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4部
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宮廷からの封書には時節の挨拶と
『ボルト前男爵夫人には是非、王太子ロベルト殿下の閨教育の教師として王子宮にお越しいただきたく…』
「何ですか?これは…!」
「私が聞きたいですわ、ジーク!これはどういうことですの!?」
帰宅した息子がぎょっとした顔で手紙を読み、嫁のキャメロンさんはギリギリと奥歯を鳴らして鬼の形相です。
「んー…今年16歳になるロベルト殿下には隣国の姫君との縁談話が上がっているようですし、そろそろそういった教育をということなのでしょうが…なぜ私にこのような手紙が来たのか分かりません。正直、成績の悪い不得意科目です」
困った顔で項垂れてついつい溜息が出てしまいます。
そんな私の横で息子夫婦は顔を見合わせ、こちらを見て同じようにため息を
「恐らく母上が未亡人となられたからでしょう」
「私が未亡人だから?」
「今のところ上位貴族に若い未亡人はおりません。あまり年配の方ではロベルト殿下に合わないでしょう」
「かといって公娼など宮廷に呼ぶわけにもいきませんし、妙な病を持ち込まれては大変。生娘を用意するにもそれなりの身分でなければ危険ですし、ご令嬢を相手にするなら妾妃にでも召し上げなければ責任問題となりますものね」
ーーやっぱり、閨教育の教師とは「筆下ろしの相手」でしたか!
無理です。無理すぎます!確かに旦那様には色々教えていただきましたが、最後までは致していないのです。つまるところ私、未亡人でお婆ちゃんですが生娘なのです!それなのに指導する立場になるなど…やっぱり無理です。
「ジーク、離縁しましょう」
「キャメロンそれは…!」
「キャメロンさん!?」
突然息子が離婚の危機で、驚きのあまり二人の間でオロオロしてしまいます。
「離縁したってジークと私の関係は変わらない、そうよね?」
「そう、だな…だが、その方法は最終手段だ」
「何を言っているのですか、息子よ!離縁だなんて…はっ!浮気!?奥さんが妊娠中の夫は浮気する確率が高くなると書いてましたが、息子よお前もか!?」
「誤解ですのですので落ち着いてください、母上。まだ大衆紙を読んでいらっしゃったのですね、お止めください」
息子に睨まれたキャメロンさん「てへ⭐︎」と舌を出して、可愛いですね。
「一度離縁して、お母様をジークの籍に入れるのです。人妻なら閨の相手に呼ばれたりはしないでしょう」
「ですが、そんなことをすれば義母に夫を奪われた妻としてキャメロンさんの立場がなくなります。息子も無事では済まないでしょう」
「ですから、それは最終手段なのですよ、母上」
腕を組んで思案します。これはなんとかしなければボルト男爵家の危機です!
私は急ぎ手紙を認めマーサに託しました。
『ボルト前男爵夫人には是非、王太子ロベルト殿下の閨教育の教師として王子宮にお越しいただきたく…』
「何ですか?これは…!」
「私が聞きたいですわ、ジーク!これはどういうことですの!?」
帰宅した息子がぎょっとした顔で手紙を読み、嫁のキャメロンさんはギリギリと奥歯を鳴らして鬼の形相です。
「んー…今年16歳になるロベルト殿下には隣国の姫君との縁談話が上がっているようですし、そろそろそういった教育をということなのでしょうが…なぜ私にこのような手紙が来たのか分かりません。正直、成績の悪い不得意科目です」
困った顔で項垂れてついつい溜息が出てしまいます。
そんな私の横で息子夫婦は顔を見合わせ、こちらを見て同じようにため息を
「恐らく母上が未亡人となられたからでしょう」
「私が未亡人だから?」
「今のところ上位貴族に若い未亡人はおりません。あまり年配の方ではロベルト殿下に合わないでしょう」
「かといって公娼など宮廷に呼ぶわけにもいきませんし、妙な病を持ち込まれては大変。生娘を用意するにもそれなりの身分でなければ危険ですし、ご令嬢を相手にするなら妾妃にでも召し上げなければ責任問題となりますものね」
ーーやっぱり、閨教育の教師とは「筆下ろしの相手」でしたか!
無理です。無理すぎます!確かに旦那様には色々教えていただきましたが、最後までは致していないのです。つまるところ私、未亡人でお婆ちゃんですが生娘なのです!それなのに指導する立場になるなど…やっぱり無理です。
「ジーク、離縁しましょう」
「キャメロンそれは…!」
「キャメロンさん!?」
突然息子が離婚の危機で、驚きのあまり二人の間でオロオロしてしまいます。
「離縁したってジークと私の関係は変わらない、そうよね?」
「そう、だな…だが、その方法は最終手段だ」
「何を言っているのですか、息子よ!離縁だなんて…はっ!浮気!?奥さんが妊娠中の夫は浮気する確率が高くなると書いてましたが、息子よお前もか!?」
「誤解ですのですので落ち着いてください、母上。まだ大衆紙を読んでいらっしゃったのですね、お止めください」
息子に睨まれたキャメロンさん「てへ⭐︎」と舌を出して、可愛いですね。
「一度離縁して、お母様をジークの籍に入れるのです。人妻なら閨の相手に呼ばれたりはしないでしょう」
「ですが、そんなことをすれば義母に夫を奪われた妻としてキャメロンさんの立場がなくなります。息子も無事では済まないでしょう」
「ですから、それは最終手段なのですよ、母上」
腕を組んで思案します。これはなんとかしなければボルト男爵家の危機です!
私は急ぎ手紙を認めマーサに託しました。
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