36 / 58
36.戻って来る感覚
しおりを挟む
「さて、とりあえず話はこの辺りでいいだろう……流石に、この体を長時間借りるのは忍びない」
「そうですね……それでは、二人に体を返すとしましょうか」
そこで、ズグヴェルさんとシェリウェントさんはそのような会話を交わした。
次の瞬間、私は奇妙な感覚に見舞われる。
「うっ、これは……」
「い、一体……」
奇妙な感覚の直後、私の体は私の意思で動かせるようになっていた。
今までは、少し俯瞰的に見ているようだった目の前の光景も元に戻っている。
どうやら、ズグヴェルさんは宣言通り、私に体を返してくれたようだ。恐らく、目の前で驚いたような顔をしているセリティナも同じだろう。
「……えっと、エルファリナ様なんですか?」
「はい……そういうあなたは、セリティナさんですか?」
「はい、そうです。セリティナです」
私とセリティナは、お互いがお互いであるかどうかを確認した。
なんというか、それは変な会話だ。普通に考えたら、目の前の人間はその人でしかないのに、別の人である可能性を追わなければならないなんておかしな話である。
「先程までのあれは、一体なんだったのでしょうか? 私の体は、誰かに乗っ取られていたようですが……」
「えっと……なんといったら、いいか……色々と複雑なことが起こっているんです」
「複雑なこと……まあ、先程の会話で、大まかなことは理解しましたが……」
セリティナは、とても混乱していた。
それは、当たり前のことである。彼女は、私以上に知らないことが多い。今の現象なんて、まったく意味がわからないだろう。
そんな彼女に、私は何から説明するべきだろうか。それを私は考える。
「……まず知っていた欲しいのが、あなたのその聖痕は、とあるものが宿ることによってできたものだということです」
「とあるものが宿っている……確か、彼らか彼女らかはわかりませんが、龍などといっていましたね?」
「ええ、ご明察の通り、聖痕は龍を宿しているという証なのです」
「そ、そうなのですね……」
セリティナは、先程の話をよく聞いていた。
これなら、思っていたよりも説明は少なく済むかもしれない。そのことに、私は少し安心する。私にもわからないことが多いので、そんなに説明するのに自信がなかったからだ。
「……でも、どうしてエルファリナ様がそんなことを」
「……この際ですから、全てをお話します。実は、色々なことがあって……」
セリティナの言葉に、私は全てを話す決意をした。今更隠しても、無駄だからだ。
こうして、私はセリティナに私の知っている情報を全て話すのだった。
「そうですね……それでは、二人に体を返すとしましょうか」
そこで、ズグヴェルさんとシェリウェントさんはそのような会話を交わした。
次の瞬間、私は奇妙な感覚に見舞われる。
「うっ、これは……」
「い、一体……」
奇妙な感覚の直後、私の体は私の意思で動かせるようになっていた。
今までは、少し俯瞰的に見ているようだった目の前の光景も元に戻っている。
どうやら、ズグヴェルさんは宣言通り、私に体を返してくれたようだ。恐らく、目の前で驚いたような顔をしているセリティナも同じだろう。
「……えっと、エルファリナ様なんですか?」
「はい……そういうあなたは、セリティナさんですか?」
「はい、そうです。セリティナです」
私とセリティナは、お互いがお互いであるかどうかを確認した。
なんというか、それは変な会話だ。普通に考えたら、目の前の人間はその人でしかないのに、別の人である可能性を追わなければならないなんておかしな話である。
「先程までのあれは、一体なんだったのでしょうか? 私の体は、誰かに乗っ取られていたようですが……」
「えっと……なんといったら、いいか……色々と複雑なことが起こっているんです」
「複雑なこと……まあ、先程の会話で、大まかなことは理解しましたが……」
セリティナは、とても混乱していた。
それは、当たり前のことである。彼女は、私以上に知らないことが多い。今の現象なんて、まったく意味がわからないだろう。
そんな彼女に、私は何から説明するべきだろうか。それを私は考える。
「……まず知っていた欲しいのが、あなたのその聖痕は、とあるものが宿ることによってできたものだということです」
「とあるものが宿っている……確か、彼らか彼女らかはわかりませんが、龍などといっていましたね?」
「ええ、ご明察の通り、聖痕は龍を宿しているという証なのです」
「そ、そうなのですね……」
セリティナは、先程の話をよく聞いていた。
これなら、思っていたよりも説明は少なく済むかもしれない。そのことに、私は少し安心する。私にもわからないことが多いので、そんなに説明するのに自信がなかったからだ。
「……でも、どうしてエルファリナ様がそんなことを」
「……この際ですから、全てをお話します。実は、色々なことがあって……」
セリティナの言葉に、私は全てを話す決意をした。今更隠しても、無駄だからだ。
こうして、私はセリティナに私の知っている情報を全て話すのだった。
205
あなたにおすすめの小説
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる