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7 魔力増加の犯人

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 「このままだとダンジョンから魔物が溢れるってこと?」


 眉を下げたまま白髪に白髭の小隊長は頷いた。


 「こんなの初めてでして」

 「そうなんだ・・・ 属性は土で間違いないの?」

 「ええ。ですから水や火魔法の使える奴を揃えた部隊を編成したんですが周りに生まれてる反応が小さいんで溢れかえるスタンピード程じゃないんですがなんせ数が多いんですよ」


 困り顔になる小隊長。


 「しかもヌシベヒモスのサイズが徐々に大きくなってるらしいんです。今斥候がダンジョンに潜って視認してるはずです」


 隊長の言葉と同時に洞窟から斥候役の兵が3人飛び出してきた。


 「隊長っ! 大変ですッ マジでベヒモスでしたッ! 周りに魔石が勝手に生まれてそれを喰ってベヒモスがドンドン成長してます」

 「「「?」」」

 「つまり、小さい魔物がいるんじゃなくて魔石? をベヒモスが食べて大きくなってるって事?」

 「そうですッ、あのまま放っとくとダンジョン自体が崩れて崩落します」

 「まー、枯れダンジョンだがな」

 「ベヒモスも生き埋めになるんじゃない?」


 ソフィアが言うと


 「「「「土の魔物ですから生き埋めはありませんッ!」」」」


 全員に怒られた。解せぬ・・・ あ! そうだった平気だった。

 馴染む魔力要素だから平気で這い出てくるわw


 ――ソフィアは優秀なはずだが、偶に抜けてる令嬢である。


 
 「でも、何だって魔石が勝手に生まれて来るんだよ? 周りに魔獣や魔物がいるわけじゃないだろう?」


 アジェスの疑問に全員が首を傾げる中でソフィアが


 「あー、土の中で死んだ小さい魔物や魔獣の魔石をソイツが取り出してる可能性があるかも」

 「「「「は?」」」」

 「最新の研究結果でそういう文献があったのよね。化石化した魔石は結晶の純度が高くなるらしいのよ。魔物は消えても魔石は残るでしょ? 廃棄ダンジョンの中で人知れず魔物が死んで魔石だけが残って土の中で化石になってたり?」

 「ベヒモスはどっから?」

 「さあ? アレは魔獣じゃなくて魔物だから生まれる条件は解明されて無いわねえ」


 魔獣は普通の獣が魔素と呼ばれる大気中に含まれる魔力の源が蓄積して発散できないせいで魔獣になる。

 人は魔法という形で発散する事ができるため魔獣にはならないらしい。

 但し、魔法を使えない人々は確実に存在するのだが其れは庶民階級に多く身体に溜まった魔素を発散できない者は魔力酔いと呼ばれる命に関わる症状を起こすが、この世界では教会や治癒院でタダで治療して貰える。

 治癒院は魔法の使える階級である貴族のノブレス・オブリージュ、つまり無料奉仕で成り立っており、平民でも王立学園の卒業生は全員従事する事が義務化されており違反者は厳しい罰則を設けられている。


 『人類皆助け合い』


 ソフィアの転生先は存外優しい世界であった。

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