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第九章 王との謁見(僕は勇者ではない)
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何故か皆さんから笑われてしまったけど、僕はちっとも間違った事を言ってないと思う。
だって、【言い値で】と言ったら、もの凄く安い金額にされちゃっても文句言えないし、【相場で】と言ったら他の魔獣を倒した時と同じ金額になるかもだろ?
でも、領域封印は、通常とは違うハイリスクを負う確率が非常に高い訳で、言い値や相場で金額を決められたら、保険制度がないこの世界だ。例え封印に成功しても、大怪我なんてしたらやってらんないし、動けないくらいの後遺症が残ったら、街の人達に迷惑かけるだけだ。
だったら王様の心意気で、ガッツリ出してもらった方が良いと思っただけなのにな。
皆さんから笑われた事に納得がいかずブチブチと内心文句を言っていたら、
「あい分かった。余の心意気を見せようぞ。」
と言って、王はそこにペンを走らせ、最後に、
「此処に余の名前を書けば良いのだろう?ガイナスよ。」
と、ガイナスさんに確認を取っている王。
「はい、左様にございま……陛下!この金額は……正気にございますか?」
とガイナスさんがとても驚いた……いや、どちらかというととても慌てた様子で、王に確認をしていた。
ガイナスさんが発したその言葉に釣られる様に、ルードリッヒさん達も王の所へ行き依頼書を覗き込んでいる。
そして三人同時に、
「「「陛下!お気は確かでしょうか?」」」
と言っていたんだ。
皆さんからそんな事を言われちゃうくらいの金額ってどんなだろうと思っていると、
「のぞむ殿。あとの手続きは任せたからな。しっかりと頼むぞ。そなたの働きを期待しておるぞ。」
と言って、僕がいる場所に王自ら依頼書を手渡しに来てくれた後、王はその足で謁見の間を出て行こうとした。
それを、頭を下げて王を見送るルードリッヒさん達に倣って僕も頭を下げながら依頼書をちらっと見てみた。
するとそこには、とんでもない金額が書かれていたんだ。
こ、これって……小さな城なら建てれちゃうんじゃね?て金額に驚き、
「ちょっと王様!これは流石に多過ぎです!!」
と、大声を出して王を引き留めようとしたが、より大きな音を立てて、謁見の間に三人の人影か飛び込んで来たんだ。
その三人とは、勇と賢、そして昴だった。
「渡瀬がいるって、本当か?」
と言って謁見の間にズカズカと入ってきた勇達に、
「元勇者殿。陛下の御前であるぞ。」
とガイナスさんが諌めようとするも、それをガン無視した勇達は僕の前まで来ると、
「「「渡瀬。ごめん!!」」」
三人一緒に頭を下げたんだ。
そんな彼等に驚き戸惑う僕を見ることもなく、勇は頭を下げたままこう言った。
「渡瀬に今までしてきた事は本当に申し訳ないと思っているし、深く反省している。渡瀬からしてみれば、今更なんだろうけど、それでもお前に謝りたいんだ。本当に申し訳なかった。」
と。
ただ僕は、そんな彼等に対して、やっぱり勇の言うとおり"今更”だと思ったし、許すつもりは毛頭無かったから、黙っていた。
すると勇は、
「渡瀬が俺達を許せないのは分かる。だからこそ、これからは態度で示していくつもりだ。」
と言葉を続けた。だから僕は、
「態度って……具体的にどう示してくれるわけ?」
とかなり上から目線で聞いてみたんだ。
その言葉に顔を上げた勇は、
「渡瀬達が行く領域封印に同行する。そして、全面的にお前をサポートして、信頼を得る。」
と言った。
「何?それ。意味不なんだけど?それにさ。それって……ただ単に、自分が行きたいってだけなんじゃないの?それに、大規模討伐や直接対決の時みたいに、ワンパターンな攻撃するつもり?だとしたら、正直全く使えない。足でまといにしかならないから。」
と辛辣な言葉で勇達の自尊心を潰してやったんだ。
でもそれは逆効果だったことを、僕はこの直後に知ることになった。
だって、【言い値で】と言ったら、もの凄く安い金額にされちゃっても文句言えないし、【相場で】と言ったら他の魔獣を倒した時と同じ金額になるかもだろ?
