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生まれから巣立ち
他の黒っぽいグリフォンらしい
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父に連れられた場所は、なんというか...違和感のある場所であった。
巣にいたような親や子供たちみたいに、綺麗な茶色とか白色だけのグリフォンがいないのだ。
いや、数匹いる世話係の様な大人グリフォン達は皆茶色だが。
子供の面倒見たりする係みたいだから、乳母とか教育係の方が近いか?
ここには大体10匹程の子供グリフォンがいるのだが、皆羽が黒っぽかったり斑模様みたいに黒色が入っている個性的な子ばかりである。
鑑定してみると、〈雑色種〉と書いてある。雑種なのかな?
しかし、俺の両親は〈茶羽種〉だったが、白黒のが生まれていたな、突然変異に近いのだろうか?
オマケに中には下半身が馬の様な〈ヒポグリフ〉と言うのも1匹混ざっていた。コイツは普通に茶色い。
だが、俺のような真っ黒なのはいないから、俺も個性的なグリフォンの内の1匹なのだろう。
(そう言えばグリフォンって、数え方は匹なのか、羽なのだろうか...?魔物ということで取り敢えず匹で数えるか...)
そして何故だか、俺は重点的に大人グリフォンに警戒されている気がする。自意識過剰かも知れないが...。
ここの奴等は血の気が多く、頻繁に互いに喧嘩ばかりしている。俺も他の奴等に噛まれたり、引っ掻かれたりしているのだが、訳が分からない。俺から仕掛けるようなことはしていないのだが...
その度に俺は、常に1匹は巣に居る大人グリフォンの元へ逃げ込む。大人のグリフォンは喧嘩を止めるために動いてくれるからだ。
今の時代、ここまで頼もしい先生も滅多にいないと思う。
ところで今の時代っていつの時代だ?そもそも時代とは...うーむ、中途半端に無くなった記憶が少し混乱してる。
自分のもとへ逃げ込む俺に、大人グリフォンは最初は驚いた様子を見せたが、それを繰り返す内にいつからか、彼らは俺への警戒を緩めてくれている様に感じた。
巣立ちの準備との事で、ここに来てからは大体生きた餌(牛や馬とか、ゴブリンやウルフ等)を積極的に与えられている。
以前は弱らせた獲物をなんとか狩れる程度の強さしかなかった俺も、今では余裕で狩れるようになっている。
今の俺のステータスはこれだ。
Lv30
名前:なし
ヤング・グリフォン(黒羽種)
体力:320/320
魔力:80
攻撃:200
防御:150
魔攻:80
魔防:100
速さ:230
SPスキル
鑑定 言語理解 本能
そして最近は飛ぶ練習も始めていた。大人付き添いで、羽ばたいたり落下速度を抑える練習から始め、最終的には高い崖から1匹で飛び降りることになる。
短期間でうまく飛べたのは俺と2~3匹のグリフォン、後はあの1匹だけ混ざってたヒポグリフだ。
他の飛べない奴らは飛び降りることにビビってるくせに、指導してる大人グリフォン達にすら突っ掛かる短気な奴らだ。
最近の大人達は、甘やかすのは終わりだと言わんばかりに、歯向かう子供らを蹴散らし始めている。
自然って厳しいな-...そのうちアイツらの肉が飯で出てきたりしないよな?それはちょっと嫌だな...
話は逸れるが、あのヒポグリフは頭が良くないのか、会話が途切れ途切れで少し話し難い。だが、穏やかで良い奴だ。飛ぶのも走るのも得意、感覚派なのかもしれない。
この巣の中で、俺と一番仲の良い奴はこいつで、俺が周りの奴等に引っ掻かれたりして傷付けられているのを見ると、拙いながらに味方してくれたり、一緒に寝てくれたりしてる。
勿論、俺もヒポグリフが攻撃されているときには割り込み、ヒポグリフの方に味方することで2対1の構図を作り、追い払うようにしている。
そして3ヶ月位経ち、外の雪もなくなる頃、飛ぶ練習の合格を貰えた俺らは、次に外での狩りの練習を行うことになった。
俺らグリフォンは主に肉を食べないと生きられないそうだ。一応木の実とか果物も食えるが、空腹で死にそうなときの延命や、嗜好品程度の栄養にしかならない。
因みに、ヒポグリフは草も食えるみたいだから自由参加、的なことを言われていたが参加することにしたようだ。
狩り練習の日は数日後行うと伝えられた。すぐに行わないのは、他のグリフォンの飛行練習や、大人達による餌の調達とかで忙しいからという理由らしい。大人は忙しい...お疲れさまです。
俺はそれまで、しっかりと飛行練習を繰り返ししておこう。飛ぶのは気持ちが良いしな。
ヒポグリフでも誘って一緒に飛んでみようか?
