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35.数奇な運命
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「運命というのは、数奇なものだな……まさか、我とお前が再び同じ地に降り立つことになるとは……」
「運命ですか……確かに、そうですね」
ズグヴェルさんの言葉に、シェリウェントさんはゆっくりと頷いた。
二人は、様々な巫女に宿ったのだろう。そんな二人が、同じ国の同い年の人間に宿る。その可能性は、かなり低かったのかもしれない。
「この巡り会いは、偶然ではあるまい……我々が揃うということには、何かしらの意味があるはずだ」
「なるほど……」
「お前もわかっているだろう。我々の怨敵……奴は、必ず我らの前に現れる」
「ええ、そうでしょうね……」
ズグヴェルさんとシェリウェントさんは、何やら納得していた。
二人の怨敵、それは既に聞いたことがある。
かつて、龍は悪しき王によって巫女に封印された。ズグヴェルさんはそう言っていた。
つまり、怨敵というのはどう考えてもその悪しき王であるだろう。
しかし、私には少し疑問があった。
悪しき王というのは、人間ではないのだろうか。
「あの欲深き王は、未だにこの現世にしがみついているのですね……」
「奴ならば、そうするということは、お前もよくわかっているだろう?」
「そうですね……まったく、彼は私達龍よりも、余程恐ろしい存在ですね……」
「……そうだな」
二人の口振りから、やはり悪しき王というのは人間のように思える。少なくとも、彼らと同じ龍ではないことは確かだ。
しかし、仮に人間であるならば、生存しているはずはない。遥か昔の存在である二人と同じ時代に生きているはずの王が、現代まで生き延びているはずはないだろう。
「そもそも、私達を封印したのも、自身が生き延びるための実験も兼ねていた。そういうことだったのですよね?」
「ああ、恐らく、そうだろう。封印というものは、永遠を得られる手段でもある」
「彼は、誰かに宿っている……私達と同じように」
二人の会話に、私は驚いていた。
人間も同じように封印することができるとは、思っていなかったからだ。
だが、考えてみれば、別にそれが龍にだけ適応できると聞いた訳ではない。
龍と人間、その違いもそこまでわかっている訳ではないので、その可能性は充分考えられただろう。
「奴の野望を叶えてはならない……あの悪しき王が支配する世界など、あってはならない」
「龍にとっても、人間にとっても、彼が世界を牛耳ることはまずいことです……止めなければなりませんね」
「ああ、我らが巡り会った今が、その好機であることは言うまでもない。奴を見つけ出し、叩き潰す。それだけだ」
ズグヴェルさんの言葉に、シェリウェントさんはゆっくりと頷いた。
色々とわからないことは多いが、二人は悪しき王を討伐するつもりのようだ。
「運命ですか……確かに、そうですね」
ズグヴェルさんの言葉に、シェリウェントさんはゆっくりと頷いた。
二人は、様々な巫女に宿ったのだろう。そんな二人が、同じ国の同い年の人間に宿る。その可能性は、かなり低かったのかもしれない。
「この巡り会いは、偶然ではあるまい……我々が揃うということには、何かしらの意味があるはずだ」
「なるほど……」
「お前もわかっているだろう。我々の怨敵……奴は、必ず我らの前に現れる」
「ええ、そうでしょうね……」
ズグヴェルさんとシェリウェントさんは、何やら納得していた。
二人の怨敵、それは既に聞いたことがある。
かつて、龍は悪しき王によって巫女に封印された。ズグヴェルさんはそう言っていた。
つまり、怨敵というのはどう考えてもその悪しき王であるだろう。
しかし、私には少し疑問があった。
悪しき王というのは、人間ではないのだろうか。
「あの欲深き王は、未だにこの現世にしがみついているのですね……」
「奴ならば、そうするということは、お前もよくわかっているだろう?」
「そうですね……まったく、彼は私達龍よりも、余程恐ろしい存在ですね……」
「……そうだな」
二人の口振りから、やはり悪しき王というのは人間のように思える。少なくとも、彼らと同じ龍ではないことは確かだ。
しかし、仮に人間であるならば、生存しているはずはない。遥か昔の存在である二人と同じ時代に生きているはずの王が、現代まで生き延びているはずはないだろう。
「そもそも、私達を封印したのも、自身が生き延びるための実験も兼ねていた。そういうことだったのですよね?」
「ああ、恐らく、そうだろう。封印というものは、永遠を得られる手段でもある」
「彼は、誰かに宿っている……私達と同じように」
二人の会話に、私は驚いていた。
人間も同じように封印することができるとは、思っていなかったからだ。
だが、考えてみれば、別にそれが龍にだけ適応できると聞いた訳ではない。
龍と人間、その違いもそこまでわかっている訳ではないので、その可能性は充分考えられただろう。
「奴の野望を叶えてはならない……あの悪しき王が支配する世界など、あってはならない」
「龍にとっても、人間にとっても、彼が世界を牛耳ることはまずいことです……止めなければなりませんね」
「ああ、我らが巡り会った今が、その好機であることは言うまでもない。奴を見つけ出し、叩き潰す。それだけだ」
ズグヴェルさんの言葉に、シェリウェントさんはゆっくりと頷いた。
色々とわからないことは多いが、二人は悪しき王を討伐するつもりのようだ。
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