ブラコン姉妹は、天使だろうか?【ブラてん】

三城 谷

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ブラコン姉妹は、天使だろうか?(4)

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 「あ~に~じゃ~……むにゃむにゃ」

 二段ベッドの下から、そんな寝言が聞こえてくる。時刻は午前五時半の朝、まだ昇ったばかりの朝日に照らされて、私、神楽坂美咲は目を覚ます。

 「またお腹出して寝てる……」
 「えへへ~、兄者~♪……すやすや」

 枕を我が兄かと思わんばかりに抱き締め、美羽はそんな事を呟いている。気持ち良さそうに寝ている所を起こすのは忍びないけれど、これもあの人の役に立つ事なのだから仕方ない。

 「美羽~、朝ですよ~」
 「んん~、兄者ぁ、そんな乱暴にしたら、壊れちゃうよぉ~」
 「何を馬鹿な事を言ってるんですか?美羽……どんな夢を見てようが、現実のお兄様の方が百倍良いので起きて下さい」
 「わぁ~!なになに!?地震っ!?」

 美羽が掴んでいた枕と毛布を一気に引き抜き、ゴロゴロとベッドの上で左右に転がした。少し勢いが強過ぎて、壁に頭をぶつけてしまったが平気そうだから良しとしよう。

 「はぁ……やっと起きた」
 「あ、おはよう美咲!今日の朝ご飯は何?」
 「起きてすぐご飯の事を考えるって、どれだけご飯が好きなんですか?美羽は」
 「うーん、兄者の次の次に好きかなぁ」
 「次の次にって、その間には何が入るのよ」

 私は朝からくだらない会話をしながら、美羽の事を叩き起こす。だが叩き起こされた彼女は、それを平然と何食わぬ顔で言うのである。

 「それは勿論、美咲でしょ?何を言ってるのさ」
 「あ、ありがと?」

 思った事をそのまま言う美羽の性格は、時々ドキッとする時がある。それが今なのだが、他の人にも言っているのでは無いかと心配である。

 「――くだらない事を言ってないで、早くベッドから降りて着替えてよ。お兄様の手を煩わせるつもり?」
 「そんな事無いけど、朝のベッドは人をダメにする道具ナンバーワンだよねぇ、ぬふふ」
 「はいはい。ほら、起きる起きる」
 「はぁーい」

 あー、うー、と言いながら、洗面所の方へと歩く美羽。その背中を眺めながら、私は溜息を吐いて布団を畳む。

 『おーい、朝飯が出来たぞー』
 「は、はーい!今行きます!」

 下の階に居る兄からの呼び声に対し、多少の浮ついた声が出てしまった。だがしかし、兄はそれに気付く事はなく先に降りた美羽にちょっかいを受けていた。

 『あ、こら美羽、朝から引っ付くな。せっかくの料理を落としちまうだろうが』
 「一日一回の兄者を充電なのだぁ!諦めろぉ~!」
 『分かったから暴れるな。皿が割れたらどうするんだ!み、美咲、ヘルプ!美羽をなんとかしてくれ!』
 「バカ美羽。なんて羨ま……じゃなくて、お兄様の邪魔をしないの!」

 そんな助け舟を出したところで、収まる美羽ではない事は知っている。知っているけれど、兄からのご指名じゃやらざるを得ないのである。そう。仕方が無いのだ。だって私たちは、お兄様の事が大好きなのだから。それも一人の男の人として――。
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