どうやら俺は巣立ちの日が近い、らしい。
そういや、巣の子供の半分以上がクリアできなかった飛行訓練を、一発で合格することが出来るなんて...俺は天才、だな。
_____________________
○ゴブリン
緑色の肌をした、人型の魔物。雑食性。
身長は1mちょい程度で猫背。服は腰簑程度で、頭に小さい角が1本生えているが、実用性はない。ミジンコに生える角レベルで役に立たない。
1匹見かけたら10匹はいると言われるほど大量発生しやすい。味は薄味で肉が固く、酸味のある臭みがある為、美味しくない。だから基本食用にはされない。
○ウルフ
見た目は狼。肉食性。
ゴブリンより素早く少し強いが、2匹のゴブリン相手には勝てない程度。基本群れで生活しているが、獲物を探すときに散らばって単独行動しながら探すので、ウルフを狩るならそこを狙うといい。
ただし、群れのリーダーの遠吠えを聞き集合するため、リーダーらしき固体と戦うと群れに周囲を囲まれてしまうので注意が必要。
味は薄味、獣臭さがあり取れる肉も少なく微妙。
○ヒポグリフ
上半身猛禽類、下半身馬の魔物。草食寄りの雑食性。
雄のグリフォンと雌の馬の交配で産まれる魔物で、高さは2m前後、基本的な馬より少し大きめ。
優しく温厚な性格なものが多く、馬の下半身が大地を強く蹴る為、自衛のための後ろ蹴りの威力と地上での機動力ならグリフォンより上である。
しかし、柔軟性や気配を消すのが下手なものが多く、狩りは失敗しやすい。オマケに知能も低めである。
その代わりと言ってはなんだが、餌は草だけでも生きることが可能で家畜としてはとても有能。
どのようにして産まれるかと言うと、グリフォンの繁殖期に農家が雌馬を放牧することで、番を得られなかった雄のグリフォンがそれを見つけ、希に交尾していく。
その中の一部が孕み、その雌馬を農家は大事に育てて、ヒポグリフを産んでもらう。
こうやって増やされていく為、ヒポグリフ自体は割と人間達の世界に馴染んでいる。
○雑色種について
産まれる時に魔力の影響を強く受けてしまい、精神に異常をきたしてしまった固体。
大体が闘争心を抑えられなくなり、グリフォンの賢さがほぼ失われ、目につくものの殆んどに突っ込むようになる。
その為、自然界では早死にしやすく、人間に狩られる8割以上がこの固体である。
巣にいたような親や子供たちみたいに、綺麗な茶色とか白色だけのグリフォンがいないのだ。
いや、数匹いる世話係の様な大人グリフォン達は皆茶色だが。
子供の面倒見たりする係みたいだから、乳母とか教育係の方が近いか?
ここには大体10匹程の子供グリフォンがいるのだが、皆羽が黒っぽかったり斑模様みたいに黒色が入っている個性的な子ばかりである。
鑑定してみると、〈雑色種〉と書いてある。雑種なのかな?
しかし、俺の両親は〈茶羽種〉だったが、白黒のが生まれていたな、突然変異に近いのだろうか?
オマケに中には下半身が馬の様な〈ヒポグリフ〉と言うのも1匹混ざっていた。コイツは普通に茶色い。
だが、俺のような真っ黒なのはいないから、俺も個性的なグリフォンの内の1匹なのだろう。
(そう言えばグリフォンって、数え方は匹なのか、羽なのだろうか...?魔物ということで取り敢えず匹で数えるか...)
そして何故だか、俺は重点的に大人グリフォンに警戒されている気がする。自意識過剰かも知れないが...。
ここの奴等は血の気が多く、頻繁に互いに喧嘩ばかりしている。俺も他の奴等に噛まれたり、引っ掻かれたりしているのだが、訳が分からない。俺から仕掛けるようなことはしていないのだが...
その度に俺は、常に1匹は巣に居る大人グリフォンの元へ逃げ込む。大人のグリフォンは喧嘩を止めるために動いてくれるからだ。
今の時代、ここまで頼もしい先生も滅多にいないと思う。
ところで今の時代っていつの時代だ?そもそも時代とは...うーむ、中途半端に無くなった記憶が少し混乱してる。
自分のもとへ逃げ込む俺に、大人グリフォンは最初は驚いた様子を見せたが、それを繰り返す内にいつからか、彼らは俺への警戒を緩めてくれている様に感じた。
巣立ちの準備との事で、ここに来てからは大体生きた餌(牛や馬とか、ゴブリンやウルフ等)を積極的に与えられている。
以前は弱らせた獲物をなんとか狩れる程度の強さしかなかった俺も、今では余裕で狩れるようになっている。
今の俺のステータスはこれだ。
Lv30
名前:なし
ヤング・グリフォン(黒羽種)
体力:320/320
魔力:80
攻撃:200
防御:150
魔攻:80
魔防:100
速さ:230
SPスキル
鑑定 言語理解 本能
そして最近は飛ぶ練習も始めていた。大人付き添いで、羽ばたいたり落下速度を抑える練習から始め、最終的には高い崖から1匹で飛び降りることになる。
短期間でうまく飛べたのは俺と2~3匹のグリフォン、後はあの1匹だけ混ざってたヒポグリフだ。
他の飛べない奴らは飛び降りることにビビってるくせに、指導してる大人グリフォン達にすら突っ掛かる短気な奴らだ。
最近の大人達は、甘やかすのは終わりだと言わんばかりに、歯向かう子供らを蹴散らし始めている。
自然って厳しいな-...そのうちアイツらの肉が飯で出てきたりしないよな?それはちょっと嫌だな...
