雨上がりのブレイクタイム

九鈴小都子

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いざ山散策

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次の週、前回購入したものを全て装備して、電車とバスを乗り継ぎ笹花は登山入り口があるパーキングにきていた。梅雨が明けて天気がよくなり、雲も多いが晴れている。標高が高いため空気はひんやりとしていて長袖でも少し肌寒いくらいだ。

近くにある総合案内所で周辺地図を手に取り見てみると、頂上へ上がる道もあれば横に行ってトレッキングをするコース、ちょっと散策する人向けなど行ける場所は色々あるようだ。

とりあえず散策コースに行ってみようと、意気揚々と歩き出す。観光地となっているため雑貨小物や飲食店など外観が山の雰囲気とマッチした店ばかりだ。笹花は興味深げにあちこちに目をやりながら、ブナ林が生い茂る森林の散策へ向かった。


道のような道もないが、ならされた森林へ入ってすぐにふかふかの足元に気づく。


「土が柔らかい」


笹花は少し足踏みをして感触を確かめる。きっと植物の成長に役立つんだろうということが素人にもわかるふかふか感だ。地図にのっている説明によると、落葉樹のため秋から冬に葉が落ちて、落ち葉を微生物が分解してこんな土になるんだとか。


「ちゃんとサイクルができてるんだ」


なるほどと頷き、のんびりと歩きだす。
ブナ林は木が密集していないことと、高い位置に枝葉があることから広いドームのような空間がありとても歩きやすい。水が綺麗で美味しいことも有名らしく、水汲み場まである。流れる水に少しだけ触れるとその冷たさに驚いてすぐに手を引っ込めた。
もう一度、今度は手に水をくんでのんでみる。


「おいしい!」


冷たいのにとても柔らかい口当たりで飲みやすい。このために持ってきた空の水筒にくんでふたをしめる。


「明日、hotoriに持って行こう」


ほくほくと水筒をカバンにしまい、さらに進もうとしたとき。

ひらひらと舞う二匹の蝶にカメラを向けている背の高い男性がいた。
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