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1章 始まりの街
16話 リコとアヤネ
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件名:明日からについて
差出人:リサ
宛先:アヤネ
本文:今日はバイトが休みだからログインしているけど、明日からは夜にしか来れない。もし、日中に狩りをしたいのなら、トウジョウ君を貸す。ログアウト中でも、トウジョウ君は準NPCとして、プレイヤーとPTが組めるから、一緒に行動すれば、レベル上げが出来るぞ。
ログインすると、メールが1通届いていた。リサから送られたもので、レベル上げを手伝うという内容だった。アヤネは返事を返す。
件名:ありがとう!
差出人:アヤネ
宛先:リサ
本文:ありがとう! レベルを上げたい時はPTを組むよ。
それから、リサちゃんに会いたいっていう人がいるの。私の専属の編集者の人だけどいいかな? 良ければメールをください。
送信をすると、アヤネは個室を後にする。
「待ち合わせは…噴水だったね」
涼子と待ち合わせの場所へと向かう。事前に、キャラの名前と容姿を伝えていたので、向こうから探してくれる。リサと待ち合わせした、噴水前に立つと、周辺を見渡す。
「ん?」
背中を突かれる。振り返ると、小柄で猫耳を生やした少女が立っていた。
「お待たせニャン」
可愛く、手を握りしめて猫を招くような仕草をする少女は、リコいうネームが頭に浮かんでいた。
「……恥ずかしくないですか? 涼子さん」
「うぅ…素で言わないでほしいわ」
顔を真っ赤にするリコは、ポカポカとアヤネを殴る。可愛らしくて思わず頭を撫でてしまう。
「りょう…あ~リコさん?」
「リコでいいわよ。アヤネさん」
アヤネの手を払いのけると、フレンド申請の画面が表示される。YESを選択すると、リサに続き、2人目のフレンドが追加された。そう、2人目だ。アヤネはフレンドを作らず、今までソロで活動していた。
男性プレイヤーからPTを誘われる事もあったが、その都度、逃げるようにして走り去った。おかげで、アヤネは始まりの街でも、孤立した存在になっていた。女性プレイヤーから、声を掛けられ、PTに誘われる事もあったが、丁寧に断った。
「……リコちゃんでいいですか?」
「ん~、別にいわよ。私はアヤネって呼ぶわね」
頭に生えた耳をピクピク動かす猫耳少女。リコは縞模様の尻尾を揺らし、アヤネを見上げる。アヤネもリコを見下ろす。
「その、凄く強いのですね」
「始まりの街では、負けないわよ」
自信ありげに話すリコは、鑑定眼鏡で見る限り、始まりの街ではトッププレイヤーになる実力を持っていた。
リコ
種族:獣人【猫】
職業:怪盗キャット
LV:60
HP3330/3330【毎分20回復】
MP:2330/2330【毎分20回復】
STR:560【+500】
VIT:360【+1000】
AGI:1060【+1000】
DEX:560
INT:360【+500】
LUK:1060
ステータスポイント:0【3600】
共通スキル
HPアップ:LV6…+600【165】
MPアップ:LV6…+600【165】
STRアップ:LV6…+60【165】
VITアップ:LV6…+60【165】
AGIアップ:LV6…+60【165】
DEXアップ:LV6…+60【165】
INTアップ:LV6…+60【165】
LUKアップ:LV6…+60【165】
全異常耐性:LV6【165】
全属性耐性:LV6【165】
専用スキル
キャットウォーク:LV5【200】
気配遮断:LV5【200】
飛行脚:LV5【200】
見切り:LV5【200】
盗み手:LV5【200】
投擲:LV5【200】
無音脚:LV5【200】
幻術魔法:LV6【310】※プレゼントスキル
スキルポイント:240【3600】
称号:ゴブリンハンター【100/100】ホブゴブリンハンター【100/100】王殺【500/500】獣ハンター【100/100】破壊神【1000/1000】タワー制覇者【500/500】
