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ただただ爛れ蜜に溺れ
しおりを挟むゆっくりと唇が離れた。
朽木は両腕でしっかり岩館の身体に抱き着いた。
「それは今、おれの腕の中にあるけど、売り物じゃないし、腕の中にあってもおれのものじゃない」
「…本当にお前は…何度もおれと言って、お仕置きをされたいのか…口づけて欲しいのか」
朽木はこくんと頷いた。
「おれって言ったらまた口づけてくれるの?そしたらおれずっと言うよ…おれ、おれ…おれ」
朽木がおれと言った回数よりもずっと多く岩館の唇が触れて、朽木の中へと入り舌を舐め口を探った。腕を回していられないほど身体中の力が抜ける。苦し気な朽木の背を優しくさすり、抱き上げて岩館は更に奥の部屋へと向かった。
暗い中に鬼灯のような燈火がぽつりとある。
硬い岩床ではなく、やわらかな褥に寝かされ包むように撫でられながら、口づけが繰り返された。
「…朽木、俺はお前に好いてもらう資格のないひどいやつだ。お前が俺を慕わしく想うのは刷り込みのようなものだ。俺がそう仕向けたからだ。俺はもう何度もお前を奪っているんだぞ」
額に瞼に、鼻先に、頬に唇が落とされて、その間に結ばれた帯は解かれ、肌が触れあっていた。
敷布団のように岩館の重い身体の下に敷かれて、足も割られて閉じる事ができない。
「いわだての、言ってることがわからないよ…」
「朽木は俺に抱かれた夢を見たことがないか…?」
朽木の白い小さな耳たぶを噛んで、唇が首筋を滑っていき、そのまま胸の淡桃色の乳首を食んだ。小さな粒を唇と舌で愛撫し、別の指が足の間へ滑り入口に飾られた花芯の粒を撫でた。
岩館の指をとろりと濡らす蜜が溢れる。
「ここに俺が挿る夢を見たことがないか?」
朽木は赤面し、返事もできず、身体の奥を閉めようとした。足が開いていて上手くできずに雫がもれて岩館の指が音をたてた。朽木のくちびるをやわくたたいたように、足の間の唇をぴちゃぴちゃと鳴らす。
「…っひぁ…ぁいわだて」
つぷりと指が沈み込む。
「夢を見ただろう?こうしてお前の中になにかが挿ってきていただろう?」
朽木はうん、と短く答えた。
夢というにはあまりにも生々しく、身体の中に硬いものが入ってきて、中をかきまわして、息が出来なくなって、怖くて泣いて助けてと岩館を呼んだ。夢中で縋りついて、あやされてまた眠りに落ちていた、あの夢。
恥ずかしくて、誰にも言えずにいた。あれが夢ではなかったと思うと朽木の頬は染まり、身体はただ羞恥に震えた。自分ひとりの妄想ではなかったと思うと、自然と足の間がぬるむ。
「俺はお前が番に捧げるはずの大事なものも奪っているんだぞ?朽木わかっているのか」
「うばってないよ、岩館は全部もっていっていいの。おれは全部岩館のものだから」
暗がりの中で岩館が微笑んだような気がした。朽木が勝手にそう思っただけかもしれなかった。だが熱い塊が待ちきれぬというように押し当てられ、良いかと囁かれた。お前を全部もらってもいいかと。
朽木が嫌と言うはずがない。
下になり上になり、朽木は何度も溶けた。
わたしのここを岩館の…でついてと言った、言わされた。岩館で満たしてと哀願した。おれと言う口もわたしという唇も全て俺のものだと岩館が全てを満たして朽木の身体を抱きしめた。
二人が口を離しても、とちゅ、とちゅっと密やかな音が聞こえる。二人の繋がった身体の奥で岩館の硬い切っ先が朽木の蜜の壺の奥を優しく突く音だった。岩館の雄は硬いままで、息も絶えだえの朽木を突いて揺らす。
朽木はたまらずに顔を伏せた。見つめて欲しかったのに目が合うと息ができない。逞しい肩に厚い胸に顔を埋めて不安になって見上げると情欲に煙る瞳で朽木は見つめられていた。それなのに。岩館は朽木の理解できぬことを言う。
「いい子だ朽木。俺の可愛い朽木。定められた番に大人しく抱かれてくれるか?そのあとにこうして俺の所へ来てくれ。そうすれば全部かきだしてやる。お前の中を俺でいっぱいに満たしてやる…できるな?」
返事をする前に善い所を突かれて甘い悲鳴をあげる。
荒く乱れた息とあ、あと善がる声が暗い中に響く。
そして二人のものではない声が、冷たくその場を切り裂いた。
「なにをしている」
その声に乾いた笑い声で応えたのは岩館だった。
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