131 / 146
第三章 怪奇、幽霊学習塾! 退魔剣客ふたたび
第50話 “指姦"
しおりを挟む「お願い……もう……やめて頂戴……」
洞窟の天井から伸びる触手に両手を吊るされ、とある女に取り憑いた化け物から“指姦"を受け続けている久美子は哀願した。奥二重の大きな目から涙がつたうが、悲しいわけではない。黒い下着姿を晒しながら、身体は喜んでいた。
「ああ……いい……気持ちいいわ……」
彼女の、そのセリフこそが証拠である。今、化け物の指先は久美子の美しい腋の下に当てられている。先端の爪が光った。
「ああっ……はぁっ……」
久美子は喘いだ。時々発する声は高音で澄んでいるが、今は、さらに高い。人外がもたらす快楽に身を委ねていた。
「わかったか?これが“神"の力なり……」
美しい久美子を指先一本で犯す目の前の化け物は、口だけがある“のっぺらぼう"だ。自身を神と称するが、そう呼ぶのは首払村の住人だけである。
「化け物……」
久美子は言った。
「まだ、わからぬようだな……」
言うと化け物の指先が半透明化した。神の逆鱗に触れたのだ。
「なにを……する気……?」
久美子は訊いた。身動きがとれず、抵抗は出来ない。恐怖と興味、どちらが勝っているのか?自分が、こんなにも淫乱だったことを今更、知ったのである。
「やめて……そこは、“そこ"だけは嫌……」
半透明化したままの化け物の指先は黒いパンティに向けられた。だから久美子は泣いて許しを乞うた。まだ、男根を受け入れたことがない部分である。
「神の真価、とくと見よ……」
化け物は、そう言った。次の瞬間、驚くべきことに、半透明化した指先がパンティを通り抜け久美子の下腹に突き刺さったのである。
「は……はあああっ……んあああああっ……」
それは、神がもたらす“絶頂"だった。女性器をかきまわされるような、その快感に久美子は狂った。
「い、いい……いいッ……気持ちいいわ……」
美しい口元から熱い吐息と率直な感想が出た。化け物は、“そこ"に指を当て続けた。
「あ、ああ……こんなの初めてよ……いく……いくッ…………」
久美子の性器は絶え間なく熱い愛液を分泌していた。既に人間の男などでは満足できない身体になっているのかもしれない。相手は“神"なのだ。
「あっ……あっ……ひあっ……ああっ……」
これまで自慰の快楽しか知らなかった彼女は、受動的な性の喜びを知り、そして……
「ひぃあああああああああっ……」
力尽き、叫んだ。久美子は失禁したのである。
「いや、いや……」
触手に拘束されている彼女は首を振ることしか出来なかった。
「見ないで……見ないで頂戴……」
恥辱も相まって久美子は顔を赤らめた。美しい自分が快楽に耐えられなかったのだ。漏らした小便が黒いパンティから溢れ、地面に落ちる。
だが、神の“責め"は、まだ止まない。化け物が突き刺した指は、久美子の下腹の中で更に輝きが増した。とてつもないエクスタシーに襲われた。
「やめて……やめてえぇッ……!」
久美子は、黒いブラジャーに覆われた豊満な胸を揺らしながら泣き叫んだ。
「やめてほしいのか?」
化け物は言った。それは無慈悲な台詞である。
「やめないで……やめてはいやッ……!」
久美子は屈した。この快楽、鉄の精神力すらも溶かしつくす。
「ああっ、愛液が……あふれる愛液が、止まらないのよ……」
おかしなことを言い始めた。異常な熱と粘度を持つ愛液が、小便にまみれたパンティを更に濡らす。
「“妻"になれ……」
化け物は言った。
「妻?」
久美子は訊いた。
「そうだ。我の妻になれ……この快楽、毎日のように、くれてやろう」
「本当、本当なの……?」
「おまえは、“神"の妻になるのだ」
「黙れッ……!」
拒絶する久美子。彼女は、まだ、死んではいなかったのだ。
「この身は今、汚された。だが、心までは犯されぬッ……!」
その言葉を聞き、化け物は笑った。
「良い女だ。ますます、欲しくなったぞ」
と言って、久美子の“子宮"を掴んだ。
「なにを、した?」
久美子は訊いた。“なにか"を植え付けられたことを知った。
「神の力の、たかが一端なり……」
そのまま化け物は、“そこ"を捻った。
「あああああっ……!」
またも久美子は、快楽に襲われた。溢れ立つ性器からの分泌が止まらない。ものすごい量の愛液がパンティの隙間から白い太腿をつたう。
「それをくれてやろう。おまえは、この世界での、我が妻なり……」
化け物は言った。一体、何があるというのか?
「ああっ……頂戴……もっと、もっと、頂戴……」
貪欲に性感を求める久美子。彼女は人間の男よりも先に、神の快楽を、その身体に知った。
ベッドの上で目が覚めた。閉めたカーテンの外に光はない。まだ夜明け前である。“あの夢"を見たのだ。昨年の夏、首払村にて人外の快楽にひたったときの、あの夢を……
裸の久美子は半身を起こした。一糸もまとわぬ姿で寝るのが彼女の習慣である。美しい柔肌が冷たい空気に晒されるが、不思議なほどに寒さを感じない。むしろ、火照っていた。
「濡れているわ……」
指先で性器を確認し、久美子はひとりごとを呟いた。化け物の“指姦"を受ける夢を見ると、いつもこうなる。人外の快楽は、彼女の身体に消えない喜びの爪痕を残したのだ。
あのとき、化け物は、自分に“なにか"を植え付けた。その記憶はある。
(化け物の子を、身籠ったか……)
久美子は考えた。それもまた、可能性があることだった。世界的に見ても、そういった例は少なくない。ここ鹿児島でも、十三歳の少女が処女のまま人外の子を宿した事件があった。
“痛い、痛いよ……お母さん、助けて……"
産婦人科で、その少女は泣きながら激痛に耐え、親の名を呼びながら、いきんだという。男と交わったこともないのに“妊娠"した彼女は、ピンク色のあどけない性器から、自分の身体よりも大きな四足歩行型の化け物を産み落としたのである。
出産直後、分娩室に退魔士たちが乗りこんだ。人ではない“なにか"を宿したことを検査で知った医者が、退魔連合会に連絡をしていたのである。彼らの手により、生まれたばかりの化け物は即座に殺された。そして、“母親となったばかりの"少女は、血まみれの下半身を晒したまま、こと切れていた。“我が子"の不気味な姿を見ずに死んだことが、唯一の幸いだったのかもしれない。その化け物は巨大なカメレオンのようだったという。
久美子は自分の腹のあたりをさすってみた。膨らんでいるということはないので、今のところは安心だ。彼女も、件の少女同様に処女である。その女神の如き身体、男性の挿入を許したことはなく、美しい唇は、男根を味わったこともない。退魔士となり、恋もせずに生きてきた久美子には、ペッティングの経験すらない。ただ、自慰と人外の快楽のみを知っている。
(ああ……)
久美子は嘆いた。こんなときに快感がほしくなったのだ。あの夢を見たあとは、こうなってしまう。
(“恋人"……)
彼女はベッドの下から、そう呼ぶ物を出した。忘れられない人外の快楽に近づきたいがために、市内のアダルトショップで買った“道具"である。スイッチを入れると、駆動音が鳴った。
(恋人よ……私を、慰めて……)
久美子は、いやらしく動いている“道具"を、濡れる花芯に当てた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
50
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる