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夢追い編
第56話、淡くも確かな有志
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体育祭の時期が刻々と近づいていた。それに関わる時間は着々と増えていき、そんな中教室で亜理紗と彩音は話をしていた。
「体育祭が終われば生徒会も文化祭の準備に入り、そうなると私達が準備に関われる時間は限られて来るわね」
「そうだね。出し物をする部活に入ってる人はそっちの準備も始まるだろうし、当日の予定も含めて聞いたほうがいいし」
「なら、調査表を用意して……」
そう二人の会話を聞いていた沙織は興味津々に
「文化祭って生徒会主催の出し物もあるって聞いたけど、彩音達も何かするの?」
「第一生徒会は何かするみたいだけど、うちは今の所は何も聞いてないなあ。ただ、役割的に見回りはするっぽいけど」
「あぁ」
「毎年恒例、ボランティア的な手伝いも募集するみたいだし。で、衣装はどうなったの?」
「バッチリオッケー。納言さんが貸してくれるって」
その他の備品も大体のものをこの間見かけた時に揃えたそうで、北条啓による練習も少しずつ始まり今の所順調だと亜理紗から聞いた。
女生徒を中心に室内の配置も決まり、宣伝の為のチラシやポスターも任せる人が決まったと話し
「今の所、スケジュール通りに進んで、このまま順調にいけば問題はないわ。メニューもいくつか案は出ていて……」
「わー、流石は霧島さん、進みが早い早い」
「生徒会側の準備が始まったらどうここの準備に影響が出るか分からないから……早めに出来る所はやっておきたかっただけよ」
やがて、亜理紗は彩音に視線を向け
「それで、さっきの話だと、私達は準備への参加と当日は見回りをすればいいのかしら」
「基本はね。準備の手伝いはするけど、当日の私達の仕事はいつも通り問題がないかの見回りと、学校のホームページに載せる写真撮影くらいじゃないかって」
「そう」
「役割と時間帯は既に割り振られてるから、はいこれ。これで自分達のこっちの時間は決められるはず」
放課後、賞を狙う多くのクラスは体育祭が間近に控えるにも関わらず残って作業をし、Aクラスもまた少しずつ準備に取り掛かっていた。
「霧島さん、ポスターこんな感じでどうかな?」
「いいんじゃない? 私はこういうセンス無いから……」
ポスターやチラシを描いてくれる女生徒と、給仕を希望した数人の生徒が北条の指導の元練習する為残っており、今はまだほんの一部の生徒しか居残りはしていない。
そんなクラスメイト達の総督を委員長である亜理紗がする傍ら、彩音は亜理紗の事情と役割分担を踏まえ生徒会の準備に参加していた。
そして今日も、準備の為第一生徒会室に向かった。
「これが表紙で、こうやって谷折りにして、ページごとに合わせてホチキスで留めるの」
現在生徒会が行っているのは迫っていた体育祭のプログラム表作り。
言われるがまま紙を折り重ね留め、それを箱に入れていくという作業に追われていた。
「生徒数が多いから凄い量ですね……」
「文化祭はもっと凄いよー? なんたって、全校生徒に加えて来校者用にも作らないといけないし」
と彩音の声に夏目が笑うと、夏目の隣から夢が口を開き
「去年は足りなくなって、緒方君が必死に刷ってた……」
「そんなこともあったな」
と更に副会長奈都晴俊が懐かしんでいた。
「まあ、それだけ多く必要とするから文化祭のしおりは図書委員や第二生徒会にも頼むことになるだろうし、毎年頼んでるんだ」
「そう言えば、ここには第二生徒会の姿がありませんけど……」
そう辺りを見渡しながら問いかけると結希が答え
「あぁ、第二生徒会は第二生徒会室で作業をしてるんだ。俺達は人数が少ないからここで共同作業が出来るけど……流石に第二生徒会までは入らないからな」
「そういえば……文化祭って毎年生徒会の出し物というか企画をしてるんですよね」
そう夏目に投げかけると彼女らは視線を向け
「今年もやるんですよね。一体何をやるんです?」
「よくぞ聞いてくれたよ!」
と彩音の問いに夏目は勢いよく立ち上がり、彩音に向け
「一日目にクイズ大会、二日目はミス・桜撫子コンクールをする予定なの!」
「……あの?」
「神月さん、それ以上言わないであげて」
そう呆然とした彩音の横で結希は額を抑えながら息を吐く。
そこに夏目が生き生きと語るように
「この間読んだ漫画でやっててね、やりたいって思ったんだよ!」
「それでやっちゃうんですか?」
「すっごく面白そうじゃない? 私が司会で、生徒会の誰かに審査員を頼もうと思ってるの! のーちゃんは決まってるんだけど」
夏目は楽しそうに話すものの彩音は呆然とした様子のままでいて、他の数人もいつも通りの彼女の暴走に苦笑い、またはため息をついていた。
「ま、まあ毎年大学でも似たような事でニュースになってますよね」
「多分、Dropsや京進学園のライブがあるから話題性はそっちに持ってかれちゃうだろうけど、こっちで目立つ何かが欲しいじゃない!」
体育祭まで一週間を切り、体育祭の練習や文化祭の準備で多くの生徒が残る中、突如校内放送が入った。
それはこの学校に来て何度目かの魔物の出現放送だった。
『生徒会より、全校生徒に重要なお知らせです。只今、七宮付近にて魔物の発生が確認されました。危険ですので、校外の生徒は直ちに校内に避難して下さい』
「……!」
『生徒は速やかに校内に入り、自クラスの教室にて待機してください。繰り返します。只今……』
教室内にいた翔太は校内放送に顔を上げ、沙織と亜理紗もまた放送に耳を傾けた。
第一体育館にいた緋香琉とクロスも動きを止め、同じ内容が繰り返される中霧島は総督を中断し
「……少し行ってくるわ」
そう教師による放送が続く中亜理紗はそう教室を出ていく。
『状況が確認され次第再度放送します。次の指示があるまで全校生徒は校内に待機、指示に従い避難できるように準備しておいてください』
「……またか」
そう放送を耳にしながら翔太が呟くと、近くに来た沙織が
「行くの?」
「……いや、七宮ってことは、少なくともこの町じゃないだろ? けと放送で情報が入ったって事は……」
既に速報としてニュースに取り上げられているか、警察が動いていると思われる。
「警察が動いてる……って事は人々の避難は徹底されているはず。けど……なんだ? いつもと違う感覚が」
「え、いつもと違う感覚って……」
近くにいた六本木が翔太の呟きに問いかけると、やがて口を開いた沙織に視線を向け
「……確かに、変な感じがするね」
「変な感じとは、どういう事ですか……?」
その時、再度放送が入り
『現在、警察および陸上自衛隊が対応していますが、魔物は行動範囲を拡大しています』
「この声、霧島さんの」
『よって、警戒レベルを3に引き上げます。校内に残っている生徒はすぐに避難できるように待機し、避難の際は教員の指示に従って……』
瞬く間に練習をしていたクラス内から不安の声が上がり、翔太はどうすべきか考えるように見渡していた。
校内に残った生徒や教師はネットやニュースから情報を追いつつあり、魔物の範囲は広がり桜丘高校周辺まで迫っている事を知る。
そこに放送が入り、翔太達は避難誘導が始まるものだと意気込んだ矢先、そこに想定外な放送が入った。
『地下の避難経路は、魔物の侵入により現在使用できなくなりました。よって全校生徒は順次行う放送の指示に従い三階に上がってください』
「な、地下に魔物……!?」
『担任の先生は担当するクラスまで移動し、放送に合わせた生徒の誘導を。顧問の先生はそのまま放送の指示に従って生徒を引率し、指定の場所まで移動してください』
徐々に放送で生徒達が移動する中、1-Aは教室内で呼びかけられるのを待っていた。
しかし待つこと数十分も経たないうちに、翔太達は窓から道を駆け回る魔物の姿を捉える。
「……!」
だがその直後、正面玄関前に二人の姿が見え
「赤井に……クロス?」
「え?」
沙織もまた翔太に続き窓から二人の姿を確認すると、やがてため息をつき
「まあ、姿が見えたって事はここに入ってくるのも時間の問題だろうし」
「鈴木さん、まさか外に?」
「あの二人だけには任せられないっしょ」
