50 / 130
第四章 大規模討伐と彼等との再会
11
しおりを挟む
「皆!!よく集まってくれた!」
ルードリッヒさんのお屋敷に泊まらせてもらった翌日の朝。
僕達は冒険者ギルド前にある広場にいた。
どうやら、これから始まる魔獣殲滅戦について、ギルド長が冒険者達に向けた注意点等の話を始める様だ。
「本日皆には、兼ねてより依頼していた魔獣の殲滅だ。対象となっている主な魔獣のランクはCランクだが、中にはBに相当する魔獣もいると報告を得ている。もしかすると、それ以上のランクの魔獣も出るかもしれない。皆、心しておくように!」
ギルド長の"それ以上のランクの魔獣”という言葉に冒険者達の中でざわめきが起こる。多分だが、此処にはA級ランク以上の冒険者が少ない為だと思う。
ランクが高い魔獣を倒すには、冒険者もそれと同等かそれ以上のランクに達していないと、命を落としかねないのだ。
僕の鑑定スキルは武器に特化している様で、冒険者達のランクは見られないが、ケイドル爺さんの店で武器を作ったり魔石の付与をした事があるお客さんなら、大体のランクとその人が得意とする戦い方は知っている。何故なら彼等はいつも僕に武勇伝を話して聞かせてくれるからだ。
「皆が不安に思うのは無理もない。確かに俺のギルドに登録している冒険者諸君の中には、A級冒険者は多くない。だが安心してほしい。先日だが。我がギルドに登録しているパーティーの中で、今回の魔獣殲滅に参加表明してくれているパーティーリーダーに集まってもらい話し合いをした。話し合いの結果、パーティーメンバーの中にA級冒険者がいないパーティーは、A級がいるパーティーと組んで貰う事になった。」
というギルド長の言葉にざわめきが再度起こる。
それもその筈。そもそも冒険者達は、パーティー毎で依頼を請け負うのが主流であり、余程大きな依頼でない限り他のパーティーと共に依頼をこなす事はない。
何故なら、報酬料でもめるからだ。
冒険者の多くは、報酬料で生業をたてている。当然取り分が減れば、その分生活に支障が出る。だから危険と隣り合わせだと分かっていても、自らの生活のために魔獣と戦っているんだ。
ギルド長はそれをちゃんと分かっている。分かっているが、敢えてリーダー達とチームを組ませる事にしたのには訳があるのだろう。
「皆、聞いてくれ!今回俺とリーダー達とで決めたチーム制にした事については訳がある。それは、皆の命を守る為だ!皆が知ってのとおり、森の奥には領域といわれる場所がある。その領域にはSクラスの魔獣……いや最早モンスターと呼ぶべきであろう最強魔獣がいるのだが、そいつは聖なる魔法をかけた扉によって封印されている。今までその扉は、固く閉ざされていたんだが、近年扉が少しずつ開き始め、そこから瘴気が漏れ出した。それにより森にいる魔獣達が、本来の力より強くなってきているという話が出ている。だからこそ、皆の命を守る為、不測の事態に備える為にチーム制にした。」
というギルド長の言葉に、冒険者達はチーム制導入への理解と同意を示した。
僕達異世界人がこの世界に召喚された理由は、その領域とかいうところにいる魔獣を外に出さない様にする為だったんだけど、まさか領域内にいる奴から、森の魔獣達が影響を受けているとは思ってもみなかった。
ルードリッヒさんのお屋敷に泊まらせてもらった翌日の朝。
僕達は冒険者ギルド前にある広場にいた。
どうやら、これから始まる魔獣殲滅戦について、ギルド長が冒険者達に向けた注意点等の話を始める様だ。
「本日皆には、兼ねてより依頼していた魔獣の殲滅だ。対象となっている主な魔獣のランクはCランクだが、中にはBに相当する魔獣もいると報告を得ている。もしかすると、それ以上のランクの魔獣も出るかもしれない。皆、心しておくように!」
ギルド長の"それ以上のランクの魔獣”という言葉に冒険者達の中でざわめきが起こる。多分だが、此処にはA級ランク以上の冒険者が少ない為だと思う。
ランクが高い魔獣を倒すには、冒険者もそれと同等かそれ以上のランクに達していないと、命を落としかねないのだ。
