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「お尻の穴に興味があります」
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付き合って一年目。年下の男の子というのに人生で初めて恋をして、すでに一年も経った。今までの彼氏とはまた違った犬のように可愛い彼を前にすると、どうしようもなく胸が疼く。齢二九にして、五つも下の子に好かれるとは思いもしなかったな。人生何があるかわからないものだ、恋に対してそこまで積極的ではなくても、尻尾を振りながら迫ってくる彼を見たら、恋に溺れてもいいかもしれないと思うのだから。
私の下着に触れながら、子犬のような顔をした彼が大型犬に変わる様を見るのは、楽しかった。ちょっと頭を触っただけですぐに顔を赤くして、太ももに舌を添える時に足に力を入れたら、顔を真っ赤にしながら挟まれてくれる。弟のような、小型犬のこの子が私を抱きたいとその熱情を目に灯らせて、狼に変わる瞬間が、たまらなく好きだった。
抱いていいよ、そんな言葉を恥ずかしげもなく投げかける私も私だが、ごくりと生唾を飲み込んで勇気を出す可愛らしい所だって、私に興奮をもたらしてくれる。年下男子は素晴らしい。彼の性格が元々紳士的で優しいからというのもあるけれど、セックスにハマってしまった童貞臭がとんでもなくいい匂がするのだ。
頑張れ、もっともっと私の身体で男になっていけばいい。二九歳の私との恋なんてきっと一過性に過ぎないだろう、年上の女の身体を覚えたら、次はきっと若い女の子に移動する、そう思っていた。
弊社の王子様と呼ばれる営業課エースなのだから、この子は。
そんな彼が、今、正座をしながらなにやら顔を険しくしていた。
キスをして、そのままベッドに押し倒されるものかと思ったのも束の間、私の肩を掴んだまま彼は固まって。なんなら足の間にあるそこも硬くなっていた。黒のボクサーパンツにはシミが薄ら。今からセックスをしましょうという時に、何があったのか。
彼の色とは正反対の真っ白の下着を着たまま、私も向かい合って正座をする。ベッドは二人分の体重を簡単に包み、沈んだ。ぎしりと音を鳴らして、鈍く響かせるその音が部屋に充満する。
私の部屋に入り浸るようになってしまった彼の服を入れた、透明の棚が積み重なった壁際の上。数年前買ったアンティークの時計からチクタクと音が聞こえて、無音とはまた別の空間が生まれていた。
ごくり。彼、王川君の生唾を飲み込む音がした。
「…ちせ先輩……」
「ん、どうかした?」
王川雄大。名前からしてなんとなく感じとれるイケメン臭は、例え我慢汁をたっぷりと染み込ませたボクサーパンツを履いていたって拭えない。地毛らしい淡い栗色の髪の毛は、汗でぺたりと額に張り付いて。童貞だったあの時よりは緊張もしていない手を眺めつつ、彼がこれから発するのだろう言葉を待った。
『俺を…男にしてくれませんか…っ…』
一年前、涙目になりながら私にそう言ってきた王川君を思い出す。震えてる拳を握りしめて、正座をしながらお酒の匂いを沢山撒き散らして、そう叫んだ彼と目の前の彼が重なった。あの時と同じだ、また男にしてくれとでも言うのだろうか。
散々セックスもしてフェラだってしてあげて、色んな体位も教えて、その歳でその顔でずっと女性にモテてきただろうになぜか童貞だった彼を立派な男にしてあげたじゃないか。これ以上、どう男になるつもりなのだろう。別れ話か、いや、裸でするものではない。今から始めますと言わんばかりに勃起をしてる彼の股間を見下ろして、頬を指で掻いた。
あぁ、早くしないのかな。毎日終電までの残業生活を一週間乗り越えた理由なんてこのためだ。年下の男の子とセックスするためとか、同期の男子に聞かれたらたまったものではないけれど、まぁ仕方ないだろう。
