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野良ネコぷるる
しおりを挟むオレが人生の迷路で
ギターを弾きながら
痛い自分のことを唄ってたころ
若さのバカちからはとてつもなくて
根拠のない自信と夢と希望で
みちみちだったころ
ちょっと汚れた野良ネコの親子が
オレの住んでた
寂しいアパートの階段下に
ときどき隠れている姿を見つけて
買い物袋から取り出した
パンとミルクを
少しやったら
なつきやがって
それから毎日毎日
階段下にやって来て
待っているんだオレを
困っちまったよ
なつきやがって
あるときしのつく雨の中
いつものように階段下で
生まれて間もないオスの子猫を
抱くように寄り添っていた
母猫の具合が
ちょっと悪そうだったので
でもそのときは金がなくて貧乏で
病院なんかとても連れていけなくて
それから臨時のバイトがあって
泊りがけで三日ぶりにやっと
終わって帰ってきて
階段下をのぞいたら
ぷるぷる鳴いてる子猫の横で
ぐったりとしている母猫がいて
確かめてみるとすでに死んでいて
ずっとここで待っていたんだ
ずっとオレを待っていたんだ
ずっと苦痛に耐えていたんだ
ずっと子供を守っていたんだ
オレはゴメンねって謝った
助けてやれなくて
ゴメンねって謝った
そしてゴメンねって謝りながら
オレはアパートの庭の片隅に
穴を掘って埋めてやって
母猫のお乳を最後までしぼり飲む
生き残った小さな子猫を
手のひらに乗るほど小さな子猫を
自分の部屋まで連れてって
母猫の代わりにミルクをやって
オレは子猫の名前をぷるるとつけて
それは母猫がぷるぷる震えながら
いつも階段下で
オレを待っていたからで
それから
オレとぷるるの生活が始まって
ぷるるはとても小さくてガリガリで
声をぷるぷる震わせてオレを呼んで
おなかがすいたよ寂しいよって
身をぷるぷる震わせてオレを頼って
だけど金を稼ぐために
オレはバイトばかりで
部屋に上げた六日目に
バイトから部屋まで帰ってきたら
ぷるるは冷たくなっていて
オレが呼んでも
ぷるぷるした声を出さなくて
俺が脱ぎ捨てたシャツの上で
とても小さなぷるるがいて
オレはゴメンねって謝った
助けてやれなくて
ゴメンねって謝った
そしてゴメンねって謝りながら
オレはアパートの庭の片隅に
穴を掘って埋めてやって
母猫が埋まる隣に埋めてやって
オレが人生の迷路で
ギターを弾きながら
痛い自分のことを唄ってたころ
根拠のない自信と夢と希望で
みちみちだったころ
だけどそのとき少しだけ
若さに小さなシミができた
世の中の苦味というものを
ぷるると母猫に教えてもらった
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