僕の鑑定スキルは武器に特化している様で、冒険者達のランクは見られないが、ケイドル爺さんの店で武器を作ったり魔石の付与をした事があるお客さんなら、大体のランクとその人が得意とする戦い方は知っている。何故なら彼等はいつも僕に武勇伝を話して聞かせてくれるからだ。
「皆が不安に思うのは無理もない。確かに俺のギルドに登録している冒険者諸君の中には、A級冒険者は多くない。だが安心してほしい。先日だが。我がギルドに登録しているパーティーの中で、今回の魔獣殲滅に参加表明してくれているパーティーリーダーに集まってもらい話し合いをした。話し合いの結果、パーティーメンバーの中にA級冒険者がいないパーティーは、A級がいるパーティーと組んで貰う事になった。」
というギルド長の言葉にざわめきが再度起こる。
それもその筈。そもそも冒険者達は、パーティー毎で依頼を請け負うのが主流であり、余程大きな依頼でない限り他のパーティーと共に依頼をこなす事はない。
何故なら、報酬料でもめるからだ。
冒険者の多くは、報酬料で生業をたてている。当然取り分が減れば、その分生活に支障が出る。だから危険と隣り合わせだと分かっていても、自らの生活のために魔獣と戦っているんだ。
ギルド長はそれをちゃんと分かっている。分かっているが、敢えてリーダー達とチームを組ませる事にしたのには訳があるのだろう。
「皆、聞いてくれ!今回俺とリーダー達とで決めたチーム制にした事については訳がある。それは、皆の命を守る為だ!皆が知ってのとおり、森の奥には領域といわれる場所がある。その領域にはSクラスの魔獣……いや最早モンスターと呼ぶべきであろう最強魔獣がいるのだが、そいつは聖なる魔法をかけた扉によって封印されている。今までその扉は、固く閉ざされていたんだが、近年扉が少しずつ開き始め、そこから瘴気が漏れ出した。それにより森にいる魔獣達が、本来の力より強くなってきているという話が出ている。だからこそ、皆の命を守る為、不測の事態に備える為にチーム制にした。」
というギルド長の言葉に、冒険者達はチーム制導入への理解と同意を示した。
僕達異世界人がこの世界に召喚された理由は、その領域とかいうところにいる魔獣を外に出さない様にする為だったんだけど、まさか領域内にいる奴から、森の魔獣達が影響を受けているとは思ってもみなかった。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
不要とされる寄せ集め部隊、正規軍の背後で人知れず行軍する〜茫漠と彷徨えるなにか〜
サカキ カリイ
ファンタジー
「なんだ!あの農具は!槍のつもりか?」「あいつの頭見ろよ!鍋を被ってるやつもいるぞ!」ギャハハと指さして笑い転げる正規軍の面々。
魔王と魔獣討伐の為、軍をあげた帝国。
討伐の為に徴兵をかけたのだが、数合わせの事情で無経験かつ寄せ集め、どう見ても不要である部隊を作った。
魔獣を倒しながら敵の現れる発生地点を目指す本隊。
だが、なぜか、全く役に立たないと思われていた部隊が、背後に隠されていた陰謀を暴く一端となってしまう…!
〜以下、第二章の説明〜
魔道士の術式により、異世界への裂け目が大きくなってしまい、
ついに哨戒機などという謎の乗り物まで、この世界へあらわれてしまう…!
一方で主人公は、渦周辺の平野を、異世界との裂け目を閉じる呪物、巫女のネックレスを探して彷徨う羽目となる。
そしてあらわれ来る亡霊達と、戦うこととなるのだった…
以前こちらで途中まで公開していたものの、再アップとなります。
他サイトでも公開しております。旧タイトル「茫漠と彷徨えるなにか」。
「離れ小島の二人の巫女」の登場人物が出てきますが、読まれなくても大丈夫です。
ちなみに巫女のネックレスを持って登場した魔道士は、離れ小島に出てくる男とは別人です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる