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ブラコン姉妹は、天使だろうか?(8)
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「美咲~、待ってよぉ~。何をプンスカ怒ってるのさ~」
「昼休みの事を忘れたのですか?あんな姿をお兄様に見せる事になったのは、美羽の所為なんですからね?少しは反省して下さい」
「兄者がそんな事で嫌いになったりはしないと思うんだけどなぁ~」
美咲と美羽がそんな会話をしながら、中等部の校舎から高等部の校舎へと移動していた。それは兄である幸一に会う為という、極めて簡単に予想の出来る理由からの行動である。
「でも美咲、兄者が教室に居なかったらどうするの?校舎全体でも探すの?」
「美羽、あなたは可哀想な頭をしてますね。そんなんだから、成績が体育以外がギリギリなんですよ」
「うわー、成績が良いからって上から目線。出た出た、美咲の得意技」
「事実を言っているだけです。それでもし悔しいと思うなら、一つでも点数を取ってみなさいな?まぁ美羽の事だから、取れるなんて思ってませんがー」
「ぐぬぬ……あぁ言えばこう言う。フン、だ!良いもん、兄者に勉強教えてもらうからっ!」
天真爛漫な性格の美羽と、品行方正な性格の美咲はそうやって対立している。決して仲が悪い訳では無いのだが、彼女たちはこうして小さな喧嘩をしたりしている。そんなくだらない喧嘩をしている時だった。
『お前、何で新聞部やってんの?』
通り掛けた扉の向こう側から、彼女たちにとって聞き慣れた声が聞こえてきたのである。
「あ、あに……ほむっ!?」
「(静かにして。良く聞こえないから)」
「(いきなり口を塞がないでよ!?びっくりするから!)」
「(そうは言っても、何か取り込み中だもん。これはお兄様の友好関係が分かるかもじゃないですか!)」
「……」
「(な、何ですか?その目は)」
「(いやー、いつか美咲は『重い女』になりそうだなぁって思って)」
そんな事をジト目で呟いた美羽は、物音が静かになった扉の向こうに耳を澄ませる。美咲もそれに習うようにして、扉に片耳を当てて神経を尖らせる。すると――
「何で新聞部をやっているか、ですか。なかなかコアな質問をして来ますね。流石は鬼畜な先輩」
「そんなコアな質問でも無いだろ。『あいつは何であんな事をしてんだろうなぁ?』みたいなニュアンスだよ。あと、誰が鬼畜だ?誰が」
「あぁ、そういうニュアンスですか。なるほど。あと今は先輩としか話して無いので、この場合は先輩が鬼畜な変態になるかと」
「待て。何で妙なレッテルまで追加されてるんだ」
「アイデンティティを求めるのは普通かと……」
「何で俺のアイデンティティが、変態なんだよ!嫌だろ?『お前よりも俺の方が、変態性で勝っているのさ!っはっはっは』なんて奴が居たら引くだろ!」
「……どうして先輩はボクが言った言葉から、そこまでボケを忠実に実行するんですか。これがボクじゃなかったら、百パー先輩はドン引きされてますよ」
「おい待て。お前が変態と言わなければ、この話は始まっていない。俺だけが悪いみたいな発言はやめろ。お前も同罪で共犯だ」
「良いでしょう。ですが罪を被ると言っても、被るのはボクが泥で、先輩は油です」
「何故……」
「ウェルダンぐらいがちょうど良いかと」
「こんがり焼けましたぁみたいな発言はやめろ!あとお前それ、完璧に俺だけ魔女裁判に掛けられてるよな!?明らかに同罪ではなくて、俺だけ重い罪を被せられてるよなぁ!」
「………………それよりも先輩」
「スルーすんなよ!なんだその間は!」
何やら楽しげなのか、それとも言い争いなのか。そんな良く分からない声の音量と口調で聞こえてくる会話は、彼女たちの口角を自然と上げさせる。
「美咲……行こ?」
「うん、そうだね。私たちのお兄ちゃんの噂話は、全部が全部本当って訳では無いのを確認出来たし」
「そういえば今日って、美咲が夕飯当番だよね?何を作るの?」
「んー、さぁ、何でしょうね」
「どうせ兄者の好きな物にするんでしょ?知ってる知ってる」
「あ、こら、廊下は走らないの!…………もう」
突然と駆け出して、美羽は先に中等部の校舎へと向かって走る。その背中を眺めた後、少し振り返って美咲は廊下へと出て来た幸一の姿を確認する。それを見た瞬間、美咲は小さい声で嬉しそうに呟くのだった――。
「良かった。お兄ちゃんが独りじゃなくて……」
「昼休みの事を忘れたのですか?あんな姿をお兄様に見せる事になったのは、美羽の所為なんですからね?少しは反省して下さい」
「兄者がそんな事で嫌いになったりはしないと思うんだけどなぁ~」
美咲と美羽がそんな会話をしながら、中等部の校舎から高等部の校舎へと移動していた。それは兄である幸一に会う為という、極めて簡単に予想の出来る理由からの行動である。
「でも美咲、兄者が教室に居なかったらどうするの?校舎全体でも探すの?」
「美羽、あなたは可哀想な頭をしてますね。そんなんだから、成績が体育以外がギリギリなんですよ」
「うわー、成績が良いからって上から目線。出た出た、美咲の得意技」
「事実を言っているだけです。それでもし悔しいと思うなら、一つでも点数を取ってみなさいな?まぁ美羽の事だから、取れるなんて思ってませんがー」
「ぐぬぬ……あぁ言えばこう言う。フン、だ!良いもん、兄者に勉強教えてもらうからっ!」
天真爛漫な性格の美羽と、品行方正な性格の美咲はそうやって対立している。決して仲が悪い訳では無いのだが、彼女たちはこうして小さな喧嘩をしたりしている。そんなくだらない喧嘩をしている時だった。
『お前、何で新聞部やってんの?』
通り掛けた扉の向こう側から、彼女たちにとって聞き慣れた声が聞こえてきたのである。
「あ、あに……ほむっ!?」
「(静かにして。良く聞こえないから)」
「(いきなり口を塞がないでよ!?びっくりするから!)」
「(そうは言っても、何か取り込み中だもん。これはお兄様の友好関係が分かるかもじゃないですか!)」
「……」
「(な、何ですか?その目は)」
「(いやー、いつか美咲は『重い女』になりそうだなぁって思って)」
そんな事をジト目で呟いた美羽は、物音が静かになった扉の向こうに耳を澄ませる。美咲もそれに習うようにして、扉に片耳を当てて神経を尖らせる。すると――
「何で新聞部をやっているか、ですか。なかなかコアな質問をして来ますね。流石は鬼畜な先輩」
「そんなコアな質問でも無いだろ。『あいつは何であんな事をしてんだろうなぁ?』みたいなニュアンスだよ。あと、誰が鬼畜だ?誰が」
「あぁ、そういうニュアンスですか。なるほど。あと今は先輩としか話して無いので、この場合は先輩が鬼畜な変態になるかと」
「待て。何で妙なレッテルまで追加されてるんだ」
「アイデンティティを求めるのは普通かと……」
「何で俺のアイデンティティが、変態なんだよ!嫌だろ?『お前よりも俺の方が、変態性で勝っているのさ!っはっはっは』なんて奴が居たら引くだろ!」
「……どうして先輩はボクが言った言葉から、そこまでボケを忠実に実行するんですか。これがボクじゃなかったら、百パー先輩はドン引きされてますよ」
「おい待て。お前が変態と言わなければ、この話は始まっていない。俺だけが悪いみたいな発言はやめろ。お前も同罪で共犯だ」
「良いでしょう。ですが罪を被ると言っても、被るのはボクが泥で、先輩は油です」
「何故……」
「ウェルダンぐらいがちょうど良いかと」
「こんがり焼けましたぁみたいな発言はやめろ!あとお前それ、完璧に俺だけ魔女裁判に掛けられてるよな!?明らかに同罪ではなくて、俺だけ重い罪を被せられてるよなぁ!」
「………………それよりも先輩」
「スルーすんなよ!なんだその間は!」
何やら楽しげなのか、それとも言い争いなのか。そんな良く分からない声の音量と口調で聞こえてくる会話は、彼女たちの口角を自然と上げさせる。
「美咲……行こ?」
「うん、そうだね。私たちのお兄ちゃんの噂話は、全部が全部本当って訳では無いのを確認出来たし」
「そういえば今日って、美咲が夕飯当番だよね?何を作るの?」
「んー、さぁ、何でしょうね」
「どうせ兄者の好きな物にするんでしょ?知ってる知ってる」
「あ、こら、廊下は走らないの!…………もう」
突然と駆け出して、美羽は先に中等部の校舎へと向かって走る。その背中を眺めた後、少し振り返って美咲は廊下へと出て来た幸一の姿を確認する。それを見た瞬間、美咲は小さい声で嬉しそうに呟くのだった――。
「良かった。お兄ちゃんが独りじゃなくて……」
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