話は逸れるが、あのヒポグリフは頭が良くないのか、会話が途切れ途切れで少し話し難い。だが、穏やかで良い奴だ。飛ぶのも走るのも得意、感覚派なのかもしれない。
この巣の中で、俺と一番仲の良い奴はこいつで、俺が周りの奴等に引っ掻かれたりして傷付けられているのを見ると、拙いながらに味方してくれたり、一緒に寝てくれたりしてる。
勿論、俺もヒポグリフが攻撃されているときには割り込み、ヒポグリフの方に味方することで2対1の構図を作り、追い払うようにしている。
そして3ヶ月位経ち、外の雪もなくなる頃、飛ぶ練習の合格を貰えた俺らは、次に外での狩りの練習を行うことになった。
俺らグリフォンは主に肉を食べないと生きられないそうだ。一応木の実とか果物も食えるが、空腹で死にそうなときの延命や、嗜好品程度の栄養にしかならない。
因みに、ヒポグリフは草も食えるみたいだから自由参加、的なことを言われていたが参加することにしたようだ。
狩り練習の日は数日後行うと伝えられた。すぐに行わないのは、他のグリフォンの飛行練習や、大人達による餌の調達とかで忙しいからという理由らしい。大人は忙しい...お疲れさまです。
俺はそれまで、しっかりと飛行練習を繰り返ししておこう。飛ぶのは気持ちが良いしな。
ヒポグリフでも誘って一緒に飛んでみようか?
どうやら俺は巣立ちの日が近い、らしい。
そういや、巣の子供の半分以上がクリアできなかった飛行訓練を、一発で合格することが出来るなんて...俺は天才、だな。
_____________________
○ゴブリン
緑色の肌をした、人型の魔物。雑食性。
身長は1mちょい程度で猫背。服は腰簑程度で、頭に小さい角が1本生えているが、実用性はない。ミジンコに生える角レベルで役に立たない。
1匹見かけたら10匹はいると言われるほど大量発生しやすい。味は薄味で肉が固く、酸味のある臭みがある為、美味しくない。だから基本食用にはされない。
○ウルフ
見た目は狼。肉食性。
ゴブリンより素早く少し強いが、2匹のゴブリン相手には勝てない程度。基本群れで生活しているが、獲物を探すときに散らばって単独行動しながら探すので、ウルフを狩るならそこを狙うといい。
ただし、群れのリーダーの遠吠えを聞き集合するため、リーダーらしき固体と戦うと群れに周囲を囲まれてしまうので注意が必要。
味は薄味、獣臭さがあり取れる肉も少なく微妙。
○ヒポグリフ
上半身猛禽類、下半身馬の魔物。草食寄りの雑食性。
雄のグリフォンと雌の馬の交配で産まれる魔物で、高さは2m前後、基本的な馬より少し大きめ。
優しく温厚な性格なものが多く、馬の下半身が大地を強く蹴る為、自衛のための後ろ蹴りの威力と地上での機動力ならグリフォンより上である。
しかし、柔軟性や気配を消すのが下手なものが多く、狩りは失敗しやすい。オマケに知能も低めである。
その代わりと言ってはなんだが、餌は草だけでも生きることが可能で家畜としてはとても有能。
どのようにして産まれるかと言うと、グリフォンの繁殖期に農家が雌馬を放牧することで、番を得られなかった雄のグリフォンがそれを見つけ、希に交尾していく。
その中の一部が孕み、その雌馬を農家は大事に育てて、ヒポグリフを産んでもらう。
こうやって増やされていく為、ヒポグリフ自体は割と人間達の世界に馴染んでいる。
○雑色種について
産まれる時に魔力の影響を強く受けてしまい、精神に異常をきたしてしまった固体。
大体が闘争心を抑えられなくなり、グリフォンの賢さがほぼ失われ、目につくものの殆んどに突っ込むようになる。
その為、自然界では早死にしやすく、人間に狩られる8割以上がこの固体である。
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