リサのトウジョウ君を考えると、不思議とリコのステータスに圧倒に凄いとは感じない。リコは自慢げに胸を張っているが、アヤネ的には感動も何も感じない。
「その装備、ガチャの代物ですか?」
「そう、メインで引いて職業が適正じゃないから、こっちにプレゼントで送ったの」
リコの装備は、全身が黒いタイツに覆われ、その上に、ラフなシャツにショートパンツ、ブーツを履いている。この全てがガチャで出た装備らしい。武器は、短剣を持っている。投げても手元に戻ってくる短剣らしい。
「アヤネも強くなるわよ。私のあげた物、使ってるでしょ?」
「はい、消耗品として使ってますよ。おかげでレベルが上がりました」
アヤネは自分のステータスを確認する。
アヤネ
種族:人間
職業:イラストクリエイター
LV:25
HP:910/910
MP:810/810
STR:30【+10】
VIT:50【+300】
AGI:30【+10】
DEX:30
INT:100【+200】
LUK:15
ステータスポイント:0【255】
共通スキル
HPアップ:LV2…+200【15】
MPアップ:LV2…+200【15】
VITアップ:LV1…+10【10】
INTアップ:LV2…+20【15】
専用スキル
コピーライター:LV1【50】
モノクロ武器:LV1【50】
ペイント召喚:LV1【50】
カラーリング魔法:LV1【50】
スキルポイント:0【255】
称号:ゴブリンハンター【30/30】
消耗品で、インクを貰い、これを使う事でスキルが使用できる。イラストライターはリアルマネーを消費するスキルがあり、ペイント召喚、カラーリング魔法がそれにあたる。
TDOでは、カラーインクはNPCの店では売っておらず、課金でしか販売されていない。その為、モノクロでしか書けないが、アヤネの場合は、リコから譲り受けたインクのおかげで、カラフルに描かれる。
同じイラストライターの職業でも、アヤネは一歩有利に進んでいる。全て、リコのおかげである。何となく、リコの頭を撫でてしまう。
「アヤネ、恥ずかしい」
「あ、ごめんなさい、リコちゃん」
リアルの涼子は理沙と同じで背が高く、スタイルもいい。でも、ゲーム内では子供の姿にしてキャラを作っている。そのギャップに自然と手が動いてしまう。
「リコちゃん、今から何処か行くの?」
「そうだね。アヤネのレベル上げでも手伝うよ。友達はまだ来れないでしょ?」
「うん、リサちゃんは、バイトだから20時ぐらいにしか来れないよ」
時刻は14時を過ぎており、アヤネはリコとPTを組む事にした。まだ、タワーに挑戦できないので、冒険者のランクを上げる為にクエストを行う。
リコの話ではEランクのクエストは、Fランクと似ており、ゴブリンの討伐が、ホブゴブリンの討伐になる。ホブゴブリンは、ゴブリンより背が高く力も強い。集団で襲われると、負けてしまう。
「ホブゴブリンは北西に多く住んでるわ。ゴブリンと同じ、上限数達成報酬は1000体で、加護の指輪が貰えるわ。HPが回復する指輪ね」
リコに見せてもらうと、右手の中指に2つの指輪を嵌めていた。MPを使うスキルが多い為、MPが回復する祝福の指輪は必要品である。HPが回復する加護の指輪は、それ程必要と感じないが、HPを消費するスキルがあるので、欲しい人は手に入れる。
「面倒だからやらないけど、同じ指輪を集めて合成すると、回復量が増えるの。でも、LUKが低いと失敗するわね」
失敗すると、壊れてなくなるらしい。ゴブリンを討伐して手に入る指輪は、消耗品でもあり、時間の経過で耐久力が無くなり壊れてしまう。合成で、耐久時間が伸びて、最終まで合成させると、壊れない指輪になる。それまでに最低でも2回の合成が必要になる。
祝福の指輪+祝福の指輪=祝福の指輪改
祝福の指輪改+祝福の指輪改=祝福の指輪完
失敗を考えずにすると、全部で4個の指輪が必要になる。そうなると、ゴブリンを4000体倒す必要性があるが、
「4000もゴブリンを倒すのも面倒だし、探すのも疲れるわ」
溜息交じりで話す。その面倒な事をリサはゴーレムBOTを使い行っている。よくよく考えると、チートだと思う。
(今頃、トウジョウ君だけでゴブリンを倒してるんだろうな…)
アヤネの考えている通り、トウジョウ君はゴブリンを倒し終えていた。8時間と言う稼働時間を過ぎ、今は消えてしまっているが、経験値とドロップアイテムは記録されている。
