64 / 111
64話 あなたはもっと苦しまなきゃ
しおりを挟む
カルツの死体を放り捨て、地面に散らばっている聖剣に黒魔法の呪いをかけた後、俺たち3人はゆっくりと、教会の裏道を辿っていった。
「本当にこの道で行ったと思う?」
「その可能性が高いんじゃないかな。この道が教皇の執務室から一番近いし、また俺たちが戦ってた場所と一番遠いから」
教皇はかなり怯えるはずだ。もしヤツが逃げ出すとするなら、本能的に俺たちがいる場所と一番遠い道を選ぶだろう。
そして、その予想が当たっていれば、今頃リエルたちは教皇と相対しているはずだ。
『教皇を本格的に始末するところは、リエルに頼みたいけど……お願いできる?』
『うん、カイのお願いだもん。そして……私のお母さんを殺した、クズだし』
街の人々と、レジスタンス。教皇を殺すために必要な舞台は、俺とリエルが準備したものだった。
パワーエリクサーの取引を名目にして、レジスタンスたちを首都に呼び寄せて。街の人々に噂を広めて、今までの教皇のしてきたことをさらに広めて。
その結果、教会を中心とした巨大な包囲網みたいなものが作られたのだ。教皇を狩るためだけに出来上がった、包囲網が。
『でも、そんなに人が動いたらさすがに目立つんじゃない?先に帝国軍に鎮圧されるかもしれないし』
作戦が実行される前、リエルふとそんな質問をしてくれた。俺はごくりと頷きながら、構想していたことを次々と述べていた。
『そこは、なるべく別々で、自重して行動するのを要求するしかないね。そして、俺たちが合図を送ったらみんなが教会を包囲するってことで、どうかな』
『合図って、どんな?』
『教会の爆発』
数百を超える十字軍を、一気に始末できる大技。
教会の外からもよく感じられて、教皇が逃げ出すしかなくなるくらいのスキル。それくらいなら、たぶん適切な合図になってくれるだろう。
『本当に大丈夫かな?爆発が起きて怪しいと思った帝国軍が、急に集まった人たちを殺すかもしれないよ?』
『そうなったら、もう戦争しかないと思う』
戦争は極端な話ではあるが、現実味が全くない話ではなかった。首都の中で、帝国の中枢とも言える教会を襲撃するのだから。
既に、俺たちがやっていることはテロみたいなものだった。本来なら教会を襲撃した翌日に、すぐ戦争が起きてもおかしくないと思った。
なのに、何故か俺たちは平和なままだった。そこで、俺はある可能性に思い至ったのだ。
『だけど、なんかおかしいんじゃない?』
『おかしいって?』
『なんで帝国側は静かにしてるのかな。貴族たちもそう。教会が襲われて十字軍が皆殺しにされたという大事件が起きたのに、なんにもしてこないじゃん』
『……まさか、皇室が教会を見捨てたってこと?』
『その可能性が高いと思う。実際に、今も教皇をけなす記事がたくさん出てるけど、皇室はそれを全部放置してるじゃん』
いくら皇帝が統治する国家でも、世論は大事だ。新聞の記事が持つ影響力を、皇室側が知らないはずがない。
なのに、なんのそぶりも見せて来ないってことは、つまり――――
『ヤツにはもう、味方がないんだよ。誰一人も』
教皇は、誰にも助けられないまま。
一人で無様に、死んでいくということだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ぐ、ぐぁああああああああ!!嫌だ、嫌だぁああ!!」
無様な悲鳴が上がる。教皇は縛られて、街の広場に連行されながら精一杯足掻いていた。
なんとかして生き残るために。なんとかして、この地獄から脱出するために。
だけど、そんな願いは続けざまに襲ってくる苦痛に塞がれて、どんどん遠くなっていった。
「くほっ!?ケホッ、ゲッ……!」
「貴様……!!なんの効果もない水を聖水だと騙しやがって!!貴様のせいでどんだけお金を持っていかれたと思ってんだ!!」
「く、くぁああ!?」
連行される間にも、教皇は右の男に腹を蹴られていた。今まで積もってきた憤怒が、湧き上がり始めたのだ。
「あ、アルウィン……!!た、助けてくれ!いや、助けてください、アルウィン!!あなたは、あなただけは私を助けるべきじゃないで――くはっ!?」
「前々から気に入らなかったんだよ!!俺の友達を知ってるか?教会に献金をしてなかったって理由だけで、かろうじて切り盛りしてた店が潰れたんだ!!新聞社に訪ねても、一人でデモをしても誰も聞いてくれなくて!!そのせいであいつ、自殺したんだよ、自殺!!てめぇのせいで!!」
「あがぁ、あぁあ…………ぐ、ぁあ……」
今度は顔にパンチを食らって、ただでさえ悲惨な気持ちが地の底まで突き落とされる。それでも、誰も彼を助けてはくれなかった。
すべては因果応報。自分で蒔いた悪の種なのだから。
「あ、アルウィン!!お願いします、アルウィン!!こちらを、こちらを……!!」
「――――――――黙れ」
「……え?う、うぁああああああああああ!!!」
今度はぶつ音じゃなく、刺す音が鳴り響く。
後ろで彼を連行していた男が、急にナイフを持って教皇の肩を突き刺したのだ。当然、血が吹き上がって悲鳴も濃くなる。
「………俺の婚約者を火あぶりにしたな、お前」
そして、今まで沈黙を保っていた男は耐えられないとばかりに、声を震わせる。
「俺の目の前で、あの子を燃やして………貴様が、貴様がぁああ!!!!」
「あ、あぁ………」
「絶対に、簡単には死なせない。最大の苦痛を味合わせてもらおう。あの子が感じた痛みを、てめぇも味わって見ろ……!!」
「く、くあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
地獄。教皇にとってその空間は、間違いなく地獄だった。
大体、おかしいのだ。こうも何十人が自分を捕まえて堂々と連行してるのに、なんで警備兵たちが現れないのだろう。あいつらはどこに行った?
本当に、本当に見捨てられたのか。自分はもう死ぬしかないのか。
嫌だ、嫌だ……!!なんで、なんでこうなるんだ。なんで……!!
「あ、がぁっ……ぐぅう……あ、アルウィン、アルウィン!!お願いします。い、一度だけでいいから、振り向いてください!!あなたは私によくなついてたじゃないですか!!アルウィン!!!!」
「………………」
教皇の悲鳴を聞いて、先頭に立っているアルウィンの顔がさらに歪む。
さっきからリエルにずっと手を繋いでもらったものの、無理だった。あまりにも、あまりにも複雑な感情が襲ってきて、もう仕方がないのだ。
アルウィンはほとんど泣きそうな顔で、手をぶるぶる震わせている。そして、結局耐えられないとばかりに、教皇に振り向いた。
「お、おお……!!アルウィン!!ようやく……!!」
「……ヒムラー様」
その場にいる人たちがざわつき始める。アルウィンが先頭を離れて教皇に近づくと、自然と行列の動きが止まった。
教皇は、正に救世主でも見つけたかのような顔で、アルウィンを見つめていた。
そうだ、彼女だけは絶対的な味方じゃないか。いくら嫌われたとしても、醜態を晒したとしても、自分は彼女を育てたのだ。
「……苦しいんですか?ヒムラー様」
「そ、そうです!!私の話を聞いてください、アルウィン!私は本当に、やむを得ないの事情があって―――」
「痛いですか?ヒムラー様」
「い、痛いです!!アルウィン、私を信じてください!このような悪魔たちに惑わされてはいけません!今すぐにでも懺悔をして、一緒に皇室に戻った方が―――」
「……………はははっ」
しかし、彼女から飛んでくるのは呆れを通り越した、嘲笑だった。
「あはっ、ふふふっ、うふふふふふっ」
「……………………………あ、アルウィン?」
「ふふふっ、ぷふふふふふふふふっ……あはっ、あはははっ」
「あ、アルウィン……?ど、どうし―――く、くぁああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?」
どうしたんですか、という声は苦痛に遮られる。
教皇の肩に刺しこまれたナイフ。アルウィンはそのナイフに魔力を流し込んで、さらに体の深くまでそれを埋め込んだのだ。
そう、ナイフに込められた魔力が骨を破って、細胞を破壊するくらいに、強く。
「………苦しいですよね?ヒムラー様」
「あ、ああああ……ア、ルウィン……!!」
「もっと苦しんでください」
それから、アルウィンは涙を一滴流しながら言った。
