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第九章 王との謁見(僕は勇者ではない)
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そんなことがあったなと思い出し、顔が赤くなるのを必死で抑えながら、
「王様。僕は勇者ではありません!勇者は貴方の息子さんのルードリッヒさんです。」
と目の前の王にそう言った。
「ほぉ。のぞむ殿は勇者ではないと?」
「はい。ミランダさんが、あの日僕こそが真の勇者だと言ってくれたと聞いて、僕はとても嬉しかった。けど、僕は勇者の器じゃありません。勇者とは、城を追い出され、街の武器屋で働いていただけの僕を、ここまで連れて来てくれたルードリッヒさんの様な人を指すと僕は思うんです。僕は……ただの、道具に魔石の付与が出来る付与師で……僕はただの冒険者なんです。だから王様。冒険者ギルドを通して、僕に領域封印の依頼を出して下さい。これが僕の望みです。」
「なッ!なんと余が冒険者ギルドとやらに依頼をだと?」
「はい、そうです。ですが、王様自らギルドに来られちゃうと、ギルド長がびっくりしちゃうので……えと……はい!依頼書に内容を書いてくれませんか?」
と僕は、異空間鞄の中にいつも入れてある依頼書を取り出すと、
「誰かこれを、王様に渡して貰えませんか?」
と声を張った。
すると、
「これはいい!」
と言って、ガハハハと笑う大柄の男の人が僕の前まで近づいて来た。
「ガイナス!」
とカールソンさんからそう呼ばれた大柄の男は、
「俺の名はガイナス。ガイナス=カッサミド。家名があるのは俺が男爵家の者だからだが、次男だから平民と同じだな。だからこそ、俺は騎士を目指し王宮騎士団の団長まで登りつめた。のぞむは、元王宮騎士団長のカールソン様と、元王族であらせられたルードリッヒ様ミランダ様から認められた男だと聞いているが、自分は勇者ではなくただの冒険者だというその心意気が気に入った。」
心意気が気に入ったと言われても、僕にはなんの事だかさっぱり分からなかったが、ガイナスさんが僕の手から依頼書を抜き取り、王に持って行ってくれたんだ。
「陛下。此方をお目通し下さい。一見したところ、王室が不利になる様な文言はございません。」
と言って、王様に依頼書を見るように言うガイナスさんと、それを受け取りじっと見ている王様を見ていると、どっちが偉い人なのか分からなくなりそうだった。
「陛下。ペンをお持ち致しました。」
食い入るように依頼書を見ている王様に、「ほれ。早く持てよ。」と言わんばかりにペンを差し出すガイナスさんから、「おぉ、そうか。」と言ってペンを受け取る王様。二人のやり取りに思わず吹き出しそうになるのを、僕は必死に堪えた。
「冒険者ギルドの依頼書なんぞ、書いたこともないわ。」
とぶくつさ言っている王に、
「次はここに……。それからここは……。いえ陛下、そこはこう……。」
と記入の仕方を説明しているガイナスさん。
そんな中、ふと依頼書から視線を外して僕を見た王は、
「のぞむ殿。成功報酬の事だが……。」
と聞いてきたので、
「王様の心意気で。」
と言ったら、ガイナスさんだけでなく、ルードリッヒさんやカールソンさん、ミランダさんまでもが大笑いしたんだ。
は?何でそんなに笑うんだ?
僕は変な事を全然言ってないのに……。
「王様。僕は勇者ではありません!勇者は貴方の息子さんのルードリッヒさんです。」
と目の前の王にそう言った。
「ほぉ。のぞむ殿は勇者ではないと?」
「はい。ミランダさんが、あの日僕こそが真の勇者だと言ってくれたと聞いて、僕はとても嬉しかった。けど、僕は勇者の器じゃありません。勇者とは、城を追い出され、街の武器屋で働いていただけの僕を、ここまで連れて来てくれたルードリッヒさんの様な人を指すと僕は思うんです。僕は……ただの、道具に魔石の付与が出来る付与師で……僕はただの冒険者なんです。だから王様。冒険者ギルドを通して、僕に領域封印の依頼を出して下さい。これが僕の望みです。」
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と僕は、異空間鞄の中にいつも入れてある依頼書を取り出すと、
「誰かこれを、王様に渡して貰えませんか?」
と声を張った。
すると、
「これはいい!」
と言って、ガハハハと笑う大柄の男の人が僕の前まで近づいて来た。
「ガイナス!」
とカールソンさんからそう呼ばれた大柄の男は、
「俺の名はガイナス。ガイナス=カッサミド。家名があるのは俺が男爵家の者だからだが、次男だから平民と同じだな。だからこそ、俺は騎士を目指し王宮騎士団の団長まで登りつめた。のぞむは、元王宮騎士団長のカールソン様と、元王族であらせられたルードリッヒ様ミランダ様から認められた男だと聞いているが、自分は勇者ではなくただの冒険者だというその心意気が気に入った。」
心意気が気に入ったと言われても、僕にはなんの事だかさっぱり分からなかったが、ガイナスさんが僕の手から依頼書を抜き取り、王に持って行ってくれたんだ。
「陛下。此方をお目通し下さい。一見したところ、王室が不利になる様な文言はございません。」
と言って、王様に依頼書を見るように言うガイナスさんと、それを受け取りじっと見ている王様を見ていると、どっちが偉い人なのか分からなくなりそうだった。
「陛下。ペンをお持ち致しました。」
食い入るように依頼書を見ている王様に、「ほれ。早く持てよ。」と言わんばかりにペンを差し出すガイナスさんから、「おぉ、そうか。」と言ってペンを受け取る王様。二人のやり取りに思わず吹き出しそうになるのを、僕は必死に堪えた。
「冒険者ギルドの依頼書なんぞ、書いたこともないわ。」
とぶくつさ言っている王に、
「次はここに……。それからここは……。いえ陛下、そこはこう……。」
と記入の仕方を説明しているガイナスさん。
そんな中、ふと依頼書から視線を外して僕を見た王は、
「のぞむ殿。成功報酬の事だが……。」
と聞いてきたので、
「王様の心意気で。」
と言ったら、ガイナスさんだけでなく、ルードリッヒさんやカールソンさん、ミランダさんまでもが大笑いしたんだ。
は?何でそんなに笑うんだ?
僕は変な事を全然言ってないのに……。
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