二人に続くように翔太と沙織も外に出ると、間もなく魔物が正門から侵入する。
その姿を確認した緋香琉とクロスは武器を握りながら
「来る……!」
「やってやろうじゃないの! この中には一体も通さないからね!」
駆け出す緋香琉に続いて、翔太もまたその手に刀を握ると駆け出した。
その頃、第一生徒会室。
彩音は小型カメラ搭載機を校外に放ち、キーボードで操作しながら小型機が画面に映す映像を見ていた。
「あれは、上田君?」
そこに窓から魔物の徘徊する様子を見ていた夏目が、門で魔物と戦う姿を目にし声に出すと彩音は視線を向ける。
「まさか、学校に入れないように魔物と戦って……?」
「な、魔物と戦うって……」
「他にも鈴木さんや他の子が戦ってるけど……」
「地下は、魔物が侵入して使えないんですよね」
そう緒方結希と城島夏目に問いかけると
「そう警察から報告を受けて、地下通路から校内への通路はすぐに閉じたから校舎や校内に侵入されることはないと思う」
「けど……困ったね、地下が使えないんじゃ皆ここから避難できないし」
そう夏目も困った様子で告げ、結希と彩音は黙り込んだ。
その時、内線電話が鳴り受話器を取った夢が夏目達に告げ
「放送室から連絡が。生徒の移動、一通りは終わったって」
「のーちゃんありがと。霧島ちゃんにもお礼を言っといて」
「わかった」
そんな報告に第一副会長晴俊が口を開き
「一通りの避難は終わったか。しかし、放課後の今全員が固まった場にいるとは限らない」
放送を受けたとはいえ、動けずにいる生徒もいないとは限らず、全生徒が残っているとも限らない為全員が三階に上がれたのか把握できない。
そう告げる晴俊に結希が
「一階と二階と、校庭に生徒が残ってないか見に行く必要があるのでは」
「校舎はまだしも外は危険だろう。別の箇所から既に侵入されている可能性だってあるわけだし、流石にそれはいくら第三生徒会の範囲外になるだろう」
そこに夏目が口を開き
「正門は異能者の子達が足止めしてくれてるんだよね。……今、第二生徒会の子が避難指示を出してた霧島ちゃんと避難してるクラスの見守りについてるけど……」
「そうか。確か、第二生徒会の人達の中には異能持ち……というかそういう力を持ってる人がいるんでしたっけ」
と彩音が夏目に視線を向け
「多分よっぽど正門を守ってるあの人達は大丈夫なので、第二生徒会の能力者達に校舎の見回りに出てもらえませんかね」
「頼んでみる」
「校舎外は……私のカメラで何とかしてみます」
時は経ち、幸い校舎内に魔物の侵入した様子はなく、夏目の頼みで校舎内は第二生徒会が見回った。
その後、三階に避難している生徒達の防衛に入り、彩音は新たな案を提示していた。
「一階と二階に防衛用シャッターをかけるべきだと思うんですけど……」
しかし、そこに更なる難が訪れ、話を教師に通した所、制御室にいるはずの警備員に繋がらないというのだ。
となれば誰かが二階にある制御室に向かう必要があるものの
「俺達が向かうにしても、連絡がつかない以上最悪俺達が操作しないといけませんよね。でも、シャッターの下ろし方なんて知りませんよ?」
間もなく、放送室で指示をしていた亜理紗と第一生徒会顧問、そして護衛についていた第二生徒会の生徒が第一生徒会室に戻ってきて
「何故繋がらないのかしら」
「魔物の影響で電波妨害的なものが起きてる可能性はあるけど……放送室とは繋がったもんね」
「制御室にいけば、校内に設置された監視カメラの様子も分かるし……」
間もなく、生徒会は制御室に行く方向になり
「今の所校内は安全なんだよね」
「私達が通って来た所は。けど、窓から魔物は見えるからいつ侵入してきてもおかしくはないわ」
「三階は強化ガラスになってるから多少は平気なんだけど、まだ一階と二階はただの耐震ガラスでね。割って入って来られてもおかしくはないと思うよ」
と亜理紗や結希に確認を取った彩音はやがて、全員に話すように
「まず、三階にいる生徒の安全を確保する為に一階と二階のシャッターを下ろし、その為に二階の制御室に向かう必要がある」
