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二章 ハミヤ
47-4 はしるしかないのなら
しおりを挟む「ハミヤ、先週のパンジーレースはご苦労だったな」
タケルがハミヤを労う
「ああ、向きになっちまったな。まあ、ボチボチだろ」
「お前としては上出来だ」
たんたん
足音鳴らしながら、ハミヤの馬房の前に調教師Hが付けた
口を真一文字に結ぶ、ハミヤ
「くそ」
眼力漲るハミヤにHが向かい、続ける
「いいか、ハミヤ。俺たちは3歳馬限定の暮れのH1不死鳥杯を目指す。このレースを好走できれば来年の虎杯や熊杯の勝利が現実味を帯びてくる。いいな。しかし」
「なんだよ」
「賞金が足りん。タケル、説明してやれ」
「はい」
タケルがハミヤの左頸溝に触れる
「いいかハミヤ。賞金には、実際に馬主や調教師に厩務員、騎手が獲得できる本賞金と、それとは別に習得賞金がある。習得賞金は馬が出走できるクラスを決定するために加算される賞金なんだ。金銭のやり取りはない。この収得賞金、ハミヤは1勝だから400万なんだ。これは決まってる。新馬、未勝利の勝ち馬には400万。このままではフルゲートになった場合、不死鳥杯には出走できないかもしれない。不死鳥杯はH1で最高峰のレースだからな」
「ふん。どうすれば収得賞金が稼げるんだ」
「レースに勝つんだ。または翔賞、H3、H2、H1。この格の高いレースでは2着まで収得賞金が獲得できるんだ。ハミヤの前走はH3パンジーレースで4着だっただろ。これが2着までだったら収得賞金が獲得できたから、うん、ほぼ確実にH1不死鳥杯にも出走できただろう」
チッ、ハミヤの舌打ちが聞こえたような気がした
「はいよ、残念だったね、ブルル」
「まあ、結構大事なんだよ。これ。熊杯とか、それ以外にも今後の有力レースの出走にも関わってくる。熊杯には18頭しか出走できない」
タケルが憂慮な面に微笑を醸した
ハミヤが少し間をおいて、口を緩める
「おい、タケル。そのもう一個、本賞金ってのはどうなってる」
「本賞金は実際のお金だよ。H1熊杯なら1着は3億。馬主に80%。調教師10%。厩務員5%。騎手5%」
「3億!だと!俺は俺の配分はどうなってる!」
「馬は・・・人参、特盛とか、、」
クソッ!
俺は
何のタメに走るのか
「ハミヤ、不死鳥杯前に一度出走するぞ。2033年11月26日土、シクラメンステイクスだ。収得賞金を加算するぞ。本賞金3,800万パーマー。勝てば本賞金の半額の1,900万が収得賞金として加算される。熊杯の出走も見えてくるぞ」
「へいへいはあ。走りゃいいんだろ」
馬息に空気が濁った
お前たちのために・・
パーマーをかせぐ
ごめんな。
タケルが笑顔でハミヤに語る
「ハミヤ、今年の熊杯馬はママだ。雌馬が制した。すごいことなんだぞ。ライバルにはパパやガキがいて、来週の4冠レースの3戦目竜杯にはパパとガキの一騎打ちと目されている」
「ママは」
「ママは疲れちゃったみたいで、ちょっと休んでる」
「大変なんだなママも」
「激走だったからな。すごかったな。感動を生む走り」
感動を生む走り?
祝福と喝采、栄光、お前の幸福はどこだ
人間が好きか、嫌いか、大嫌いか
「それから、古馬では・・フリクリとアゲハとマンマ」
そんなのどうでもいいだろ
「強敵がたくさん。雌馬では、、」
知らねえよ、そんなこと
ライバルなんて、いねえよ。
勝手に、、
敵つくんな
「そうそう、今日の4歳雌馬三冠の3冠目麒麟杯はアカツチが勝った。栗鼠杯のオレンジ、熊猫杯のガンドクと麒麟杯のアカツチ。3冠を分け合った」
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「えっ、ハミヤ・・」
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