「あなたはもっともっと、苦しまなきゃいけませんから」
「本当にこの道で行ったと思う?」
「その可能性が高いんじゃないかな。この道が教皇の執務室から一番近いし、また俺たちが戦ってた場所と一番遠いから」
教皇はかなり怯えるはずだ。もしヤツが逃げ出すとするなら、本能的に俺たちがいる場所と一番遠い道を選ぶだろう。
そして、その予想が当たっていれば、今頃リエルたちは教皇と相対しているはずだ。
『教皇を本格的に始末するところは、リエルに頼みたいけど……お願いできる?』
『うん、カイのお願いだもん。そして……私のお母さんを殺した、クズだし』
街の人々と、レジスタンス。教皇を殺すために必要な舞台は、俺とリエルが準備したものだった。
パワーエリクサーの取引を名目にして、レジスタンスたちを首都に呼び寄せて。街の人々に噂を広めて、今までの教皇のしてきたことをさらに広めて。
その結果、教会を中心とした巨大な包囲網みたいなものが作られたのだ。教皇を狩るためだけに出来上がった、包囲網が。
『でも、そんなに人が動いたらさすがに目立つんじゃない?先に帝国軍に鎮圧されるかもしれないし』
作戦が実行される前、リエルふとそんな質問をしてくれた。俺はごくりと頷きながら、構想していたことを次々と述べていた。
『そこは、なるべく別々で、自重して行動するのを要求するしかないね。そして、俺たちが合図を送ったらみんなが教会を包囲するってことで、どうかな』
『合図って、どんな?』
『教会の爆発』
数百を超える十字軍を、一気に始末できる大技。
教会の外からもよく感じられて、教皇が逃げ出すしかなくなるくらいのスキル。それくらいなら、たぶん適切な合図になってくれるだろう。
『本当に大丈夫かな?爆発が起きて怪しいと思った帝国軍が、急に集まった人たちを殺すかもしれないよ?』
『そうなったら、もう戦争しかないと思う』
戦争は極端な話ではあるが、現実味が全くない話ではなかった。首都の中で、帝国の中枢とも言える教会を襲撃するのだから。
既に、俺たちがやっていることはテロみたいなものだった。本来なら教会を襲撃した翌日に、すぐ戦争が起きてもおかしくないと思った。
なのに、何故か俺たちは平和なままだった。そこで、俺はある可能性に思い至ったのだ。
『だけど、なんかおかしいんじゃない?』
『おかしいって?』
『なんで帝国側は静かにしてるのかな。貴族たちもそう。教会が襲われて十字軍が皆殺しにされたという大事件が起きたのに、なんにもしてこないじゃん』
『……まさか、皇室が教会を見捨てたってこと?』
『その可能性が高いと思う。実際に、今も教皇をけなす記事がたくさん出てるけど、皇室はそれを全部放置してるじゃん』
いくら皇帝が統治する国家でも、世論は大事だ。新聞の記事が持つ影響力を、皇室側が知らないはずがない。
なのに、なんのそぶりも見せて来ないってことは、つまり――――
『ヤツにはもう、味方がないんだよ。誰一人も』
教皇は、誰にも助けられないまま。
一人で無様に、死んでいくということだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ぐ、ぐぁああああああああ!!嫌だ、嫌だぁああ!!」
無様な悲鳴が上がる。教皇は縛られて、街の広場に連行されながら精一杯足掻いていた。
なんとかして生き残るために。なんとかして、この地獄から脱出するために。
だけど、そんな願いは続けざまに襲ってくる苦痛に塞がれて、どんどん遠くなっていった。
「くほっ!?ケホッ、ゲッ……!」
「貴様……!!なんの効果もない水を聖水だと騙しやがって!!貴様のせいでどんだけお金を持っていかれたと思ってんだ!!」
「く、くぁああ!?」
連行される間にも、教皇は右の男に腹を蹴られていた。今まで積もってきた憤怒が、湧き上がり始めたのだ。
「あ、アルウィン……!!た、助けてくれ!いや、助けてください、アルウィン!!あなたは、あなただけは私を助けるべきじゃないで――くはっ!?」
「前々から気に入らなかったんだよ!!俺の友達を知ってるか?教会に献金をしてなかったって理由だけで、かろうじて切り盛りしてた店が潰れたんだ!!新聞社に訪ねても、一人でデモをしても誰も聞いてくれなくて!!そのせいであいつ、自殺したんだよ、自殺!!てめぇのせいで!!」
