異世界探検物語

あつし

文字の大きさ
上 下
2 / 2
豆の世界

豆って最近食べてないな

しおりを挟む
自分たちが来たところは村。誰がどう見ても村って言うだろう。第一声をあげてみる。
「ここは?」
「村だな。」
「村っすね。」
やっぱりな。心の中で少し嬉しさを感じていると、神様63号の声が聞こえた。
「ようこそ異世界へ。とりあえずそこの家を訪ねてくれ。家の人に話をつけてるから。君たちを泊めてくれることになったぞ。」
それはありがたい。泊まる場所探しから始まると思ってたからな。
「よし。じゃんけんだ!」
負けた。悔しい。やりたくない。だが決まったことだ。勇気を出してドアをノックする。
「は~い。」
まさかの女性の声だ。自分は女性に慣れてないから緊張してきた。そして出てきたのは青髪の美人だ。鈴木の好きなタイプの人だ。
「あ、あの~。」
「あ!異世界から来た人たちね。中に入って。」
よかった。神様がちゃんと話をつけてくれたんだな。
「じゃあ、お邪魔します。」
残りの2人も挨拶して中に入った。ちょうどおなかが空いてきたから嬉しい。
「みなさんのためにご飯を用意したの。食べながらお話でもしましょう。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
まさかご飯をたべられるなんて。ちょうどおなかが空いてきたから嬉しい。女性は食事の準備を始めた。
「いやー、こんなことがあるんだな。異世界に行って感想を書くだけでお金がもらえるなんて。しかも飯も寝る場所もある。」
鈴木の言う通りだ。こんなバイトができるなんて奇跡だもんな。
「でも僕、感想書くの苦手なんっすよね。」
自分もそうだ。読書感想文に5時間かかってしまったこともあった。それがこのバイトの唯一の嫌なことだな。期待と不安をそれぞれぶちまけていると、女性が話しかけた。
「そういえば自己紹介してなかったわよね。私はミナ。よろしくね。」
自分たちも自己紹介をした。そして、女性は食事をもってきた。
「できたわよ。さあ、食べましょう。」
「はい。いただきます!」
3人声を揃えて言った。しかし、誰も食べ始めない。そりゃそうだ。本来米がある場所に緑色の豆がある。空気の読みあいをして、ジョージが質問した。
「すいません…。なんでお米じゃなくて豆なんっすか?」
「ん?お米ってなぁに?」
ミナさんはお米を知らない?まあ異世界だから米がないのも不思議ではないだろう。
「そういえば、あなたたちは『まあまあ発展の世界』から来たのよね?」
「まあまあ発展の世界!?」
鈴木が声を荒げて言った。どうやら自分たちの世界は『まあまあ発展の世界』らしい。もっとマシな名前はないのか。
「で、私の世界は『豆の世界』っていうらしいわ。」
『豆の世界』か。この異世界は米が豆になっている。米は好きだから残念だ。それからは異世界交流が始まった。
「へ~。あなたたちの世界にはお米っていうものがあるのね。」
「小麦はあるんですか?」
「それもないわね。」
まさかの小麦も無かった。それじゃあパンも食べられないではないか。自分は米と小麦というものをできるだけ分かりやすく説明した。
「おもしろいわね。あなたたちの世界のこともっと教えて。」
食事をしながら異世界交流が続く。『豆の世界』のことがだんだん分かってきた。まず、米と小麦がない。その代わりに豆を食べているみたいだ。それ以外は変わったところはなく、食事のメニューは豆とスープとサラダ、そして唐揚げ。あと、自分たちの世界よりも発展はしていない。自分たちの世界は『まあまあ発展の世界』だからな。ということはもっと発展している世界があるってことだよな。異世界交流はまだまだ続く。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

魔法使いの約束

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:10

巻き込まれたんだけど、お呼びでない?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,705pt お気に入り:1,986

皇弟殿下お断り!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:500

神の手違いで呪われた人生を歩んだ俺は異世界でのんびり召喚士人生を歩む

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:2

自宅が全焼して女神様と同居する事になりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:91

処理中です...