまで好きになっていなかっただろう。逆に得意でない炭酸が入っていることがちょうど良い。好きなものだけだとすぐに飽きてしまう。ちょっと苦手だったり、ちょっと刺激があるくらいがちょうど良い。

「私もね。」

メロンソーダを一口飲んでミサは言った。

「フミといることは良いことだよ。」
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