制御室に行ければ監視カメラの映像で魔物の位置も把握出来、上手く連絡が取れれば更なる指示がやりやすくなる。
「警備員さんと連絡がつかない理由も含めて確認が必要ですが……」
と彩音はスマホを取り出しながら
「霧島さんと第二生徒会の人はもう一度放送室に向かって、別に制御室に向かわせた人と連携を取って欲しいです」
「それは構わないけど、制御室には誰が行くの?」
そう問いかける亜理紗に対して彩音はスマホを操作しながら
「それは……下手な一般人より、適任な奴がいる」
北条啓は静まり返った廊下を走っていた。
そして曲がった先、目に入ったのは『制御室』と書かれた扉で、共に走っていた青空も声を上げる。
「ここか!」
目の前までくるものの、手をかけようとした瞬間先程通って来た廊下の窓ガラスが割れると二体の魔物が侵入し、その音に体を向けると魔物は二人に襲い掛かろうとする。
「うわあっ!」
大きく翼を羽ばたかせ、突風が巻き起こると青空は吹き飛ばされ啓は魔物と間合いを取っていた。
緊迫した様子で懐から数本のナイフを取り出し、翼に向かって投げると突き刺さり声を上げながら廊下に落下する。
やがて、魔物は力を失ったように消滅し
「飛行する魔物までいるとは、二階も安全とは言い切れませんね」
そう制御室と描かれた扉に視線を戻すと
「……ひとまず、制御室に入りましょうか」
やがて、二重の扉を開き中に入るが
「警備員の姿がない……?」
「逃げてしまわれたのでしょうか」
そう人の姿がない様子に扉を閉めると二人は奥へと進み、横にある装置に視線を向けた。
その先にはいくつものボタンやレバー、更にその上には無数のモニターがあり映っているのは学校内や敷地内に設置された監視カメラの映像のようだった。
そんなモニターと装置に青空は近づきながら
「どうするんだよ。警備員の人がいなけりゃシャッターの閉め方とか分からないし、確か、一階と二階のシャッターを閉めるんだよな?」
そう前屈みになり目を凝らすも
「……駄目だ、さっぱり分からない」
「私にも何が何だか……」
同じく目にした北条も分からない様子でいたところ、制御室内にあったあるボタンが光りそれを押すと
『北条君、聞こえる?』
「この声は……霧島?」
そう近くにあったマイクが目に入りマイクに向け投げかけると
「霧島、聞こえるか?」
『その声は……』
「伊藤だ。北条もいるが。ところで警備員の人がいないんだが」
『な、いない?』
そう放送室にいた霧島の表情が変わると再び青空の声が聞こえ
「何故いないのかはわからないが……。パッと見じゃ全然何が何だか分からないし、下手に動かす訳にもいかないしで正直俺も北条もお手上げだぜ」
何とか稼働スイッチを見つけようと二人は探していくが、殆どのボタンが似たもので表記もない。
焦りが一向に募る中、ふと扉をノックする音が聞こえた。
「何だ……? まさか、警備員の人か!?」
そうマイクから離した青空が扉に向かうと扉が開き
「伊藤君、北条君!」
「六本木!?」
現れたのは警備員ではなく、クラスメイトの六本木の姿に青空と啓が驚くと
「なぜここに……既に校内にも魔物が侵入し危険ですよ……?」
「でも、僕も何か力になれないかなって」
『六本木君? 六本木君まで来たの?』
そうスピーカーを通して亜理紗の声が聞こえると六本木は扉を閉め、カギをかけるとマイクの前までやって来て
「少し話を聞いただけだからよく分かってないんだけど、ここで何をするつもりだったの?」
それに青空が答え
「全校生徒が三階に避難してるだろ? 魔物の侵入を防ぐ為に一階と二階の一部に防衛シャッターをかけたいんだが、肝心の操作が分かる警備員が何故かいなくて困ってたんだ」
そう話を聞きながら、六本木は制御装置に目を向けると無数のボタンに目を向け
「それでここに」
「伊藤さんにも私にも見れど全く分からず……」
「そういう事なら任せて」
「えっ……?」
そう返された声に青空が声を上げ、通話越しに亜理紗も表情を変えると六本木は装置の前にあった椅子に座り
「どこを閉めればいいかな。一階と二階だっけ」
『ええ。一階の全てと二階の……下ろした後、貴方達が三階に戻る通路を残した反対側を』
「了解」
