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第七章 ヒロインが出ていった後の王都の人々
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時は少し遡りまして…
アンジェリータがウィンザード領でアイザックスからの猛烈アプローチを受けてる頃。
王都のマリヴェル公爵家の人々と、アンジェリータの元婚約者 ハワードの様子を少しだけお話しましょうか。
尚、主人公が改名する前の話である為、アンジェリータは元の名前アンジェーヌの呼び名を使用。視線は全てそれぞれの目線でお送り致します。
予めご了承ください。
◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈
「何故だ!何故まだ見つからぬ!公爵は何をグズグズしておるのだ!」
そう言って俺は、苛つきながら王宮の自室でテーブルを叩いた。
俺の名はハワード。この国の第二王子だ。
俺は当初、学園を卒業後にマリヴェル公爵家に降家し、そこの嫡子であるアンジェーヌと婚姻の予定だったのだ。が、俺はアンジェーヌの妹 リーナカレンデュナのことが好きになってしまった。
リーナはアンジェーヌより可愛らしく聞き上手で、いつも俺を褒めてくれた。
だから俺は、いつも地味で真面目なだけのアンジェーヌなんかより、愛らしいリーナと婚姻を結びたかった。
どうせ同じ公爵家の娘なのだから、リーナに乗りかえて何が悪い!とさえ思っていたのだ。
あの卒業舞踏会の日までは…
あの日のアンジェーヌはとても美しかった。
そしてとても……見事な体つきをしている事を知ったのだ。
それは、隣にいるリーナが霞んでしまう程のな。
だがこのまま計画通りアンジェーヌと婚約破棄をしてしまったら、あの身体を好きに出来なくなってしまう。
そう考えた俺が咄嗟に思いついた妙案は、リーナを正妻にアンジェーヌを愛妾にするというものだ。
俺はそれを、声高々に、ちゃんとそうアンジェーヌに宣言した。
勿論父上には怒鳴られてしまったが…。
なのにあいつはそのまま破棄でいいと。
そもそも、一介の貴族である公爵家の者が二人の妻を娶る事は出来ないし、自分との婚約は王命で、勝手に破棄など出来ない。この婚約破棄は王命を反故するものだから、巻き込まれたくないとも。
更には、傷ものになったから修道院に行くとまで言ったのだ。
今思えば、かなり強引すぎる理由を述べていた様な気もするが、それよりもだ。
なんだ?一介の貴族とは。俺は王子だぞ?
公爵家に入るとはいえ、俺は王子なんだから、妻が複数いても問題はないだろう。
何故なら、王太子である兄上がいつなんどき儚くなられるか分からないのだから。
そうなったらこの俺が王太子になる。
王族なのだから問題はあるまい。
そうこうしている間に、アンジェーヌは父上達に、如何に俺がリーナを愛しているか?自分は公爵夫妻や俺からどんな扱いをされていたか?等を力説していた。
そして
「修道院に行くことを許可して下さらないのでしたらここから消えねばなりませんね。」
と言うや否や、講堂から夜の空へと飛び立って行った。呆気に取られていたこの俺を残し、とても眩しい光に包まれてな。
公爵家の者達が直ぐに追いかけて行ったようだが、見つかったという報告は未だ入ってこない。
「えぇい!何故未だアンジェーヌは見つからぬのだ!」
苛立ったままの俺が再度机を叩くと、その音でお茶とお菓子をワゴンで運んできた俺付きのメイドが「ヒッ!!」と飛び上がっていた。
ガタガタと震えるメイドが気の毒になったのか、俺の側近でサンダーヒル侯爵家の嫡子であるルドルフが、
「私がやるから、そなたは下がっていいよ。」
と優しく言い、震えるメイドを退室させていた。
その後、優雅に茶を入れ、俺にそれを勧めてきたルドルフは、
「アンジェーヌ様の消息については待つしかございませんよ、殿下。それより家庭教師から出された課題を終わらせてください。お時間がございませんので。」
とモノクルのレンズをキラリと光らせそう言った。
「分かってる!」
