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クラス転移編
建設予定地を決めよう
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あれからしばらく飛行を続けた。
山の奥にちらほらと村が見える、あそこはなんという村なのだろう。
そう思いながら前に向き直すと、ずっと遠くの方に馬のようなものが見えた。
スピードホースではない、普通の馬だ。荷台はなく、馬の上に人が乗っている。
見たことのある金髪が目に入った。あれはダンだ。
「やっとか」
俺は少しずつ高度を下げながらダンに近づく。
ダンの馬はパカラッパカラッと爽快な音を立てて前へ前へ走っている。
その馬のピッタリ横に並ぶ。ダンと目が合った。
「うええ!? ユウト!?」
「話はあとだ、転移するぞ」
「はいぃ!? なになになになにっ」
次の瞬間、ダンと馬、俺が青い光に包まれた。
どうせだから馬もついでに連れて行こうという粋な計らいである。
程なくして景色が変わる。メビウスの街の前にやってきた。幸い誰にも見られていない。見られていても「なんかいたんだけど」くらいで済むだろう。
「おいユウト! どういうつもりだ!」
「なに、暇になったからさ、マールボロ城の手伝いでもしようと思ってな」
今も尚走り続ける馬の横を並走しながら、俺は爽やかな笑顔でそう言った。
「いやそうじゃねぇだろ! せめて止まるのを待ってくれよ!」
「お前そんなキャラだったっけ」
もっと真面目なキャラだったような気がするが……きっと一度に大変なことが起こりすぎて真面目を保てないのだろう。
「このまま草原を進んでくれ、走りながら話す」
「おう」
ダンは転移に戸惑いあたふたする馬を鎮める。
すまんな、スピード勝負なんだ。早く魔大陸に行かなければ腕試しが終わってしまう。
「お前をメビウスに転移させた理由はな、拠点の建設予定地を早く決めたいからだ。今もどこに作るか考えとけよ」
「いきなりすぎるだろ」
「できるだけメビウスから離れた方がいいな……と、あの湖の近くなんてどうだ?」
「お、いいな。アイコスの街も巨大な湖に接してるから雰囲気も良くなりそうだ」
そういやアイコス、というかマールボロ城の裏にはとんでもないでかさの湖があるんだよな。
昔と変わらない、多分世界最大の湖だ。琵琶湖を見て鼻で笑うレベル。
あの巨大な噴水の正体はあの湖の水源だ。
「案外早く決まったな、魔物には気をつけろよ。北大陸の魔物は中央大陸よりも強いからな」
「でも少し強いくらいのはずだろ? SSランクを舐めないでほしいな」
「お前らはSに近いSSだけどな」
正直改定前から引き継いだ冒険者ランクはそこまで宛にならない。
実力は確かだが、SSランクと聞いて納得できるかと聞かれたら、答えられる自信は無い。
「ああ、だからこそ魔大陸の調査は大事な任務だ。下手したらSランクに落ちてしまうかもしれない」
「へぇ、そんなに関わってくるのか。何か成果を出さないと、本当にSランク落ちするかもな」
実際、クラスのSランクとダンが戦ったとしたらダンに勝ち目はない。
そもそも戦闘慣れしている人間が少ないので、魔物がいなかった時に戦闘ができるというだけでも、簡単にランクを上げることができた。
だから、クラスのSランクでも少し頑張れば追いつけてしまう。いや、チートがある分、もっと簡単に追い越せてしまう。
やがて目標地点にしていた湖に到着した。
ダンの馬はゆっくり減速しながら、その足を止めた。俺はそこまでスピードを出していなかったので、少し減速してからすたっと着地した。
湖は決して小さくはない、かと言って大きいかと言われればそうでもない。
湖畔には背の高い草が生い茂っている。
「よし、じゃあダンは草刈りしててくれ。俺はマールボロ城に戻る。すぐに戻ってくるから待ってろ」
「お前の転移は本当にすぐだから困るよ」
大人数を一度に転移するのはかなり疲れるが、決めたからには仕方がない。
そこまで魔力を使っているわけでもないので、転移自体は余裕だ。
ただ、疲れる。魔法は使いすぎると反動で頭が重くなってしまうので、極力時間を空けたい。
ひとまずマールボロ城に転移だ。入口の辺りに荷物をまとめていたので、入口に転移する。
再び転移魔法を使用する、青い光、何百何千回と使ってきたこの魔法は、何個目の世界で手に入れたのだろう。
考えていると、既に俺は城の入口に立っていた。
前よりも荷物が増えている。こんなに運ぶのか。
「おっ来たねユウトくん、ちょうど準備が終わったところだよ」
「そうですか、転移は多くても10人ずつってことでいいですか?」
「全然いいよ、あと、兵士以外に北大陸について行く冒険者も来てくれたよ」
え、また人が増えるのか。兵士だけでも大変だっていうのに。
そう思い振り返ると、そこには見慣れた顔が並んでいた。
ミント、ソウル、ザン、イア……と、レッドブルーグリーン!?