そう六本木は亜理紗の指示の元に次々とボタンを押していくと、反応するように一階のシャッターが下り二階のシャッターも下り始めていった。
「体育祭が終われば生徒会も文化祭の準備に入り、そうなると私達が準備に関われる時間は限られて来るわね」
「そうだね。出し物をする部活に入ってる人はそっちの準備も始まるだろうし、当日の予定も含めて聞いたほうがいいし」
「なら、調査表を用意して……」
そう二人の会話を聞いていた沙織は興味津々に
「文化祭って生徒会主催の出し物もあるって聞いたけど、彩音達も何かするの?」
「第一生徒会は何かするみたいだけど、うちは今の所は何も聞いてないなあ。ただ、役割的に見回りはするっぽいけど」
「あぁ」
「毎年恒例、ボランティア的な手伝いも募集するみたいだし。で、衣装はどうなったの?」
「バッチリオッケー。納言さんが貸してくれるって」
その他の備品も大体のものをこの間見かけた時に揃えたそうで、北条啓による練習も少しずつ始まり今の所順調だと亜理紗から聞いた。
女生徒を中心に室内の配置も決まり、宣伝の為のチラシやポスターも任せる人が決まったと話し
「今の所、スケジュール通りに進んで、このまま順調にいけば問題はないわ。メニューもいくつか案は出ていて……」
「わー、流石は霧島さん、進みが早い早い」
「生徒会側の準備が始まったらどうここの準備に影響が出るか分からないから……早めに出来る所はやっておきたかっただけよ」
やがて、亜理紗は彩音に視線を向け
「それで、さっきの話だと、私達は準備への参加と当日は見回りをすればいいのかしら」
「基本はね。準備の手伝いはするけど、当日の私達の仕事はいつも通り問題がないかの見回りと、学校のホームページに載せる写真撮影くらいじゃないかって」
「そう」
「役割と時間帯は既に割り振られてるから、はいこれ。これで自分達のこっちの時間は決められるはず」
放課後、賞を狙う多くのクラスは体育祭が間近に控えるにも関わらず残って作業をし、Aクラスもまた少しずつ準備に取り掛かっていた。
「霧島さん、ポスターこんな感じでどうかな?」
「いいんじゃない? 私はこういうセンス無いから……」
ポスターやチラシを描いてくれる女生徒と、給仕を希望した数人の生徒が北条の指導の元練習する為残っており、今はまだほんの一部の生徒しか居残りはしていない。
そんなクラスメイト達の総督を委員長である亜理紗がする傍ら、彩音は亜理紗の事情と役割分担を踏まえ生徒会の準備に参加していた。
そして今日も、準備の為第一生徒会室に向かった。
「これが表紙で、こうやって谷折りにして、ページごとに合わせてホチキスで留めるの」
現在生徒会が行っているのは迫っていた体育祭のプログラム表作り。
言われるがまま紙を折り重ね留め、それを箱に入れていくという作業に追われていた。
「生徒数が多いから凄い量ですね……」
「文化祭はもっと凄いよー? なんたって、全校生徒に加えて来校者用にも作らないといけないし」
と彩音の声に夏目が笑うと、夏目の隣から夢が口を開き
「去年は足りなくなって、緒方君が必死に刷ってた……」
「そんなこともあったな」
と更に副会長奈都晴俊が懐かしんでいた。
「まあ、それだけ多く必要とするから文化祭のしおりは図書委員や第二生徒会にも頼むことになるだろうし、毎年頼んでるんだ」
「そう言えば、ここには第二生徒会の姿がありませんけど……」
そう辺りを見渡しながら問いかけると結希が答え
「あぁ、第二生徒会は第二生徒会室で作業をしてるんだ。俺達は人数が少ないからここで共同作業が出来るけど……流石に第二生徒会までは入らないからな」
「そういえば……文化祭って毎年生徒会の出し物というか企画をしてるんですよね」
そう夏目に投げかけると彼女らは視線を向け
「今年もやるんですよね。一体何をやるんです?」
「よくぞ聞いてくれたよ!」
と彩音の問いに夏目は勢いよく立ち上がり、彩音に向け
「一日目にクイズ大会、二日目はミス・桜撫子コンクールをする予定なの!」
「……あの?」
「神月さん、それ以上言わないであげて」
そう呆然とした彩音の横で結希は額を抑えながら息を吐く。
