海月

帰り道

あれから１ヶ月程経った。
彼女は容姿もいいし、態度もいい、友達も出来そうなのにいつも一人でいるか僕のところに来る。
「ねぇ今日一緒に帰らない？」
彼女が尋ねて来た。
「僕は構わないけど、一ノ瀬さんは他の女子とかと帰らなくていいの？友達とか沢山できそうなのに」
彼女は少し困った顔をして答えた。
「私はそうしたいの、後そこまで話す女子とかも居ないしね」
と、微笑んでみせた。聞くべきではなかったのだろうか。
「そっか、分かった。いいよ」
そう答えると彼女は頷いて席へ戻って行った。

帰り道、彼女は下を向いているようだった。どうしたのか尋ねようとした瞬間、
「ねぇ、君はさ私の事あんまり聞いて来ないよね。皆、どこから来たのかとか、何かあったのかとか沢山聞いてくるけど、君だけは聞いて来ない。どうして？」
なんとも言えない表情で尋ねて来た彼女に何て答えるのが正解だったのかは分からない、だから僕は僕なりに素直に答えた。
「気になる事もあるけど、言いづらい事とかもあるかなってあえて聞いてなかった。」
彼女は不思議そうなちょっと嬉しそうな顔をして
「君なりの気遣いだったんだね、ありがとう」
と、微笑んでくれた。
「君なら色々話せる気がするよ、ねぇ連絡先交換しない？」
そう彼女は言ってくれた。

その夜、彼女から連絡があった。
『今日はありがとう、また一緒に帰りたい』
「こちらこそありがとう、一ノ瀬さんが良ければまたよろしくね」
本当に楽しかったし、女子に慣れていない僕は少し恥ずかしかった。