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第三章 それぞれの魔獣戦
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全ての作業が終わると、僕たちは一度街へ戻り、冒険者ギルドへ向かった。
ギルドで受けた依頼内容どおりに完了しているのか?を受付けのサッシャさんがチェックしてくれる。
「はい。依頼内容どおりでした。お疲れ様でした。此方が報酬です。」
と言ってサッシャさんが受け付けカウンターにお金が入った袋を置く。
「ありがとう」
とカールソンさんがそれを受け取り、待っていた僕達の方へとやって来た。
そしてそれぞれの取り分を分けてくれる。
僕達のパーティーでの報酬の取り分はきっちり四等分だ。だが、それは報酬金として得た金額分だけで、ドロップした魔石が依頼内容には入っていない時は、ルードリッヒさん達のご好意により、ドロップ数の半分を貰う事になっている。
だからいつも、売った魔石分を差し引いた金額でいい。魔石を貰う事は僕の我儘なんだから。という僕の主張は突っぱねられ、報酬金はいつも四等分というパーティー内での取り決めは続いているんだ。
そもそも弱小の僕が、何故冒険者として魔獣がいる森へ赴いているのか?というと、それには訳がある。
ケイドル爺さんの店で働く(正式に鑑定士と魔石の付与師として雇われた)事になった僕は、鑑定の力で、その武器に対して相応しい魔石を付与するのだけど、武器によっては複数の魔石を一度に付ける事も出来れる武器があれば、魔石は一つしか付けられないが色んな属性の魔獣に対応出来る素材で出来た武器もある。
今まで冒険者は、ギルドで受けた依頼の内容によって、自分の武器に魔石を付け替え(埋め替える)ていたらしいが、その度にまぁまぁの工賃がかかっていた。
上級冒険者であれば、その工賃など取るに足らない金額なんだろうけど、そうでない冒険者達にとっては、毎度毎度の出費は痛いものだ。
そこで僕は、ケイドル爺さんに依頼して武器のグリップ部分を少しだけ加工して貰った。
それは、グリップ部分を作る時、本来のグリップの厚さの半分の厚さにして貰い、そこに「」の左側(「 ←こっちだけ)の様な物をグリップ部分に向かい合わせの状態になるように付けて貰った。
そしてその部分に魔石を埋め込んだ、厚さがグリップの半分の厚さになっているプレートをスライドさせてグリップに嵌め、根元にキャップの様にしたもので蓋をする。
キャップには小さな穴が開いていて、グリップに付けた小さな爪がそこに嵌る様になっている為、戦闘中に簡単にキャップが取れる事は無い。また、プレートを付けかえる時には、爪をちょっと押せば簡単にキャップが取れ、違うプレートに代える事が出来るのだ。
これで、一回の闘いの中で複数の種族の魔物と戦う事が出来る様になった為、儲けが余り無い下級冒険者からとても重宝されるようになったんだ。
だが、重宝はたちまちケイドル爺さんの武器屋を困らせる事にもなった。
冒険者達が殺到する様になった為、武器を作る為の材料も魔石も品薄状態になってしまったから。
それに、それ等をギルドで買うと価格がめちゃくちゃ高いんだ。
素材の価格はそのまま武器の価格に比例してしまう為、お金が無い冒険者達は諦めざるを得なくなってしまう。
この世界に召喚された時。
ステータスもスキルも最低だと城から追い出された僕は、この街に辿り着き、この街の人達の優しさによって救われ生かされている。
だからこそ、恩返しがしたくて頑張ってきたのに、そんな理由で街の人達や街に住む冒険者達を苦しめたくなかった。諦めたくなかった。
なんとかしたい。なんとかならないか。そんな事を考えながら、店番をしていた僕の所にルードリッヒさんが現れ、僕に凄い事を言ったんだ。
「のぞむが直接取りに行けばいい。」
と……。
ギルドで受けた依頼内容どおりに完了しているのか?を受付けのサッシャさんがチェックしてくれる。
「はい。依頼内容どおりでした。お疲れ様でした。此方が報酬です。」
と言ってサッシャさんが受け付けカウンターにお金が入った袋を置く。
「ありがとう」
とカールソンさんがそれを受け取り、待っていた僕達の方へとやって来た。
そしてそれぞれの取り分を分けてくれる。
僕達のパーティーでの報酬の取り分はきっちり四等分だ。だが、それは報酬金として得た金額分だけで、ドロップした魔石が依頼内容には入っていない時は、ルードリッヒさん達のご好意により、ドロップ数の半分を貰う事になっている。
だからいつも、売った魔石分を差し引いた金額でいい。魔石を貰う事は僕の我儘なんだから。という僕の主張は突っぱねられ、報酬金はいつも四等分というパーティー内での取り決めは続いているんだ。
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ケイドル爺さんの店で働く(正式に鑑定士と魔石の付与師として雇われた)事になった僕は、鑑定の力で、その武器に対して相応しい魔石を付与するのだけど、武器によっては複数の魔石を一度に付ける事も出来れる武器があれば、魔石は一つしか付けられないが色んな属性の魔獣に対応出来る素材で出来た武器もある。
今まで冒険者は、ギルドで受けた依頼の内容によって、自分の武器に魔石を付け替え(埋め替える)ていたらしいが、その度にまぁまぁの工賃がかかっていた。
上級冒険者であれば、その工賃など取るに足らない金額なんだろうけど、そうでない冒険者達にとっては、毎度毎度の出費は痛いものだ。
そこで僕は、ケイドル爺さんに依頼して武器のグリップ部分を少しだけ加工して貰った。
それは、グリップ部分を作る時、本来のグリップの厚さの半分の厚さにして貰い、そこに「」の左側(「 ←こっちだけ)の様な物をグリップ部分に向かい合わせの状態になるように付けて貰った。
そしてその部分に魔石を埋め込んだ、厚さがグリップの半分の厚さになっているプレートをスライドさせてグリップに嵌め、根元にキャップの様にしたもので蓋をする。
キャップには小さな穴が開いていて、グリップに付けた小さな爪がそこに嵌る様になっている為、戦闘中に簡単にキャップが取れる事は無い。また、プレートを付けかえる時には、爪をちょっと押せば簡単にキャップが取れ、違うプレートに代える事が出来るのだ。
これで、一回の闘いの中で複数の種族の魔物と戦う事が出来る様になった為、儲けが余り無い下級冒険者からとても重宝されるようになったんだ。
だが、重宝はたちまちケイドル爺さんの武器屋を困らせる事にもなった。
冒険者達が殺到する様になった為、武器を作る為の材料も魔石も品薄状態になってしまったから。
それに、それ等をギルドで買うと価格がめちゃくちゃ高いんだ。
素材の価格はそのまま武器の価格に比例してしまう為、お金が無い冒険者達は諦めざるを得なくなってしまう。
この世界に召喚された時。
ステータスもスキルも最低だと城から追い出された僕は、この街に辿り着き、この街の人達の優しさによって救われ生かされている。
だからこそ、恩返しがしたくて頑張ってきたのに、そんな理由で街の人達や街に住む冒険者達を苦しめたくなかった。諦めたくなかった。
なんとかしたい。なんとかならないか。そんな事を考えながら、店番をしていた僕の所にルードリッヒさんが現れ、僕に凄い事を言ったんだ。
「のぞむが直接取りに行けばいい。」
と……。
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