雨上がりのブレイクタイム

九鈴小都子

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生活を整える

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早めに寝たおかげか、笹花は6時に目が覚めた。いつもは起きるのもおっくうで、8時、9時、10時とふとんで時間を過ごしていた。

ぱちりと目を瞬かせると、布団の中でゆっくりと伸びをする。6月初め、朝方は涼しく気持ちが良い。笹花は昨日から燃え出した活力をバネにして起き上がり、早速洗濯機のスイッチを入れた。

洗濯が終わるまでに久しく食べていなかった朝食を作り出す。トースターに食パンを放り込み、フライパンに火をかけると、まずはベーコンを弱火でじっくり焼く。
少しカリッとしたら卵を落とし、しばらく置いてから水を入れて蓋をする。レタスをぶちぶちちぎり大きめの皿に盛ると、プチトマトを二つそえ、焼きあがったベーコンと目玉焼き、食パンをのせてワンプレート風の朝食が完成した。

「では、いただきます」

半熟にした目玉焼きをつぷりと割って、ベーコンと一緒にぱくり。食パンをちぎって流れ出た黄身をすくいぱくり。あっというまに食べ終わり、インスタントコーヒーをすすって一息ついていると、洗濯終了の音が鳴った。

「さーてさてやるか」

ぐっとコーヒーを飲み込んで流しへ片付けると、洗濯物干しに取り掛かることにした。


6月にしては天気がよく、笹花は冷えた空気を吸い込みながらベランダで洗濯物を吊るし始めた。やっと洗うことができた布団用シーツも竿に引っ掛け、乾いたときのお日様の匂いが今から楽しみになった。


部屋に戻って時計を確認すると、7時30分だ。

「まだまだ時間がある!」

そこで、音楽を流しながらゆっくりと外出準備に取り掛かった。


まずは化粧の時間だ。気合いを入れて化粧をするのはいつぶりだろうかと考えながら、厚くならないよう、しかし滑らかに見える肌を目指して慎重にファンデーションを塗り、染み、隈、くすみなんてもとからありませんがとでもいうようにコンシーラを使う。
流行りは濃いめのアイメイク、ラメ入りのオレンジと赤茶をまぶたに重ね、口紅も同系色。

鎖骨まである髪はコテで内はね外はねとふわっと感を出し、服は辛子色のロングニットワンピース。


これらの作業を丁寧に丁寧にしていると、あっという間に2時間たった。


ここまでおしゃれをして、特に誰かと会う予定もなく、行き先は図書館である。しかし笹花にとって、ちょっと図書館まで行くこともめっきりとなかったのだ。こうしておしゃれをすることで外出がぐっと楽しみになる。

本日の笹花の目標は、新しい趣味のヒントを探しに行くことだ。気持ちも前向きになり、いいものがみつかるかもしれない、と弾む足取りで外へ向うのだった。
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