でも、領域封印は、通常とは違うハイリスクを負う確率が非常に高い訳で、言い値や相場で金額を決められたら、保険制度がないこの世界だ。例え封印に成功しても、大怪我なんてしたらやってらんないし、動けないくらいの後遺症が残ったら、街の人達に迷惑かけるだけだ。
だったら王様の心意気で、ガッツリ出してもらった方が良いと思っただけなのにな。
皆さんから笑われた事に納得がいかずブチブチと内心文句を言っていたら、
「あい分かった。余の心意気を見せようぞ。」
と言って、王はそこにペンを走らせ、最後に、
「此処に余の名前を書けば良いのだろう?ガイナスよ。」
と、ガイナスさんに確認を取っている王。
「はい、左様にございま……陛下!この金額は……正気にございますか?」
とガイナスさんがとても驚いた……いや、どちらかというととても慌てた様子で、王に確認をしていた。
ガイナスさんが発したその言葉に釣られる様に、ルードリッヒさん達も王の所へ行き依頼書を覗き込んでいる。
そして三人同時に、
「「「陛下!お気は確かでしょうか?」」」
と言っていたんだ。
皆さんからそんな事を言われちゃうくらいの金額ってどんなだろうと思っていると、
「のぞむ殿。あとの手続きは任せたからな。しっかりと頼むぞ。そなたの働きを期待しておるぞ。」
と言って、僕がいる場所に王自ら依頼書を手渡しに来てくれた後、王はその足で謁見の間を出て行こうとした。
それを、頭を下げて王を見送るルードリッヒさん達に倣って僕も頭を下げながら依頼書をちらっと見てみた。
するとそこには、とんでもない金額が書かれていたんだ。
こ、これって……小さな城なら建てれちゃうんじゃね?て金額に驚き、
「ちょっと王様!これは流石に多過ぎです!!」
と、大声を出して王を引き留めようとしたが、より大きな音を立てて、謁見の間に三人の人影か飛び込んで来たんだ。
その三人とは、勇と賢、そして昴だった。
「渡瀬がいるって、本当か?」
と言って謁見の間にズカズカと入ってきた勇達に、
「元勇者殿。陛下の御前であるぞ。」
とガイナスさんが諌めようとするも、それをガン無視した勇達は僕の前まで来ると、
「「「渡瀬。ごめん!!」」」
三人一緒に頭を下げたんだ。
そんな彼等に驚き戸惑う僕を見ることもなく、勇は頭を下げたままこう言った。
「渡瀬に今までしてきた事は本当に申し訳ないと思っているし、深く反省している。渡瀬からしてみれば、今更なんだろうけど、それでもお前に謝りたいんだ。本当に申し訳なかった。」
と。
ただ僕は、そんな彼等に対して、やっぱり勇の言うとおり"今更”だと思ったし、許すつもりは毛頭無かったから、黙っていた。
すると勇は、
「渡瀬が俺達を許せないのは分かる。だからこそ、これからは態度で示していくつもりだ。」
と言葉を続けた。だから僕は、
「態度って……具体的にどう示してくれるわけ?」
とかなり上から目線で聞いてみたんだ。
その言葉に顔を上げた勇は、
「渡瀬達が行く領域封印に同行する。そして、全面的にお前をサポートして、信頼を得る。」
と言った。
「何?それ。意味不なんだけど?それにさ。それって……ただ単に、自分が行きたいってだけなんじゃないの?それに、大規模討伐や直接対決の時みたいに、ワンパターンな攻撃するつもり?だとしたら、正直全く使えない。足でまといにしかならないから。」
と辛辣な言葉で勇達の自尊心を潰してやったんだ。
でもそれは逆効果だったことを、僕はこの直後に知ることになった。
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