「あがぁ、あぁあ…………ぐ、ぁあ……」
今度は顔にパンチを食らって、ただでさえ悲惨な気持ちが地の底まで突き落とされる。それでも、誰も彼を助けてはくれなかった。
すべては因果応報。自分で蒔いた悪の種なのだから。
「あ、アルウィン!!お願いします、アルウィン!!こちらを、こちらを……!!」
「――――――――黙れ」
「……え?う、うぁああああああああああ!!!」
今度はぶつ音じゃなく、刺す音が鳴り響く。
後ろで彼を連行していた男が、急にナイフを持って教皇の肩を突き刺したのだ。当然、血が吹き上がって悲鳴も濃くなる。
「………俺の婚約者を火あぶりにしたな、お前」
そして、今まで沈黙を保っていた男は耐えられないとばかりに、声を震わせる。
「俺の目の前で、あの子を燃やして………貴様が、貴様がぁああ!!!!」
「あ、あぁ………」
「絶対に、簡単には死なせない。最大の苦痛を味合わせてもらおう。あの子が感じた痛みを、てめぇも味わって見ろ……!!」
「く、くあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
地獄。教皇にとってその空間は、間違いなく地獄だった。
大体、おかしいのだ。こうも何十人が自分を捕まえて堂々と連行してるのに、なんで警備兵たちが現れないのだろう。あいつらはどこに行った?
本当に、本当に見捨てられたのか。自分はもう死ぬしかないのか。
嫌だ、嫌だ……!!なんで、なんでこうなるんだ。なんで……!!
「あ、がぁっ……ぐぅう……あ、アルウィン、アルウィン!!お願いします。い、一度だけでいいから、振り向いてください!!あなたは私によくなついてたじゃないですか!!アルウィン!!!!」
「………………」
教皇の悲鳴を聞いて、先頭に立っているアルウィンの顔がさらに歪む。
さっきからリエルにずっと手を繋いでもらったものの、無理だった。あまりにも、あまりにも複雑な感情が襲ってきて、もう仕方がないのだ。
アルウィンはほとんど泣きそうな顔で、手をぶるぶる震わせている。そして、結局耐えられないとばかりに、教皇に振り向いた。
「お、おお……!!アルウィン!!ようやく……!!」
「……ヒムラー様」
その場にいる人たちがざわつき始める。アルウィンが先頭を離れて教皇に近づくと、自然と行列の動きが止まった。
教皇は、正に救世主でも見つけたかのような顔で、アルウィンを見つめていた。
そうだ、彼女だけは絶対的な味方じゃないか。いくら嫌われたとしても、醜態を晒したとしても、自分は彼女を育てたのだ。
「……苦しいんですか?ヒムラー様」
「そ、そうです!!私の話を聞いてください、アルウィン!私は本当に、やむを得ないの事情があって―――」
「痛いですか?ヒムラー様」
「い、痛いです!!アルウィン、私を信じてください!このような悪魔たちに惑わされてはいけません!今すぐにでも懺悔をして、一緒に皇室に戻った方が―――」
「……………はははっ」
しかし、彼女から飛んでくるのは呆れを通り越した、嘲笑だった。
「あはっ、ふふふっ、うふふふふふっ」
「……………………………あ、アルウィン?」
「ふふふっ、ぷふふふふふふふふっ……あはっ、あはははっ」
「あ、アルウィン……?ど、どうし―――く、くぁああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?」
どうしたんですか、という声は苦痛に遮られる。
教皇の肩に刺しこまれたナイフ。アルウィンはそのナイフに魔力を流し込んで、さらに体の深くまでそれを埋め込んだのだ。
そう、ナイフに込められた魔力が骨を破って、細胞を破壊するくらいに、強く。
「………苦しいですよね?ヒムラー様」
「あ、ああああ……ア、ルウィン……!!」
「もっと苦しんでください」
それから、アルウィンは涙を一滴流しながら言った。
「あなたはもっともっと、苦しまなきゃいけませんから」
60
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる