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家族編
伯爵位
しおりを挟む「トグルは茶色で~!紺色とグレーの生地両方共つくっちゃおっかな~!」
陛下のお財布で、スカーレットさんを呼んで豪遊している。陛下の侍従のアロンドさんもにこにこ控えてくれている。
「ダッフルコートね?マフラーとブーツも作りましょう♡二人とも美少年だから腕がなるわ~!」
「あ!あとね、今すぐ欲しいのはポロシャツっていって、こんな形なんだけど~、王家の家紋の刺繍を胸のポケットのところにしてほしい!これもお揃いで!!半袖のシャツと半ズボンも何着かと~!!スカーレットさん!!人のお財布で豪遊すんのって、すごく楽しい!」
「あなたの場合、陛下ってのがスケールが違うわね!!私のおすすめも勝手に入れちゃお~♡♡」
お揃いのお布団とタオルケットまで注文してホックホクだ。
「妃殿下、お楽しみいただけたようでよろしゅうございました。この後陛下とお茶をいかがでございましょうか。天馬のお礼をしっかりと仰りたいようで」
アロンドさんがニコニコしながら言う。
あれ?そうなの?エルシーナのお礼はくどいくらいいつも言われてるんだけどな?
陛下、エルシーナ大好きだから。
「はい!私も今日のお礼を言いたいです!」
ミリーナさんが慌てて衣装部屋に駆け込んでいった。
————「おーいクロムー!レスター殿下ー!俺も混ぜて~~~!」
奥の小道からルース君がやってきて、庭で例のごとく遊んでいる四匹に声をかける。
最近よく来るルース君は、前までは、“ 手合わせするぞ~ ”だったのに、最近は混ぜて~と言うようになった。よくわからないけど遊びたいのかな?
しかもルース君もヴァルファデに騎乗する。
ルース君対子供達の対戦になるようで、子供達も大はしゃぎして喜ぶのでまぁいいかとほっとく事にした。どうせ目で追えないから何が起こってるかわからないしね。
「ルース君!私ちょっと陛下とお茶してくるから子供達をよろしくね!」
「りょうか~い!おいっ!こら!連携取れすぎだろ!!ズッリィ!!!うわっっ!ヴァルファデ、ちょっと落ち着けって!!魔力強い!!!」
なんか大変そうだから放っておこう。
◇◆◇
「つむぎちゃ~ん!!会いたかったよ!今日も最高に可愛い!!!!リヒトが良く許したねぇ!」
今日も今日とてしっかりチャラいな!
今日の陛下は珍しく軍服を着ている。金髪イケオジが軍服着ていてめっちゃかっこいい。喋らなければ。
「内緒で来ました!陛下、クロム君とレスターのお洋服、ありがとうございました!すっごく楽しかったです!」
「な、内緒かぁ、僕殺されるかなぁ?楽しめたのなら良かったよ」
陛下の居室のバルコニーで、アロンドさんが後ろに控え、メイドさんがお茶を淹れてくれている。
「それでねぇ、今日のは褒賞にもならないからね?あんなのはいつでもやっていいんだよ?エルシーナのお礼はちゃんとしたいんだ」
「でも、すっごく楽しかったですし、もう充分ですよ?」
————「妃殿下、エルシーナのお礼としては全く釣り合わないのですよ。はぐれ竜人の事もございましたし、こちらと致しましてもしっかりと感謝を示したいのでございます」
陛下の副官のアロンドさんがニコニコと言う。
この方はいつもニコニコしていて物腰柔らか。
「でも、欲しいもの無いですし……」
「つむぎちゃんは欲がないからねぇ。つむぎちゃんが喜ぶもの考えたんだ~~爵位をあげるよ。紬ちゃん個人に」
え………………超いらない。どうしよう。まじいらない…………
私の表情を見て陛下がケラケラと笑う。
「つむぎちゃんの気持ちはわかるけどね~紬ちゃん自身を守るためでもあるし…………あの子竜君は君の息子だ、爵位が無いとこれから先辛くなる。彼のために貰っておいて損はないよ?まずは伯爵位を与える。君はまだまだ何かやらかしそうだから、上はあけといた方がいいからね。まずは伯爵位。あの坊やはレイリン伯爵子息になる訳だよ。大人になった時に彼の助けになるよ?」
「クロム君!?」
貴族の世界はよくわからないけど、クロム君の助けになるの?
————「つむぎッッッッッ!!!」
その時リヒト様がお部屋に駆け込んできた。室内なのに翼出てる。何故。
「魔王来ちゃったかぁ……短いデートだったなぁ……」
「あ、リヒト様、ちょうど良かった!」
リヒト様はツカツカとバルコニーに来て私をひょいと抱き上げた。
「兄上、これはどういう事かご説明頂けますか?」
「ヒィッ!!」
「リヒト様!褒賞にね、伯爵位を頂いたんだけど、どうすればいいかなぁ?」
「伯爵位?あぁ、クロムか。兄上、考えましたね。では私の領地の隣を所望致します。クロムが成人するまでは私が代理の領主となります故」
「ええ!あそこ!?めっちゃいいとこ!!ゔっ、うん、まぁ、いいよ。エルシーナの釣り合いは、とれるね」
「それでは御前、失礼致します」
リヒト様、スピード商談。座りもしなかった。
「おっ前!ホイホイついて行きやがって!!」
「ええ……お茶しただけだよ!義理のお兄さんと!!」
コンパス長いからめっちゃ早い。
あっという間に母屋のベッドに降ろされる。
「お前、狭量な番の性を舐めるなよ」
「自慢になってない!何で上着脱ぐの!」
「もう足に鎖付けたい……」
「ヒィッ!!!」
思いの外優しいキスが降ってきて力が抜ける。甘く優しく肌を撫でられて、脳がビリビリする。
「抱き潰してここから動けないようにする……」
「神様助けて!」
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