そこに夏目が生き生きと語るように
「この間読んだ漫画でやっててね、やりたいって思ったんだよ!」
「それでやっちゃうんですか?」
「すっごく面白そうじゃない? 私が司会で、生徒会の誰かに審査員を頼もうと思ってるの! のーちゃんは決まってるんだけど」
夏目は楽しそうに話すものの彩音は呆然とした様子のままでいて、他の数人もいつも通りの彼女の暴走に苦笑い、またはため息をついていた。
「ま、まあ毎年大学でも似たような事でニュースになってますよね」
「多分、Dropsや京進学園のライブがあるから話題性はそっちに持ってかれちゃうだろうけど、こっちで目立つ何かが欲しいじゃない!」
体育祭まで一週間を切り、体育祭の練習や文化祭の準備で多くの生徒が残る中、突如校内放送が入った。
それはこの学校に来て何度目かの魔物の出現放送だった。
『生徒会より、全校生徒に重要なお知らせです。只今、七宮付近にて魔物の発生が確認されました。危険ですので、校外の生徒は直ちに校内に避難して下さい』
「……!」
『生徒は速やかに校内に入り、自クラスの教室にて待機してください。繰り返します。只今……』
教室内にいた翔太は校内放送に顔を上げ、沙織と亜理紗もまた放送に耳を傾けた。
第一体育館にいた緋香琉とクロスも動きを止め、同じ内容が繰り返される中霧島は総督を中断し
「……少し行ってくるわ」
そう教師による放送が続く中亜理紗はそう教室を出ていく。
『状況が確認され次第再度放送します。次の指示があるまで全校生徒は校内に待機、指示に従い避難できるように準備しておいてください』
「……またか」
そう放送を耳にしながら翔太が呟くと、近くに来た沙織が
「行くの?」
「……いや、七宮ってことは、少なくともこの町じゃないだろ? けと放送で情報が入ったって事は……」
既に速報としてニュースに取り上げられているか、警察が動いていると思われる。
「警察が動いてる……って事は人々の避難は徹底されているはず。けど……なんだ? いつもと違う感覚が」
「え、いつもと違う感覚って……」
近くにいた六本木が翔太の呟きに問いかけると、やがて口を開いた沙織に視線を向け
「……確かに、変な感じがするね」
「変な感じとは、どういう事ですか……?」
その時、再度放送が入り
『現在、警察および陸上自衛隊が対応していますが、魔物は行動範囲を拡大しています』
「この声、霧島さんの」
『よって、警戒レベルを3に引き上げます。校内に残っている生徒はすぐに避難できるように待機し、避難の際は教員の指示に従って……』
瞬く間に練習をしていたクラス内から不安の声が上がり、翔太はどうすべきか考えるように見渡していた。
校内に残った生徒や教師はネットやニュースから情報を追いつつあり、魔物の範囲は広がり桜丘高校周辺まで迫っている事を知る。
そこに放送が入り、翔太達は避難誘導が始まるものだと意気込んだ矢先、そこに想定外な放送が入った。
『地下の避難経路は、魔物の侵入により現在使用できなくなりました。よって全校生徒は順次行う放送の指示に従い三階に上がってください』
「な、地下に魔物……!?」
『担任の先生は担当するクラスまで移動し、放送に合わせた生徒の誘導を。顧問の先生はそのまま放送の指示に従って生徒を引率し、指定の場所まで移動してください』
徐々に放送で生徒達が移動する中、1-Aは教室内で呼びかけられるのを待っていた。
しかし待つこと数十分も経たないうちに、翔太達は窓から道を駆け回る魔物の姿を捉える。
「……!」
だがその直後、正面玄関前に二人の姿が見え
「赤井に……クロス?」
「え?」
沙織もまた翔太に続き窓から二人の姿を確認すると、やがてため息をつき
「まあ、姿が見えたって事はここに入ってくるのも時間の問題だろうし」
「鈴木さん、まさか外に?」
「あの二人だけには任せられないっしょ」
二人に続くように翔太と沙織も外に出ると、間もなく魔物が正門から侵入する。
その姿を確認した緋香琉とクロスは武器を握りながら
「来る……!」
「やってやろうじゃないの! この中には一体も通さないからね!」
