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1章-1
ビビオは旅支度をする
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あのあと、自分たちの部署へ戻る道中ガランは「まともだと思ったのに…まさか天然だったとは」とぶつぶつ言いながらも恐ろしく精密に魔法を再現するビビオに「ありがたい」と感謝された。
毎回、「欲しかったら頭を下げろ」のくだりがありガランも億劫ではあったようだ。しかし、魔法の再現についていったいどうやって?と聞かれたが「ここではちょっと」と伝えてビビオははぐらかした。
ガランは止まることなく次は隣の部屋へ移動した。国家歴史調査部の真横には外出で司書が必要な装備を管理している部屋がある。部屋では大量のロッカーがあり、杖でタッチをすると扉が開き中に装備一式が入っていた。
「雨を凌ぐ性能付きの外套だ、着るとちょうどいいサイズになる。あとは魔力で水が満たされる水筒、魔力で開くテント、携帯食、防水ブーツ、この荷袋に全て入っている」
ビビオはロッカーから取り出した荷袋を背負う。恐ろしく軽く体への負担はだいぶ軽減されるように作られている。
シュバニアルは恐らく世界でも随一の技術力をもっている。それは始まりの王子たちが図書館の設備をより快適に、司書たちがより情報集めを効率的にできるようにという執念によるものだ。
長寿のエルフが扱う精密な元素魔法と設計に長けた人間、技術をもったドワーフなど他種族たちで協力し、魔法の力を物にとどめることに成功した。必要な魔力はそれをため込むための装置をつくりだし、国のあらゆる人から税として魔力を徴収することで国全体に還元しながらインフラ整備につとめている。
「ここにあるのは必要最低限だ、次は旅に必要なものを街で買いそろえよう」
階段を下りて外へ出ると、あの広大な庭をつっきって外へでる。ちなみにショートカットできる技術は存在するがあえて足を動かすようなつくりになっているのは司書は体力がなければならないという脳筋的理由によるものだ。
中央図書館近郊は他国でいうところの城下町で、中央に恐ろしく広い車道があり、図書館が管理しているバスが走っている。車道の両端には樹木が並び、その横に伸びる歩道を二人は歩いていた。
歩道に並ぶ店は気軽に立ち入るにはおハイソで展開している商店も上品で高性能、そのかわりお値段も高単価というラインナップだ。
「ここらへんに売ってるのは、まあいわゆる司書御用達ってやつでな。司書は内勤も多いがそれ以上に外回りをする者が多いから、そんな俺らのための道具がいっぱい売ってあるんだよ。あ、購入はツケで大丈夫だぞ、図書館へ回されるからな。ただし資金上限はあるからなんでも買うことはできんぞ」
ガランの説明をふんふんと聞きながら、ビビオは興味深げにきょろきょろと見回した。
田舎出身者であるビビオは、都会に出たのだからと街中に興味がないわけではなかったが、学生時代はシンプルに金がなかった。
一番の目的である書籍は図書館で何冊でも無料で見ることができるし、司書になってからは分館周りの安い店に入り浸っていたのでこうしてまじまじと見ることがあまりなかったのだ。
「おもしろそうな店がたくさんありますが、なんとなく私には入りにくい雰囲気です」
「はは、だよな。俺も入りにくいし司書とは言っても地方の出身だと肩身がせまくてなぁ」
そう言うと、ガランは立ち止まって店と店の間にある細い通路に親指をくいと向けた。
「だから、俺たちが入りやすい店に行ってみようぜ」
毎回、「欲しかったら頭を下げろ」のくだりがありガランも億劫ではあったようだ。しかし、魔法の再現についていったいどうやって?と聞かれたが「ここではちょっと」と伝えてビビオははぐらかした。
ガランは止まることなく次は隣の部屋へ移動した。国家歴史調査部の真横には外出で司書が必要な装備を管理している部屋がある。部屋では大量のロッカーがあり、杖でタッチをすると扉が開き中に装備一式が入っていた。
「雨を凌ぐ性能付きの外套だ、着るとちょうどいいサイズになる。あとは魔力で水が満たされる水筒、魔力で開くテント、携帯食、防水ブーツ、この荷袋に全て入っている」
ビビオはロッカーから取り出した荷袋を背負う。恐ろしく軽く体への負担はだいぶ軽減されるように作られている。
シュバニアルは恐らく世界でも随一の技術力をもっている。それは始まりの王子たちが図書館の設備をより快適に、司書たちがより情報集めを効率的にできるようにという執念によるものだ。
長寿のエルフが扱う精密な元素魔法と設計に長けた人間、技術をもったドワーフなど他種族たちで協力し、魔法の力を物にとどめることに成功した。必要な魔力はそれをため込むための装置をつくりだし、国のあらゆる人から税として魔力を徴収することで国全体に還元しながらインフラ整備につとめている。
「ここにあるのは必要最低限だ、次は旅に必要なものを街で買いそろえよう」
階段を下りて外へ出ると、あの広大な庭をつっきって外へでる。ちなみにショートカットできる技術は存在するがあえて足を動かすようなつくりになっているのは司書は体力がなければならないという脳筋的理由によるものだ。
中央図書館近郊は他国でいうところの城下町で、中央に恐ろしく広い車道があり、図書館が管理しているバスが走っている。車道の両端には樹木が並び、その横に伸びる歩道を二人は歩いていた。
歩道に並ぶ店は気軽に立ち入るにはおハイソで展開している商店も上品で高性能、そのかわりお値段も高単価というラインナップだ。
「ここらへんに売ってるのは、まあいわゆる司書御用達ってやつでな。司書は内勤も多いがそれ以上に外回りをする者が多いから、そんな俺らのための道具がいっぱい売ってあるんだよ。あ、購入はツケで大丈夫だぞ、図書館へ回されるからな。ただし資金上限はあるからなんでも買うことはできんぞ」
ガランの説明をふんふんと聞きながら、ビビオは興味深げにきょろきょろと見回した。
田舎出身者であるビビオは、都会に出たのだからと街中に興味がないわけではなかったが、学生時代はシンプルに金がなかった。
一番の目的である書籍は図書館で何冊でも無料で見ることができるし、司書になってからは分館周りの安い店に入り浸っていたのでこうしてまじまじと見ることがあまりなかったのだ。
「おもしろそうな店がたくさんありますが、なんとなく私には入りにくい雰囲気です」
「はは、だよな。俺も入りにくいし司書とは言っても地方の出身だと肩身がせまくてなぁ」
そう言うと、ガランは立ち止まって店と店の間にある細い通路に親指をくいと向けた。
「だから、俺たちが入りやすい店に行ってみようぜ」
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