ツイノベ置き場

志麻友紀

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「世界最強のSub」

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 健太は世界最強のSubだ。オリンピック2連覇のあとにプロ総合格闘技に転向。そこでも世界大会のベルトを総なめ、誰にもその座をゆずることなく偉業の20連覇を成し遂げた。 そんな彼にも悩みがあった。 

「俺を従えてくれるDomはどこにいるんだ」

 仕方がない。長年鍛えた身体は小山のごとく筋肉隆々。さながらヘラクレスかオリオンの彫像のごとく。その眼光も鋭く、まさしく人を殺しそうなひとにらみで、どんなDomも怯えて「失礼しました~」と逃げてしまうのだ。

「今日もダメだった」

 逃げて行く彼らの姿をみながら健太はがくりと肩をおとし。

 百キロのバベルをひょいと片手で持ち上げたのだった。なんとぶんぶんとそのままバトンのようにくるくる回しながら思う。
 健太は根っからのSubだった。苦しい鍛錬もまた快感と鍛えれば鍛えるほど筋肉隆々。

 いつか自分を従えてくれるものはいないか?とその飢えを満たすがごとく鍛えれば鍛えるほど、その身体は小山のごとく、その眼光はするどくの悪循環……に本人は気付いていなかった。

「今日もエリザベスちゃん達に癒してもらおう」

 エリザベスちゃんとは健太の部屋にあるふわふわの手触りのぬいぐるみ達

 ふわふわなのが好きというギャップがまたいいと、ファン達が贈ってくれたものだ。今日も健太特注のふわふわピンクのしましまパジャマ(特注じゃ亡きゃこんなのない)。それからふわふわぬいぐるみ達とふわふわベッドに包まれて、己が理想のSubに庇護され包まれている夢をみながら寝るのだった。

 そして、今日は四年に一度の某合衆国大統領との“謁見”だ。そう世界最強の男に大統領が挨拶しなければならないのは伝統となっていた。なんだ?某有名漫画のぱくり……うわっ!  なにするやめろ!  

 健太がロイヤルスイートの長椅子(じゃないと一人がけは無理だ)にどっしり腰掛けてまっていると、例の大統領がはいってきた。なにやら二十代の最年少で大統領になったとかいう触れ込みの、顔だけはやたらよい……。

「やあ、健太。ロバートだよ」

 金髪の大統領はニッコリわらった瞬間、その白い歯がキラリと輝いたような気がした。アメリカンらしいフレンドリーな態度などどうでもいい、健太の身体は雷に撃たれたかのように固まった。

「あ、あ、あ、お前……いや、あんたは……」
「ロバートと呼びなさい。健太」
「……ロバート」

 健太は素直にそう口にしていた。いつもの人を射殺すような眼光は消えて、ロバートを見る瞳はとろりとしている。

「おいで」
「はい」

 そして一人がけのソファーに足を組んで座ったロバートの足下にぺたりと座りこんだ。潤む瞳で彼をみあげる。

「どうしてほしい?」
「あ、命じてください。『お手』って」
「私に内容まで指示するのかい?ワガママな子だ」
「あ、ごめんなさい」
「いいよ、お手」
「はいっ!」

 ロバートの白く爪先まで整えられた綺麗な手に、健太のゴツゴツとした手がそっとおかれる。普通においたらロバートの手の骨など粉々にしてしまうだろう。

「いい子だねぇ」

 そうロバートはいい、お手をされた手をはずして健太の短く刈られた髪をなでる。健太はうっとりとした。

 20連覇を成し遂げた日焼けした健太の顔の目尻にはかすかな皺が、短くかられた髪にも白いものが交じりはじめている。ロバートの白い手はその頭を本当に愛おしいとなで、それから目尻も親指でそっとなぞる。

「幼い頃、オリンピックで金メダルをとった君を見てね。これこそ私の運命のSubだと直感したよ。そして私は決意したんだ。世界で一番の君のために、世界で一番のDomになると」
「俺のために……世界で一番……」

 健太は感激に胸が震えた。

 ロバートは「大統領になったのもついでのようなものだよ」という。大統領がついで……たしかに一目で健太を跪かせたこのカリスマならば超大国のトップの椅子だって取れる。

「さあ、健太。次はどうしてほしい?」
「あ、“おかわり”を命じてください」
「よくばりだね~私の可愛いワンちゃん」

 その後も調子にのった健太は、世界40連覇という誰にも成し遂げられない偉業を達成した。
 優勝セレモニーのあと、元大統領にして名誉大統領なんて称号をあたえられたロバートの、足下にぺたりと座りこんで頭を撫でられて嬉しそうにしている健太に、ファンはよかったね~と涙したという。


────────────


 私絶対、Dom/Sub誤解してると思うw
 とにかく【END】
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