俺はそう言うと、焼き菓子をルドルフが入れた茶で流し込み、うんざりする程の課題に取り組んだのだ。
~ハワード第二王子side 終~
アンジェリータがウィンザード領でアイザックスからの猛烈アプローチを受けてる頃。
王都のマリヴェル公爵家の人々と、アンジェリータの元婚約者 ハワードの様子を少しだけお話しましょうか。
尚、主人公が改名する前の話である為、アンジェリータは元の名前アンジェーヌの呼び名を使用。視線は全てそれぞれの目線でお送り致します。
予めご了承ください。
◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈
「何故だ!何故まだ見つからぬ!公爵は何をグズグズしておるのだ!」
そう言って俺は、苛つきながら王宮の自室でテーブルを叩いた。
俺の名はハワード。この国の第二王子だ。
俺は当初、学園を卒業後にマリヴェル公爵家に降家し、そこの嫡子であるアンジェーヌと婚姻の予定だったのだ。が、俺はアンジェーヌの妹 リーナカレンデュナのことが好きになってしまった。
リーナはアンジェーヌより可愛らしく聞き上手で、いつも俺を褒めてくれた。
だから俺は、いつも地味で真面目なだけのアンジェーヌなんかより、愛らしいリーナと婚姻を結びたかった。
どうせ同じ公爵家の娘なのだから、リーナに乗りかえて何が悪い!とさえ思っていたのだ。
あの卒業舞踏会の日までは…
あの日のアンジェーヌはとても美しかった。
そしてとても……見事な体つきをしている事を知ったのだ。
それは、隣にいるリーナが霞んでしまう程のな。
だがこのまま計画通りアンジェーヌと婚約破棄をしてしまったら、あの身体を好きに出来なくなってしまう。
そう考えた俺が咄嗟に思いついた妙案は、リーナを正妻にアンジェーヌを愛妾にするというものだ。
俺はそれを、声高々に、ちゃんとそうアンジェーヌに宣言した。
勿論父上には怒鳴られてしまったが…。
なのにあいつはそのまま破棄でいいと。
そもそも、一介の貴族である公爵家の者が二人の妻を娶る事は出来ないし、自分との婚約は王命で、勝手に破棄など出来ない。この婚約破棄は王命を反故するものだから、巻き込まれたくないとも。
更には、傷ものになったから修道院に行くとまで言ったのだ。
今思えば、かなり強引すぎる理由を述べていた様な気もするが、それよりもだ。
なんだ?一介の貴族とは。俺は王子だぞ?
公爵家に入るとはいえ、俺は王子なんだから、妻が複数いても問題はないだろう。
何故なら、王太子である兄上がいつなんどき儚くなられるか分からないのだから。
そうなったらこの俺が王太子になる。
王族なのだから問題はあるまい。
そうこうしている間に、アンジェーヌは父上達に、如何に俺がリーナを愛しているか?自分は公爵夫妻や俺からどんな扱いをされていたか?等を力説していた。
そして
「修道院に行くことを許可して下さらないのでしたらここから消えねばなりませんね。」
と言うや否や、講堂から夜の空へと飛び立って行った。呆気に取られていたこの俺を残し、とても眩しい光に包まれてな。
公爵家の者達が直ぐに追いかけて行ったようだが、見つかったという報告は未だ入ってこない。
「えぇい!何故未だアンジェーヌは見つからぬのだ!」
苛立ったままの俺が再度机を叩くと、その音でお茶とお菓子をワゴンで運んできた俺付きのメイドが「ヒッ!!」と飛び上がっていた。
ガタガタと震えるメイドが気の毒になったのか、俺の側近でサンダーヒル侯爵家の嫡子であるルドルフが、
「私がやるから、そなたは下がっていいよ。」
と優しく言い、震えるメイドを退室させていた。
その後、優雅に茶を入れ、俺にそれを勧めてきたルドルフは、
「アンジェーヌ様の消息については待つしかございませんよ、殿下。それより家庭教師から出された課題を終わらせてください。お時間がございませんので。」
とモノクルのレンズをキラリと光らせそう言った。
「分かってる!」
俺はそう言うと、焼き菓子をルドルフが入れた茶で流し込み、うんざりする程の課題に取り組んだのだ。
~ハワード第二王子side 終~
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