リサがログインした時、還元されるが、あまりにも多い事に驚くが、まだ、本人は来ていない。
アヤネは、マップを確認し、始まりの街を出たフィールドを歩く。リコが楽しそうに尻尾を揺らして歩いていた。
「そういえば、リコちゃんのメインは、ログインしなくていいの?」
「いいわよ。メインの方は飽きたから」
新鮮さが無く飽きて、攻略しているディアナのタワーが、難しくて、挫折したと話す。
「本当に、プレイヤー殺しの場所だわ。罠も多いし、モンスターも凶暴だし、ソロじゃ無理ね」
「PTは組まないの?」
「組んだわ。組んでも10階層までしか行けないの。ほら、ソロで10階層に到達したプレイヤーがいたでしょ? あれ、ソロって言うけど、私達とPTを組んでたのよ」
リコのメインキャラは、アヤネと同じイラストライターと言う職業で、廃課金キャラである。仲間の聖女、勇者、ソルジャー、アサシンの5人でPTを組んで挑み、ソルジャーのプレイヤーが生き延びた。
1人1人が1カ月、100万円課金している廃課金プレイヤーのPT構成で挑んだが、結果は10階層到達で終わった。罠に苦しめられ、モンスターの脅威に晒され敗北。
「そうなんだ…」
「いくら課金しても、勝てない。それなら、他のキャラを作り気分転換をする。そのつもりで、リコを作ったけど、今は、こっちが主体になってきたわ。初めての職業で、ポイントも多かったしね」
「う、リコちゃんもなの? 羨ましい」
リサも初めての職業でポイントを多く貰えたと話していた。最初にステータス、スキルのポイントが、500ポイントもあれば、育成も有利になる。
「それに、検証で、無課金プレイヤーは優遇されるって示されたから、リコは、当初のメインキャラより、高いステータスよ」
アヤネも涼子…否、リコに言われて、課金を一切していない。今は、リコからの支援で、消耗品の課金アイテムを使えるが、何時まで使えるか分からない。消耗品が無くなれば、アヤネは弱体化する。
「アヤネも、無課金を通す方がいいわよ。その方が、優遇されるわ。因みに、チュートリアルタワーを全てクリアすれば、レアアイテムやスキルが報酬で貰えるわね」
タワーとして存在する代表的なフィールドを経験する事が出来るのは、始まりの街にあるチュートリアルタワーだけである。
1階層=森
2階層=草原
3階層=海
4階層=砂漠
5階層=墓場
6階層=火山地帯
7階層=雪山地帯
8階層=浮遊島
9階層=遺跡
10階層=異空間
他にも種類はあるが、代表的なフィールドは10階層しかなく、広さはそれ程でもない。出現するモンスターも弱いらしいが、地形を超えるのが苦労する。準備を怠れば死ぬと言う事を経験させる為のチュートリアルタワーである。
リコは全てをクリアしており、プレゼントで幻術魔法を手に入れている。アイテムも貰っているようで、首輪を嵌めている。身代わりの首輪と言うらしくて、中央に魔石が3つ嵌められている。
モンスターを倒せばドロップする魔石は、LUKが高くないと手に入らない。リコは1000以上のLUKを持つので、モンスターを倒した時、魔石を手に入れている。魔石なら何でも使用でき、首輪に嵌める事で、3回まで、即死ダメージを身代わりで受けてくれる。
魔石さえあれば何度でも使える装備品で、耐久値は無く、壊れない仕様である。これが、チュートリアルタワーの全階層をクリアした報酬になる。只、同じ物が貰えるとは限らない。職業により変わり、無課金でクリアすれば、報酬も多くなる。
アヤネはリコと話をしながら、狩りを行う。見つけたモンスターを倒す前に、リコが短剣を投擲させ、ポリゴン化させて倒してしまう。アヤネの出番がない。
「リコちゃん、私も…」
「いいよ、インク代も掛かるし、私だけで十分だし!」
木々の後ろにいたゴブリンへ短剣を投擲する。木を貫通させてゴブリンを突きさす。刺さった短剣が消えるとリコの手元に戻る。帰還の短剣と呼ばれる装備で、投擲用の武器になる。
NPCの店で購入するナイフや短剣は、投擲するとその場に残る。回収する手間が省ける素晴らしい武器である。ガチャから出た武器で、リコはこれを複数所持している。
(いいのかな?)
