バトロワゲーヲタの異世界無双物語

第六章 ヲタは領域を制す（王との謁見編）

1

討伐の疲れが出たのか、討伐の翌日から数日間、僕は久しぶり（ここ何年かぶり）に熱を出して寝込んでしまった。
その間、ミランダさんが何度か僕を見舞いに来てくれたらしいんだけど、
「こんな家に入ったら、お貴族様のその綺麗なドレスが汚れちまいますよ。それに、のぞむの熱はまだ下がっておりません。人様に感染しちまう病やまいじゃ無いそうですが、のぞむ自身が"弱ってる姿を見られたくない”って言ってんですよ。あの子の気持ち、分かってやっちゃ下さいませんかね？」
と、ハイネさんが断っていたという話を、後日、元気になってケイドル爺さんの店に出勤した僕は、店に来たカールソンさんから聞いて心底驚いた。
「そうですか……そんな事が……。」
と言って申し訳ない気持ちになっていると、
「まぁいい。兎に角良くなったのなら。それよりもだ。明日、国王陛下との謁見があってだな、俺達は、王宮に行かねばならない。」
と言うカールソンさんに、
「そうですか。大変ですね。気を付けて。」
と他人事の様に言って返すと、
「何を言ってるんだ、のぞむは。お前も行くに決まっているだろうが。」
と言って、僕の脳天に手刀を入れてくるカールソンさん。
病み上がりだからか、それをもろにくらってしまった僕は、痛みで頭を擦りながら、
「え～っと。何故僕も行かないといけないのですか？カールソンさん達は貴族ですが、僕は平民です。それに僕は、魔力が無いからと、お城から追い出されたんです。追放された平民になんて、王様は会いたくないんじゃないですか？」
と嫌味をたっぷりと込めて聞いてみた。すると、
「だからこそだ。じつは陛下は、今回の討伐に対し、ルードリッヒ様のご活躍ぶりを、副騎士団長からお聞きになられ、たいそう喜ばれたそうだ。其れにより、我々を王宮に呼び付け、陛下直々にお言葉を述べたいと仰っている。だからこそ、陛下の御前でお前の活躍を報告し、無能呼ばわりしたお前に頭を下げさせたいと、ルードリッヒ様やミランダ様は、そうお考えなのだ。」
と言うカールソンさん。
そんな彼の言葉に対して、僕は心底、そんなの関係ねぇ！と思ったが、ルードリッヒさんにそう言っても、多分……いや十中八九、笑顔で却下されるだろう。

「分かりました。」
と僕は渋々王宮に行く事を了承した。
「お前が王宮に行く事に対して、気が進まないのは分かる。だが、ルードリッヒ様やミランダ様は、お前の名誉を取り戻してやりたいとお考えなのだ。すまない。」
とカールソンさんが頭を頭を下げたので、僕は慌ててそれを止めてもらった。

その後久しぶりの店での仕事をこなした僕は、いつも通り店じまいの作業を終え、裏口から店を後にすると、ハイネさんの店まで走って帰った。
何故なら、この後にルードリッヒさんが住む公爵家の馬車が迎えに来る為、身綺麗にしておくべきと考えたからだ。

ハイネさんの家に帰ると、ルードリッヒさんの家に呼ばれている事をハイネさん彼女に話し、風呂を沸かして入浴を済ませ、一張羅を着てルードリッヒさんの家の馬車が店の前に現れるのを待った。