女だってたまる。女だってエッチしたい。女だって、性欲はあるのだから。
王川君は私を見つめたまま、もう一度口を閉じた。何かを言おうとして言えないかのような険しい顔。その目にある熱がやけに光って見えて、なんとなく怯えてるのかなと思った。今更怯えられても困ってしまう。沢山食っては食われてきた仲なのに。
彼を見つめながら、はぁと一つため息を吐き捨てた。君、ずっとこのままでいるつもり?私のため息の音に、王川君はピクリと肩を揺らした。
「王川君、何か言いたいことあるなら言って?エッチしたくないとか?」
「ち、ちがうよ…したい!」
じゃあなんなんだ。王川君は顔を真っ赤にした。太ももの上で握った手に力が入る。ふるふると震えてるその手は一体、何を握っているのやら。勇気か、恐怖か、性欲か。我慢でもしてるのか、だとしたらその我慢は今すぐに取り払って私とセックスをしよう。
もういい加減にしてくれと、もう一度ため息を吐き捨てて彼の肩に手を伸ばした時だった。
王川君が、ガバッと顔を上げた。鍛え上げられた筋肉質な体を見せびらかして、キスしかしてないのにたってる乳首も隠さずに、ボクサーパンツのシミさえ気にせずに彼は続ける。
静かな部屋、王川君が前のめりになったせいでベッドはぎしりと、また一つ音を立て、そして息を吸う音が耳に届いた。
「お尻の穴に興味があります!!!」
聞こえた言葉が、あまりにも予想外の言葉すぎて、口をあんぐりと開けてしまった。真っ赤な顔に真っ赤な耳、肩は震えて唇も震えて。勇気を出してくれたところ大変申し訳ないが、お尻の穴に興味があると言われて一体どうしろと。王川君のお尻を調教しろって事か。
一年前、このベッドの上で裸になった彼に泣かれた時並の衝撃だ。王子様だなんだと社内で言われてる人間が、実は童貞だったと知った時のあの衝撃なんて、お尻の穴に興味がありますと言われるよりも驚愕だった。
童貞なの?彼女もいた事ないの?それなのに、私に声掛ける?たしかに歳上で、営業課の彼と研究課の私とじゃ接点もないし一度のワンナイトラブぐらいなら付き合ってやってもいいかと思ったのに、気づけば彼は恋人になり、週末セックスの繰り返し。
特段美人でもなんでもない私に訪れた王子様のような見た目の彼との恋をしている方が、ありえないことなのかもしれない。
一瞬、いや、一分ぐらい固まったまま、私は思考を巡らせた。お尻の穴に興味があります、その言葉の今の私のこの恋人の存在や恋愛は天秤にかけるとどっちが珍しいことなのか?と。同期のあのイヤミったらしい男の顔が現れて、こう言った。「お前がウチの王子の彼女とか、冗談だろ?」よし、私の方が軍配があがったな。
じゃあいっか。お尻の穴ぐらい珍しい事ではないかもしれない。それなら調教してもいいだろう。
王川君は私を見つめたままだった。期待に満ちたその目。なんと返事をしたらいいのか迷ってしまうが仕方ない。ここは年上らしく、オッケーだと言ってやろう。
「……いいよ、でも準備とかあるし今度でいい?」
「………っうん!!!」
そんな嬉しそうに頷かれても困るなぁ~私に何を期待してるんだ。キラキラと輝く笑顔で私の手を握った王川君は、そのまま私に抱きついて押し倒した。キスをして、リップ音を立てながら首筋に、そして胸元、腰へと下がる顔を見下ろした後、天井を見上げる。
男のお尻の穴なんて、どうやって調教したらいいのだろう。こんなどうでも良い悩みを抱える私の事なんて気にもせずに、王川君は私の体へキスを続けた。
吸い付かれた肌にちくりと痛みが伴う。キスマークを付けたがるその癖は流石歳下だと可愛がってやりたい気持ちもあるが、見える場所に付けようとする所は是非やめてほしい。
二の腕を持ち上げて噛み付いて、腰をぐりぐりと押し付けて来るその素振り。太ももに当たった彼の硬いあそこが、早く挿れたいと言っている。
「ちせ先輩…ちせ先輩…っ、好き、好き…」
耳元で囁く声にも熱がこもっている。うわ言のように名前を呟かれると、膣の奥がキュッと締め付けられて仕方ない。触られていないのに濡れてると理解できる程、一年のセックスの特訓かなんなのか、彼の声だけで十分に濡れるほど私の身体は王川君を受け入れるようになってしまった。
育てたはずが育てられたのかもしれない。それはそれで面白いし、彼とのセックスは気持ちいいので思考を停止しよう。
「ん…っ…」
「ちせ先輩…っ……キス、しよ……?」
蕩けてる顔でそんな風に言われたら、もうどうしようもない。私の顔を見下ろして、顔の横についた手が頬を優しく撫でた。髪の毛を耳にかけながら、近づく顔。王川君の頬は真っ赤で、社内で黄色い声を浴びている顔とは思えないほど、年相応の可愛らしい表情を浮かべていた。
いつものあの顔はどうしたの。王川君が本気で私を好きなんだと勘違いしそうになるぐらい、その顔が好きだった。きっといつかアラサーのこの私なんて捨てるだろうに、それでもまぁいいかと思うぐらい、私はどこかで覚悟を決めていたのだ。
「ぅ…ん…っ」
「っ…は…ぁ…んん…せんぱ…っ…」
王川君は、キスが好きだ。私の唇を覆って、舌を伸ばしてくるそのだらしない顔を、よくもまあ見せつけてくれるものだと思う。彼のそんな顔を見ることができるのは、私だけ。そう思ったら、社内の若い女の子達に非常に申し訳ないけれど、少しの優越感だって持ってしまうもので。
「ん…っ、先輩…っ触って……?」
王川君の硬いあそこが、パンツを下ろすことであらわになった。大きくて、太くて、ながくて。これをずっと使う事なくいた事実に驚きさえした一年前のあの日、調教だか育成だかのお陰が彼は随分とセックスが大好きな大型犬へと成長した。いや、最早狼か。それか万年発情期の兎だ。
太腿に擦り付けられる彼のそれは、鼓動を脈打っている。ドクンドクンと動いてる裏筋がピクリと動いて、先端から溢れてる我慢汁の滑りで、彼の腰の動きが大きくなった。
「触ってあげるから、止まって?」
「ん…んっ、先輩…」
こんな甘えた顔で、甘い声で、私の耳を甘噛みする彼は、その大きい身体で私を押しつぶす気なのだろうか。身体全身で愛を表現してくれるのはありがたいけれど、少しぐらい落ち着いて欲しい。
髪の毛をそっと撫でてあげながら、手を下へ伸ばす。彼の硬くて大きいそれが、私の手に触れた瞬間また揺れた。
触るだけでこんなにびくつくのだから、確かにお尻の穴に興味を持つのもおかしくないかもしれない。挿入するときはガツガツと奥に突いてくるタイプの子だけど、元来童貞っぽい反応は抜け切れていないから。そうか、もっとちゃんと色んな意味で気持ちよくなりたいのかもしれないな。
彼の太くて熱いその男根を握りながら、上下に扱く。ぐちゅぐちゅと音を鳴らしながら、彼の喘ぎ声も耳に届いた。
「ぅ……っは、ゃばい…っ…」
「イク……?」
「ん……出ちゃう……っ」
一回抜いておかないと。彼は絶倫だから、いれる前に出させないと私の腰がもたない。明日は休みだから確実に、彼の満足する十分な回数を終える頃には、私の体なんてボロボロだろう。
イク寸前、彼のそこが大きく揺れて熱くなった。私の手のひらの中へ吐精して、溢れてきたその白濁液を優しく包んであげる。生臭くて男臭くて、粘りつくそれは気持ち悪いのに、あの王子様がこんなにだらしなく呼吸を荒くして、私の手コキで射精してる姿を見ると、ぞくりと鳥肌が粟立つのも仕方ない。
あぁ、可愛い。まだ肩が震えてる。何回だって見てるのに、射精するたびに恥ずかしがる顔が可愛くて。このままこの子が私をずっと好きでいてくれたらいいのにと、願わざるを得ないのだ。
「……気持ちよかった?」
私の胸に顔を埋めて、王川君は首を縦に振った。熱い身体、汗でペタついた背中に腕を回して、トントンと優しく叩く。華奢に見せて実は隠れマッチョの鍛え抜かれた筋肉は、激しいセックスが好きな私にとって好みの身体で。あぁ早く、この体に抱かれたいと思いながら、手の中にある精液を舐め取った。
味は苦い。美味しいとは到底思わない。
それでも、私の顔を見上げて、胸の中で生唾をごくりと飲み込んでるその顔は、甘くて美味しくて仕方ないのだ。
私の下着に触れながら、子犬のような顔をした彼が大型犬に変わる様を見るのは、楽しかった。ちょっと頭を触っただけですぐに顔を赤くして、太ももに舌を添える時に足に力を入れたら、顔を真っ赤にしながら挟まれてくれる。弟のような、小型犬のこの子が私を抱きたいとその熱情を目に灯らせて、狼に変わる瞬間が、たまらなく好きだった。
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弊社の王子様と呼ばれる営業課エースなのだから、この子は。
そんな彼が、今、正座をしながらなにやら顔を険しくしていた。
キスをして、そのままベッドに押し倒されるものかと思ったのも束の間、私の肩を掴んだまま彼は固まって。なんなら足の間にあるそこも硬くなっていた。黒のボクサーパンツにはシミが薄ら。今からセックスをしましょうという時に、何があったのか。
彼の色とは正反対の真っ白の下着を着たまま、私も向かい合って正座をする。ベッドは二人分の体重を簡単に包み、沈んだ。ぎしりと音を鳴らして、鈍く響かせるその音が部屋に充満する。
私の部屋に入り浸るようになってしまった彼の服を入れた、透明の棚が積み重なった壁際の上。数年前買ったアンティークの時計からチクタクと音が聞こえて、無音とはまた別の空間が生まれていた。
ごくり。彼、王川君の生唾を飲み込む音がした。
「…ちせ先輩……」
「ん、どうかした?」
王川雄大。名前からしてなんとなく感じとれるイケメン臭は、例え我慢汁をたっぷりと染み込ませたボクサーパンツを履いていたって拭えない。地毛らしい淡い栗色の髪の毛は、汗でぺたりと額に張り付いて。童貞だったあの時よりは緊張もしていない手を眺めつつ、彼がこれから発するのだろう言葉を待った。
『俺を…男にしてくれませんか…っ…』
一年前、涙目になりながら私にそう言ってきた王川君を思い出す。震えてる拳を握りしめて、正座をしながらお酒の匂いを沢山撒き散らして、そう叫んだ彼と目の前の彼が重なった。あの時と同じだ、また男にしてくれとでも言うのだろうか。
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あぁ、早くしないのかな。毎日終電までの残業生活を一週間乗り越えた理由なんてこのためだ。年下の男の子とセックスするためとか、同期の男子に聞かれたらたまったものではないけれど、まぁ仕方ないだろう。
女だってたまる。女だってエッチしたい。女だって、性欲はあるのだから。
王川君は私を見つめたまま、もう一度口を閉じた。何かを言おうとして言えないかのような険しい顔。その目にある熱がやけに光って見えて、なんとなく怯えてるのかなと思った。今更怯えられても困ってしまう。沢山食っては食われてきた仲なのに。
彼を見つめながら、はぁと一つため息を吐き捨てた。君、ずっとこのままでいるつもり?私のため息の音に、王川君はピクリと肩を揺らした。
「王川君、何か言いたいことあるなら言って?エッチしたくないとか?」
「ち、ちがうよ…したい!」
じゃあなんなんだ。王川君は顔を真っ赤にした。太ももの上で握った手に力が入る。ふるふると震えてるその手は一体、何を握っているのやら。勇気か、恐怖か、性欲か。我慢でもしてるのか、だとしたらその我慢は今すぐに取り払って私とセックスをしよう。
もういい加減にしてくれと、もう一度ため息を吐き捨てて彼の肩に手を伸ばした時だった。
王川君が、ガバッと顔を上げた。鍛え上げられた筋肉質な体を見せびらかして、キスしかしてないのにたってる乳首も隠さずに、ボクサーパンツのシミさえ気にせずに彼は続ける。
静かな部屋、王川君が前のめりになったせいでベッドはぎしりと、また一つ音を立て、そして息を吸う音が耳に届いた。
「お尻の穴に興味があります!!!」
聞こえた言葉が、あまりにも予想外の言葉すぎて、口をあんぐりと開けてしまった。真っ赤な顔に真っ赤な耳、肩は震えて唇も震えて。勇気を出してくれたところ大変申し訳ないが、お尻の穴に興味があると言われて一体どうしろと。王川君のお尻を調教しろって事か。
一年前、このベッドの上で裸になった彼に泣かれた時並の衝撃だ。王子様だなんだと社内で言われてる人間が、実は童貞だったと知った時のあの衝撃なんて、お尻の穴に興味がありますと言われるよりも驚愕だった。
童貞なの?彼女もいた事ないの?それなのに、私に声掛ける?たしかに歳上で、営業課の彼と研究課の私とじゃ接点もないし一度のワンナイトラブぐらいなら付き合ってやってもいいかと思ったのに、気づけば彼は恋人になり、週末セックスの繰り返し。
特段美人でもなんでもない私に訪れた王子様のような見た目の彼との恋をしている方が、ありえないことなのかもしれない。
一瞬、いや、一分ぐらい固まったまま、私は思考を巡らせた。お尻の穴に興味があります、その言葉の今の私のこの恋人の存在や恋愛は天秤にかけるとどっちが珍しいことなのか?と。同期のあのイヤミったらしい男の顔が現れて、こう言った。「お前がウチの王子の彼女とか、冗談だろ?」よし、私の方が軍配があがったな。
じゃあいっか。お尻の穴ぐらい珍しい事ではないかもしれない。それなら調教してもいいだろう。
王川君は私を見つめたままだった。期待に満ちたその目。なんと返事をしたらいいのか迷ってしまうが仕方ない。ここは年上らしく、オッケーだと言ってやろう。
「……いいよ、でも準備とかあるし今度でいい?」
「………っうん!!!」
そんな嬉しそうに頷かれても困るなぁ~私に何を期待してるんだ。キラキラと輝く笑顔で私の手を握った王川君は、そのまま私に抱きついて押し倒した。キスをして、リップ音を立てながら首筋に、そして胸元、腰へと下がる顔を見下ろした後、天井を見上げる。
男のお尻の穴なんて、どうやって調教したらいいのだろう。こんなどうでも良い悩みを抱える私の事なんて気にもせずに、王川君は私の体へキスを続けた。
吸い付かれた肌にちくりと痛みが伴う。キスマークを付けたがるその癖は流石歳下だと可愛がってやりたい気持ちもあるが、見える場所に付けようとする所は是非やめてほしい。
二の腕を持ち上げて噛み付いて、腰をぐりぐりと押し付けて来るその素振り。太ももに当たった彼の硬いあそこが、早く挿れたいと言っている。
「ちせ先輩…ちせ先輩…っ、好き、好き…」
耳元で囁く声にも熱がこもっている。うわ言のように名前を呟かれると、膣の奥がキュッと締め付けられて仕方ない。触られていないのに濡れてると理解できる程、一年のセックスの特訓かなんなのか、彼の声だけで十分に濡れるほど私の身体は王川君を受け入れるようになってしまった。
育てたはずが育てられたのかもしれない。それはそれで面白いし、彼とのセックスは気持ちいいので思考を停止しよう。
「ん…っ…」
「ちせ先輩…っ……キス、しよ……?」
蕩けてる顔でそんな風に言われたら、もうどうしようもない。私の顔を見下ろして、顔の横についた手が頬を優しく撫でた。髪の毛を耳にかけながら、近づく顔。王川君の頬は真っ赤で、社内で黄色い声を浴びている顔とは思えないほど、年相応の可愛らしい表情を浮かべていた。
いつものあの顔はどうしたの。王川君が本気で私を好きなんだと勘違いしそうになるぐらい、その顔が好きだった。きっといつかアラサーのこの私なんて捨てるだろうに、それでもまぁいいかと思うぐらい、私はどこかで覚悟を決めていたのだ。
「ぅ…ん…っ」
「っ…は…ぁ…んん…せんぱ…っ…」
王川君は、キスが好きだ。私の唇を覆って、舌を伸ばしてくるそのだらしない顔を、よくもまあ見せつけてくれるものだと思う。彼のそんな顔を見ることができるのは、私だけ。そう思ったら、社内の若い女の子達に非常に申し訳ないけれど、少しの優越感だって持ってしまうもので。
「ん…っ、先輩…っ触って……?」
王川君の硬いあそこが、パンツを下ろすことであらわになった。大きくて、太くて、ながくて。これをずっと使う事なくいた事実に驚きさえした一年前のあの日、調教だか育成だかのお陰が彼は随分とセックスが大好きな大型犬へと成長した。いや、最早狼か。それか万年発情期の兎だ。
太腿に擦り付けられる彼のそれは、鼓動を脈打っている。ドクンドクンと動いてる裏筋がピクリと動いて、先端から溢れてる我慢汁の滑りで、彼の腰の動きが大きくなった。
「触ってあげるから、止まって?」
「ん…んっ、先輩…」
こんな甘えた顔で、甘い声で、私の耳を甘噛みする彼は、その大きい身体で私を押しつぶす気なのだろうか。身体全身で愛を表現してくれるのはありがたいけれど、少しぐらい落ち着いて欲しい。
髪の毛をそっと撫でてあげながら、手を下へ伸ばす。彼の硬くて大きいそれが、私の手に触れた瞬間また揺れた。
触るだけでこんなにびくつくのだから、確かにお尻の穴に興味を持つのもおかしくないかもしれない。挿入するときはガツガツと奥に突いてくるタイプの子だけど、元来童貞っぽい反応は抜け切れていないから。そうか、もっとちゃんと色んな意味で気持ちよくなりたいのかもしれないな。
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「ぅ……っは、ゃばい…っ…」
「イク……?」
「ん……出ちゃう……っ」
一回抜いておかないと。彼は絶倫だから、いれる前に出させないと私の腰がもたない。明日は休みだから確実に、彼の満足する十分な回数を終える頃には、私の体なんてボロボロだろう。
イク寸前、彼のそこが大きく揺れて熱くなった。私の手のひらの中へ吐精して、溢れてきたその白濁液を優しく包んであげる。生臭くて男臭くて、粘りつくそれは気持ち悪いのに、あの王子様がこんなにだらしなく呼吸を荒くして、私の手コキで射精してる姿を見ると、ぞくりと鳥肌が粟立つのも仕方ない。
あぁ、可愛い。まだ肩が震えてる。何回だって見てるのに、射精するたびに恥ずかしがる顔が可愛くて。このままこの子が私をずっと好きでいてくれたらいいのにと、願わざるを得ないのだ。
「……気持ちよかった?」
私の胸に顔を埋めて、王川君は首を縦に振った。熱い身体、汗でペタついた背中に腕を回して、トントンと優しく叩く。華奢に見せて実は隠れマッチョの鍛え抜かれた筋肉は、激しいセックスが好きな私にとって好みの身体で。あぁ早く、この体に抱かれたいと思いながら、手の中にある精液を舐め取った。
味は苦い。美味しいとは到底思わない。
それでも、私の顔を見上げて、胸の中で生唾をごくりと飲み込んでるその顔は、甘くて美味しくて仕方ないのだ。
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