駆け出す緋香琉に続いて、翔太もまたその手に刀を握ると駆け出した。
その頃、第一生徒会室。
彩音は小型カメラ搭載機を校外に放ち、キーボードで操作しながら小型機が画面に映す映像を見ていた。
「あれは、上田君?」
そこに窓から魔物の徘徊する様子を見ていた夏目が、門で魔物と戦う姿を目にし声に出すと彩音は視線を向ける。
「まさか、学校に入れないように魔物と戦って……?」
「な、魔物と戦うって……」
「他にも鈴木さんや他の子が戦ってるけど……」
「地下は、魔物が侵入して使えないんですよね」
そう緒方結希と城島夏目に問いかけると
「そう警察から報告を受けて、地下通路から校内への通路はすぐに閉じたから校舎や校内に侵入されることはないと思う」
「けど……困ったね、地下が使えないんじゃ皆ここから避難できないし」
そう夏目も困った様子で告げ、結希と彩音は黙り込んだ。
その時、内線電話が鳴り受話器を取った夢が夏目達に告げ
「放送室から連絡が。生徒の移動、一通りは終わったって」
「のーちゃんありがと。霧島ちゃんにもお礼を言っといて」
「わかった」
そんな報告に第一副会長晴俊が口を開き
「一通りの避難は終わったか。しかし、放課後の今全員が固まった場にいるとは限らない」
放送を受けたとはいえ、動けずにいる生徒もいないとは限らず、全生徒が残っているとも限らない為全員が三階に上がれたのか把握できない。
そう告げる晴俊に結希が
「一階と二階と、校庭に生徒が残ってないか見に行く必要があるのでは」
「校舎はまだしも外は危険だろう。別の箇所から既に侵入されている可能性だってあるわけだし、流石にそれはいくら第三生徒会の範囲外になるだろう」
そこに夏目が口を開き
「正門は異能者の子達が足止めしてくれてるんだよね。……今、第二生徒会の子が避難指示を出してた霧島ちゃんと避難してるクラスの見守りについてるけど……」
「そうか。確か、第二生徒会の人達の中には異能持ち……というかそういう力を持ってる人がいるんでしたっけ」
と彩音が夏目に視線を向け
「多分よっぽど正門を守ってるあの人達は大丈夫なので、第二生徒会の能力者達に校舎の見回りに出てもらえませんかね」
「頼んでみる」
「校舎外は……私のカメラで何とかしてみます」
時は経ち、幸い校舎内に魔物の侵入した様子はなく、夏目の頼みで校舎内は第二生徒会が見回った。
その後、三階に避難している生徒達の防衛に入り、彩音は新たな案を提示していた。
「一階と二階に防衛用シャッターをかけるべきだと思うんですけど……」
しかし、そこに更なる難が訪れ、話を教師に通した所、制御室にいるはずの警備員に繋がらないというのだ。
となれば誰かが二階にある制御室に向かう必要があるものの
「俺達が向かうにしても、連絡がつかない以上最悪俺達が操作しないといけませんよね。でも、シャッターの下ろし方なんて知りませんよ?」
間もなく、放送室で指示をしていた亜理紗と第一生徒会顧問、そして護衛についていた第二生徒会の生徒が第一生徒会室に戻ってきて
「何故繋がらないのかしら」
「魔物の影響で電波妨害的なものが起きてる可能性はあるけど……放送室とは繋がったもんね」
「制御室にいけば、校内に設置された監視カメラの様子も分かるし……」
間もなく、生徒会は制御室に行く方向になり
「今の所校内は安全なんだよね」
「私達が通って来た所は。けど、窓から魔物は見えるからいつ侵入してきてもおかしくはないわ」
「三階は強化ガラスになってるから多少は平気なんだけど、まだ一階と二階はただの耐震ガラスでね。割って入って来られてもおかしくはないと思うよ」
と亜理紗や結希に確認を取った彩音はやがて、全員に話すように
「まず、三階にいる生徒の安全を確保する為に一階と二階のシャッターを下ろし、その為に二階の制御室に向かう必要がある」
制御室に行ければ監視カメラの映像で魔物の位置も把握出来、上手く連絡が取れれば更なる指示がやりやすくなる。
「警備員さんと連絡がつかない理由も含めて確認が必要ですが……」
と彩音はスマホを取り出しながら
「霧島さんと第二生徒会の人はもう一度放送室に向かって、別に制御室に向かわせた人と連携を取って欲しいです」