「まて、なんでお前らまでいるんだ。小麦村はどうした」
「アイコスに遊びに来てたら、誘われたんすよ」
「びっくりしました、急に王様に呼び止められて」
「ユウトさんが連れていってくれるんですよね?」
ああもう人数が多い、ごちゃごちゃだ。
マジでか、マジでこの三人も北大陸に連れて行くのか。
「……お前ら、魔重石は持ち上げられたのか?」
「うん! あれからめちゃくちゃ修行したからね!」
敬語使え。って、ええ!?
今こいつなんて言った? うん、こいつは今うんって言ったのか?
え、あの石を持ち上げたの? イアでも重そうにしてたのに。
掲げるような持ち方だったとはいえ、イアが十秒で耐えきれなくなった石だ。数ヶ月で持ち上げるとは、やはり天才か。
いや確かにイアとかザンに戦い方を教えたいとか言われてちょくちょく小麦村まで転移させてやってたけども。
あの二人は教えるのも上手いのか、羨ましいぞ。
「じゃあその腰についてるのは……」
「ユウトさんが村長に渡してた剣ですよ!」
「やっぱりかぁ……はぁ、よし。いいぜ、連れてってやる、そろそろお前らの実力も見たかったからな」
急遽、俺は弟子? であるカラフル三人衆を北大陸の拠点へ連れていくことになった。
その後、俺は転移、転移、転移、転移また転移と、城からダンの居る拠点の建設予定地まで転移を繰り返す作業に移った。
山の奥にちらほらと村が見える、あそこはなんという村なのだろう。
そう思いながら前に向き直すと、ずっと遠くの方に馬のようなものが見えた。
スピードホースではない、普通の馬だ。荷台はなく、馬の上に人が乗っている。
見たことのある金髪が目に入った。あれはダンだ。
「やっとか」
俺は少しずつ高度を下げながらダンに近づく。
ダンの馬はパカラッパカラッと爽快な音を立てて前へ前へ走っている。
その馬のピッタリ横に並ぶ。ダンと目が合った。
「うええ!? ユウト!?」
「話はあとだ、転移するぞ」
「はいぃ!? なになになになにっ」
次の瞬間、ダンと馬、俺が青い光に包まれた。
どうせだから馬もついでに連れて行こうという粋な計らいである。
程なくして景色が変わる。メビウスの街の前にやってきた。幸い誰にも見られていない。見られていても「なんかいたんだけど」くらいで済むだろう。
「おいユウト! どういうつもりだ!」
「なに、暇になったからさ、マールボロ城の手伝いでもしようと思ってな」
今も尚走り続ける馬の横を並走しながら、俺は爽やかな笑顔でそう言った。
「いやそうじゃねぇだろ! せめて止まるのを待ってくれよ!」
「お前そんなキャラだったっけ」
もっと真面目なキャラだったような気がするが……きっと一度に大変なことが起こりすぎて真面目を保てないのだろう。
「このまま草原を進んでくれ、走りながら話す」
「おう」
ダンは転移に戸惑いあたふたする馬を鎮める。
すまんな、スピード勝負なんだ。早く魔大陸に行かなければ腕試しが終わってしまう。
「お前をメビウスに転移させた理由はな、拠点の建設予定地を早く決めたいからだ。今もどこに作るか考えとけよ」
「いきなりすぎるだろ」
「できるだけメビウスから離れた方がいいな……と、あの湖の近くなんてどうだ?」
「お、いいな。アイコスの街も巨大な湖に接してるから雰囲気も良くなりそうだ」
そういやアイコス、というかマールボロ城の裏にはとんでもないでかさの湖があるんだよな。
昔と変わらない、多分世界最大の湖だ。琵琶湖を見て鼻で笑うレベル。
あの巨大な噴水の正体はあの湖の水源だ。
「案外早く決まったな、魔物には気をつけろよ。北大陸の魔物は中央大陸よりも強いからな」
「でも少し強いくらいのはずだろ? SSランクを舐めないでほしいな」
「お前らはSに近いSSだけどな」