申し訳なく思いながらも、リコに寄生しながら、アヤネはフィールドを歩く。昨日の狩りを思うと、効率は下がるが、それでも、経験値は多く入っていた。リコも少しは経験値を受け取っているが、レベル差で、アヤネの方が多く貰えた。
差出人:リサ
宛先:アヤネ
本文:今日はバイトが休みだからログインしているけど、明日からは夜にしか来れない。もし、日中に狩りをしたいのなら、トウジョウ君を貸す。ログアウト中でも、トウジョウ君は準NPCとして、プレイヤーとPTが組めるから、一緒に行動すれば、レベル上げが出来るぞ。
ログインすると、メールが1通届いていた。リサから送られたもので、レベル上げを手伝うという内容だった。アヤネは返事を返す。
件名:ありがとう!
差出人:アヤネ
宛先:リサ
本文:ありがとう! レベルを上げたい時はPTを組むよ。
それから、リサちゃんに会いたいっていう人がいるの。私の専属の編集者の人だけどいいかな? 良ければメールをください。
送信をすると、アヤネは個室を後にする。
「待ち合わせは…噴水だったね」
涼子と待ち合わせの場所へと向かう。事前に、キャラの名前と容姿を伝えていたので、向こうから探してくれる。リサと待ち合わせした、噴水前に立つと、周辺を見渡す。
「ん?」
背中を突かれる。振り返ると、小柄で猫耳を生やした少女が立っていた。
「お待たせニャン」
可愛く、手を握りしめて猫を招くような仕草をする少女は、リコいうネームが頭に浮かんでいた。
「……恥ずかしくないですか? 涼子さん」
「うぅ…素で言わないでほしいわ」
顔を真っ赤にするリコは、ポカポカとアヤネを殴る。可愛らしくて思わず頭を撫でてしまう。
「りょう…あ~リコさん?」
「リコでいいわよ。アヤネさん」
アヤネの手を払いのけると、フレンド申請の画面が表示される。YESを選択すると、リサに続き、2人目のフレンドが追加された。そう、2人目だ。アヤネはフレンドを作らず、今までソロで活動していた。
男性プレイヤーからPTを誘われる事もあったが、その都度、逃げるようにして走り去った。おかげで、アヤネは始まりの街でも、孤立した存在になっていた。女性プレイヤーから、声を掛けられ、PTに誘われる事もあったが、丁寧に断った。
「……リコちゃんでいいですか?」
「ん~、別にいわよ。私はアヤネって呼ぶわね」
頭に生えた耳をピクピク動かす猫耳少女。リコは縞模様の尻尾を揺らし、アヤネを見上げる。アヤネもリコを見下ろす。
「その、凄く強いのですね」
「始まりの街では、負けないわよ」
自信ありげに話すリコは、鑑定眼鏡で見る限り、始まりの街ではトッププレイヤーになる実力を持っていた。
リコ
種族:獣人【猫】
職業:怪盗キャット
LV:60
HP3330/3330【毎分20回復】
MP:2330/2330【毎分20回復】
STR:560【+500】
VIT:360【+1000】
AGI:1060【+1000】
DEX:560
INT:360【+500】
LUK:1060
ステータスポイント:0【3600】
共通スキル
HPアップ:LV6…+600【165】
MPアップ:LV6…+600【165】
STRアップ:LV6…+60【165】
VITアップ:LV6…+60【165】
AGIアップ:LV6…+60【165】
DEXアップ:LV6…+60【165】
INTアップ:LV6…+60【165】
LUKアップ:LV6…+60【165】
全異常耐性:LV6【165】
全属性耐性:LV6【165】
専用スキル
キャットウォーク:LV5【200】
気配遮断:LV5【200】
飛行脚:LV5【200】
見切り:LV5【200】
盗み手:LV5【200】
投擲:LV5【200】
無音脚:LV5【200】
幻術魔法:LV6【310】※プレゼントスキル
スキルポイント:240【3600】
称号:ゴブリンハンター【100/100】ホブゴブリンハンター【100/100】王殺【500/500】獣ハンター【100/100】破壊神【1000/1000】タワー制覇者【500/500】
リサのトウジョウ君を考えると、不思議とリコのステータスに圧倒に凄いとは感じない。リコは自慢げに胸を張っているが、アヤネ的には感動も何も感じない。
「その装備、ガチャの代物ですか?」
「そう、メインで引いて職業が適正じゃないから、こっちにプレゼントで送ったの」
リコの装備は、全身が黒いタイツに覆われ、その上に、ラフなシャツにショートパンツ、ブーツを履いている。この全てがガチャで出た装備らしい。武器は、短剣を持っている。投げても手元に戻ってくる短剣らしい。