「それは構わないけど、制御室には誰が行くの?」
そう問いかける亜理紗に対して彩音はスマホを操作しながら
「それは……下手な一般人より、適任な奴がいる」
北条啓は静まり返った廊下を走っていた。
そして曲がった先、目に入ったのは『制御室』と書かれた扉で、共に走っていた青空も声を上げる。
「ここか!」
目の前までくるものの、手をかけようとした瞬間先程通って来た廊下の窓ガラスが割れると二体の魔物が侵入し、その音に体を向けると魔物は二人に襲い掛かろうとする。
「うわあっ!」
大きく翼を羽ばたかせ、突風が巻き起こると青空は吹き飛ばされ啓は魔物と間合いを取っていた。
緊迫した様子で懐から数本のナイフを取り出し、翼に向かって投げると突き刺さり声を上げながら廊下に落下する。
やがて、魔物は力を失ったように消滅し
「飛行する魔物までいるとは、二階も安全とは言い切れませんね」
そう制御室と描かれた扉に視線を戻すと
「……ひとまず、制御室に入りましょうか」
やがて、二重の扉を開き中に入るが
「警備員の姿がない……?」
「逃げてしまわれたのでしょうか」
そう人の姿がない様子に扉を閉めると二人は奥へと進み、横にある装置に視線を向けた。
その先にはいくつものボタンやレバー、更にその上には無数のモニターがあり映っているのは学校内や敷地内に設置された監視カメラの映像のようだった。
そんなモニターと装置に青空は近づきながら
「どうするんだよ。警備員の人がいなけりゃシャッターの閉め方とか分からないし、確か、一階と二階のシャッターを閉めるんだよな?」
そう前屈みになり目を凝らすも
「……駄目だ、さっぱり分からない」
「私にも何が何だか……」
同じく目にした北条も分からない様子でいたところ、制御室内にあったあるボタンが光りそれを押すと
『北条君、聞こえる?』
「この声は……霧島?」
そう近くにあったマイクが目に入りマイクに向け投げかけると
「霧島、聞こえるか?」
『その声は……』
「伊藤だ。北条もいるが。ところで警備員の人がいないんだが」
『な、いない?』
そう放送室にいた霧島の表情が変わると再び青空の声が聞こえ
「何故いないのかはわからないが……。パッと見じゃ全然何が何だか分からないし、下手に動かす訳にもいかないしで正直俺も北条もお手上げだぜ」
何とか稼働スイッチを見つけようと二人は探していくが、殆どのボタンが似たもので表記もない。
焦りが一向に募る中、ふと扉をノックする音が聞こえた。
「何だ……? まさか、警備員の人か!?」
そうマイクから離した青空が扉に向かうと扉が開き
「伊藤君、北条君!」
「六本木!?」
現れたのは警備員ではなく、クラスメイトの六本木の姿に青空と啓が驚くと
「なぜここに……既に校内にも魔物が侵入し危険ですよ……?」
「でも、僕も何か力になれないかなって」
『六本木君? 六本木君まで来たの?』
そうスピーカーを通して亜理紗の声が聞こえると六本木は扉を閉め、カギをかけるとマイクの前までやって来て
「少し話を聞いただけだからよく分かってないんだけど、ここで何をするつもりだったの?」
それに青空が答え
「全校生徒が三階に避難してるだろ? 魔物の侵入を防ぐ為に一階と二階の一部に防衛シャッターをかけたいんだが、肝心の操作が分かる警備員が何故かいなくて困ってたんだ」
そう話を聞きながら、六本木は制御装置に目を向けると無数のボタンに目を向け
「それでここに」
「伊藤さんにも私にも見れど全く分からず……」
「そういう事なら任せて」
「えっ……?」
そう返された声に青空が声を上げ、通話越しに亜理紗も表情を変えると六本木は装置の前にあった椅子に座り
「どこを閉めればいいかな。一階と二階だっけ」
『ええ。一階の全てと二階の……下ろした後、貴方達が三階に戻る通路を残した反対側を』
「了解」
そう六本木は亜理紗の指示の元に次々とボタンを押していくと、反応するように一階のシャッターが下り二階のシャッターも下り始めていった。
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