正直改定前から引き継いだ冒険者ランクはそこまで宛にならない。
実力は確かだが、SSランクと聞いて納得できるかと聞かれたら、答えられる自信は無い。
「ああ、だからこそ魔大陸の調査は大事な任務だ。下手したらSランクに落ちてしまうかもしれない」
「へぇ、そんなに関わってくるのか。何か成果を出さないと、本当にSランク落ちするかもな」
実際、クラスのSランクとダンが戦ったとしたらダンに勝ち目はない。
そもそも戦闘慣れしている人間が少ないので、魔物がいなかった時に戦闘ができるというだけでも、簡単にランクを上げることができた。
だから、クラスのSランクでも少し頑張れば追いつけてしまう。いや、チートがある分、もっと簡単に追い越せてしまう。
やがて目標地点にしていた湖に到着した。
ダンの馬はゆっくり減速しながら、その足を止めた。俺はそこまでスピードを出していなかったので、少し減速してからすたっと着地した。
湖は決して小さくはない、かと言って大きいかと言われればそうでもない。
湖畔には背の高い草が生い茂っている。
「よし、じゃあダンは草刈りしててくれ。俺はマールボロ城に戻る。すぐに戻ってくるから待ってろ」
「お前の転移は本当にすぐだから困るよ」
大人数を一度に転移するのはかなり疲れるが、決めたからには仕方がない。
そこまで魔力を使っているわけでもないので、転移自体は余裕だ。
ただ、疲れる。魔法は使いすぎると反動で頭が重くなってしまうので、極力時間を空けたい。
ひとまずマールボロ城に転移だ。入口の辺りに荷物をまとめていたので、入口に転移する。
再び転移魔法を使用する、青い光、何百何千回と使ってきたこの魔法は、何個目の世界で手に入れたのだろう。
考えていると、既に俺は城の入口に立っていた。
前よりも荷物が増えている。こんなに運ぶのか。
「おっ来たねユウトくん、ちょうど準備が終わったところだよ」
「そうですか、転移は多くても10人ずつってことでいいですか?」
「全然いいよ、あと、兵士以外に北大陸について行く冒険者も来てくれたよ」
え、また人が増えるのか。兵士だけでも大変だっていうのに。
そう思い振り返ると、そこには見慣れた顔が並んでいた。
ミント、ソウル、ザン、イア……と、レッドブルーグリーン!?
「まて、なんでお前らまでいるんだ。小麦村はどうした」
「アイコスに遊びに来てたら、誘われたんすよ」
「びっくりしました、急に王様に呼び止められて」
「ユウトさんが連れていってくれるんですよね?」
ああもう人数が多い、ごちゃごちゃだ。
マジでか、マジでこの三人も北大陸に連れて行くのか。
「……お前ら、魔重石は持ち上げられたのか?」
「うん! あれからめちゃくちゃ修行したからね!」
敬語使え。って、ええ!?
今こいつなんて言った? うん、こいつは今うんって言ったのか?
え、あの石を持ち上げたの? イアでも重そうにしてたのに。
掲げるような持ち方だったとはいえ、イアが十秒で耐えきれなくなった石だ。数ヶ月で持ち上げるとは、やはり天才か。
いや確かにイアとかザンに戦い方を教えたいとか言われてちょくちょく小麦村まで転移させてやってたけども。
あの二人は教えるのも上手いのか、羨ましいぞ。
「じゃあその腰についてるのは……」
「ユウトさんが村長に渡してた剣ですよ!」
「やっぱりかぁ……はぁ、よし。いいぜ、連れてってやる、そろそろお前らの実力も見たかったからな」
急遽、俺は弟子? であるカラフル三人衆を北大陸の拠点へ連れていくことになった。
その後、俺は転移、転移、転移、転移また転移と、城からダンの居る拠点の建設予定地まで転移を繰り返す作業に移った。
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