「アヤネも強くなるわよ。私のあげた物、使ってるでしょ?」
「はい、消耗品として使ってますよ。おかげでレベルが上がりました」
アヤネは自分のステータスを確認する。
アヤネ
種族:人間
職業:イラストクリエイター
LV:25
HP:910/910
MP:810/810
STR:30【+10】
VIT:50【+300】
AGI:30【+10】
DEX:30
INT:100【+200】
LUK:15
ステータスポイント:0【255】
共通スキル
HPアップ:LV2…+200【15】
MPアップ:LV2…+200【15】
VITアップ:LV1…+10【10】
INTアップ:LV2…+20【15】
専用スキル
コピーライター:LV1【50】
モノクロ武器:LV1【50】
ペイント召喚:LV1【50】
カラーリング魔法:LV1【50】
スキルポイント:0【255】
称号:ゴブリンハンター【30/30】
消耗品で、インクを貰い、これを使う事でスキルが使用できる。イラストライターはリアルマネーを消費するスキルがあり、ペイント召喚、カラーリング魔法がそれにあたる。
TDOでは、カラーインクはNPCの店では売っておらず、課金でしか販売されていない。その為、モノクロでしか書けないが、アヤネの場合は、リコから譲り受けたインクのおかげで、カラフルに描かれる。
同じイラストライターの職業でも、アヤネは一歩有利に進んでいる。全て、リコのおかげである。何となく、リコの頭を撫でてしまう。
「アヤネ、恥ずかしい」
「あ、ごめんなさい、リコちゃん」
リアルの涼子は理沙と同じで背が高く、スタイルもいい。でも、ゲーム内では子供の姿にしてキャラを作っている。そのギャップに自然と手が動いてしまう。
「リコちゃん、今から何処か行くの?」
「そうだね。アヤネのレベル上げでも手伝うよ。友達はまだ来れないでしょ?」
「うん、リサちゃんは、バイトだから20時ぐらいにしか来れないよ」
時刻は14時を過ぎており、アヤネはリコとPTを組む事にした。まだ、タワーに挑戦できないので、冒険者のランクを上げる為にクエストを行う。
リコの話ではEランクのクエストは、Fランクと似ており、ゴブリンの討伐が、ホブゴブリンの討伐になる。ホブゴブリンは、ゴブリンより背が高く力も強い。集団で襲われると、負けてしまう。
「ホブゴブリンは北西に多く住んでるわ。ゴブリンと同じ、上限数達成報酬は1000体で、加護の指輪が貰えるわ。HPが回復する指輪ね」
リコに見せてもらうと、右手の中指に2つの指輪を嵌めていた。MPを使うスキルが多い為、MPが回復する祝福の指輪は必要品である。HPが回復する加護の指輪は、それ程必要と感じないが、HPを消費するスキルがあるので、欲しい人は手に入れる。
「面倒だからやらないけど、同じ指輪を集めて合成すると、回復量が増えるの。でも、LUKが低いと失敗するわね」
失敗すると、壊れてなくなるらしい。ゴブリンを討伐して手に入る指輪は、消耗品でもあり、時間の経過で耐久力が無くなり壊れてしまう。合成で、耐久時間が伸びて、最終まで合成させると、壊れない指輪になる。それまでに最低でも2回の合成が必要になる。
祝福の指輪+祝福の指輪=祝福の指輪改
祝福の指輪改+祝福の指輪改=祝福の指輪完
失敗を考えずにすると、全部で4個の指輪が必要になる。そうなると、ゴブリンを4000体倒す必要性があるが、
「4000もゴブリンを倒すのも面倒だし、探すのも疲れるわ」
溜息交じりで話す。その面倒な事をリサはゴーレムBOTを使い行っている。よくよく考えると、チートだと思う。
(今頃、トウジョウ君だけでゴブリンを倒してるんだろうな…)
アヤネの考えている通り、トウジョウ君はゴブリンを倒し終えていた。8時間と言う稼働時間を過ぎ、今は消えてしまっているが、経験値とドロップアイテムは記録されている。
リサがログインした時、還元されるが、あまりにも多い事に驚くが、まだ、本人は来ていない。
アヤネは、マップを確認し、始まりの街を出たフィールドを歩く。リコが楽しそうに尻尾を揺らして歩いていた。
「そういえば、リコちゃんのメインは、ログインしなくていいの?」
「いいわよ。メインの方は飽きたから」
新鮮さが無く飽きて、攻略しているディアナのタワーが、難しくて、挫折したと話す。
「本当に、プレイヤー殺しの場所だわ。罠も多いし、モンスターも凶暴だし、ソロじゃ無理ね」
「PTは組まないの?」
「組んだわ。組んでも10階層までしか行けないの。ほら、ソロで10階層に到達したプレイヤーがいたでしょ? あれ、ソロって言うけど、私達とPTを組んでたのよ」
リコのメインキャラは、アヤネと同じイラストライターと言う職業で、廃課金キャラである。仲間の聖女、勇者、ソルジャー、アサシンの5人でPTを組んで挑み、ソルジャーのプレイヤーが生き延びた。
1人1人が1カ月、100万円課金している廃課金プレイヤーのPT構成で挑んだが、結果は10階層到達で終わった。罠に苦しめられ、モンスターの脅威に晒され敗北。
「そうなんだ…」
「いくら課金しても、勝てない。それなら、他のキャラを作り気分転換をする。そのつもりで、リコを作ったけど、今は、こっちが主体になってきたわ。初めての職業で、ポイントも多かったしね」
「う、リコちゃんもなの? 羨ましい」
リサも初めての職業でポイントを多く貰えたと話していた。最初にステータス、スキルのポイントが、500ポイントもあれば、育成も有利になる。
「それに、検証で、無課金プレイヤーは優遇されるって示されたから、リコは、当初のメインキャラより、高いステータスよ」
アヤネも涼子…否、リコに言われて、課金を一切していない。今は、リコからの支援で、消耗品の課金アイテムを使えるが、何時まで使えるか分からない。消耗品が無くなれば、アヤネは弱体化する。
「アヤネも、無課金を通す方がいいわよ。その方が、優遇されるわ。因みに、チュートリアルタワーを全てクリアすれば、レアアイテムやスキルが報酬で貰えるわね」
タワーとして存在する代表的なフィールドを経験する事が出来るのは、始まりの街にあるチュートリアルタワーだけである。
1階層=森
2階層=草原
3階層=海
4階層=砂漠
5階層=墓場
6階層=火山地帯
7階層=雪山地帯
8階層=浮遊島
9階層=遺跡
10階層=異空間
他にも種類はあるが、代表的なフィールドは10階層しかなく、広さはそれ程でもない。出現するモンスターも弱いらしいが、地形を超えるのが苦労する。準備を怠れば死ぬと言う事を経験させる為のチュートリアルタワーである。
リコは全てをクリアしており、プレゼントで幻術魔法を手に入れている。アイテムも貰っているようで、首輪を嵌めている。身代わりの首輪と言うらしくて、中央に魔石が3つ嵌められている。
モンスターを倒せばドロップする魔石は、LUKが高くないと手に入らない。リコは1000以上のLUKを持つので、モンスターを倒した時、魔石を手に入れている。魔石なら何でも使用でき、首輪に嵌める事で、3回まで、即死ダメージを身代わりで受けてくれる。
魔石さえあれば何度でも使える装備品で、耐久値は無く、壊れない仕様である。これが、チュートリアルタワーの全階層をクリアした報酬になる。只、同じ物が貰えるとは限らない。職業により変わり、無課金でクリアすれば、報酬も多くなる。
アヤネはリコと話をしながら、狩りを行う。見つけたモンスターを倒す前に、リコが短剣を投擲させ、ポリゴン化させて倒してしまう。アヤネの出番がない。
「リコちゃん、私も…」
「いいよ、インク代も掛かるし、私だけで十分だし!」
木々の後ろにいたゴブリンへ短剣を投擲する。木を貫通させてゴブリンを突きさす。刺さった短剣が消えるとリコの手元に戻る。帰還の短剣と呼ばれる装備で、投擲用の武器になる。
NPCの店で購入するナイフや短剣は、投擲するとその場に残る。回収する手間が省ける素晴らしい武器である。ガチャから出た武器で、リコはこれを複数所持している。
(いいのかな?)
申し訳なく思いながらも、リコに寄生しながら、アヤネはフィールドを歩く。昨日の狩りを思うと、効率は下がるが、それでも、経験値は多く入っていた。リコも少しは経験値を受け取っているが、レベル差で、アヤネの方が多く貰えた。
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相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
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異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
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