51 / 58
51.解かずとも
しおりを挟む
『わしを消す方法……そんなものがあるはずはない』
「そう思いたいなら、そう思っているがいい……だが、お前は消える。それだけは紛れもない事実だ」
『な、何っ……』
ズグヴェルさんのあまりの自信に、ドグマードも流石に焦っているようだ。
それ程の自信があるのだから、本当に何か方法はあるのだろう。
しかし、私にもそれはまったくわからなかった。
レリクス様から教えてもらったと言っていたが、彼がそんなことを言っていた覚えはまったくない。一体、彼は何を伝えていたのだろうか。
「シェリウェント、頼むぞ?」
「ええ、任せてください」
『な、何を……』
レリクス様と私の元に、セリティナが近づいて来た。
そのいつも通りの三人は、見た目通りではない。それぞれ、違う存在が体に宿っているのだ。
「さて、それでは……」
「ああ……」
次の瞬間、シェリウェントさんの体が光り輝いた。
それは恐らく、何かしらの魔法を行使しているのだろう。
それと同時に、ズグヴェルさんはレリクス様の体に左手を伸ばした。
そして、その手の平を彼の腹部につける。それは、何をしているのかよくわからない。
私がそんなことを思っていると、感覚に変化が起こった。
先程まで、私は意識の深層に押し込まれていた。だが、体に感覚が戻ってきたのだ。
それはつまり、ズグヴェルさんが私に体を返してくれたのだろう。しかし、このタイミングで体を返す意味はないと思うのだが。
「そのままじっとしていてください……」
「これは……」
私は、自らの左腕にとあるものが浮かんでいることに気づいた。
それは、痣である。背中の左肩の辺りにあったはずの痣が、左腕に移動していたのだ。
しかも、それだけではない。
その痣は、ゆっくりと腕を移動している。どうやら、その行き先は、レリクス様の体であるようだ。
「うっ……」
「ああっ……」
私とレリクス様は、ほぼ同時に声をあげた。
それが何故起こったのかは、なんとなく理解できる。なぜなら、目の前で私の体にあった痣が、レリクス様の体に移ったからだ。
「これは、一体……」
「封印を解く方法を私達は知りません。ですが、封印を移動させる方法は知っています」
「封印を移動させる? そんなことができるんですか?」
「ええ、宿主を変えるだけなので、それ程難しいことではありません」
私を長年悩ませていたはずの痣は、一瞬でレリクス様の元に移動していた。
封印を解く方法はわからない。だが、封印を移動させることはできる。それは、理解できた。
だが、それで何が起こるのだろうか。そう思いながら、私はレリクス様の方を見るのだった。
「そう思いたいなら、そう思っているがいい……だが、お前は消える。それだけは紛れもない事実だ」
『な、何っ……』
ズグヴェルさんのあまりの自信に、ドグマードも流石に焦っているようだ。
それ程の自信があるのだから、本当に何か方法はあるのだろう。
しかし、私にもそれはまったくわからなかった。
レリクス様から教えてもらったと言っていたが、彼がそんなことを言っていた覚えはまったくない。一体、彼は何を伝えていたのだろうか。
「シェリウェント、頼むぞ?」
「ええ、任せてください」
『な、何を……』
レリクス様と私の元に、セリティナが近づいて来た。
そのいつも通りの三人は、見た目通りではない。それぞれ、違う存在が体に宿っているのだ。
「さて、それでは……」
「ああ……」
次の瞬間、シェリウェントさんの体が光り輝いた。
それは恐らく、何かしらの魔法を行使しているのだろう。
それと同時に、ズグヴェルさんはレリクス様の体に左手を伸ばした。
そして、その手の平を彼の腹部につける。それは、何をしているのかよくわからない。
私がそんなことを思っていると、感覚に変化が起こった。
先程まで、私は意識の深層に押し込まれていた。だが、体に感覚が戻ってきたのだ。
それはつまり、ズグヴェルさんが私に体を返してくれたのだろう。しかし、このタイミングで体を返す意味はないと思うのだが。
「そのままじっとしていてください……」
「これは……」
私は、自らの左腕にとあるものが浮かんでいることに気づいた。
それは、痣である。背中の左肩の辺りにあったはずの痣が、左腕に移動していたのだ。
しかも、それだけではない。
その痣は、ゆっくりと腕を移動している。どうやら、その行き先は、レリクス様の体であるようだ。
「うっ……」
「ああっ……」
私とレリクス様は、ほぼ同時に声をあげた。
それが何故起こったのかは、なんとなく理解できる。なぜなら、目の前で私の体にあった痣が、レリクス様の体に移ったからだ。
「これは、一体……」
「封印を解く方法を私達は知りません。ですが、封印を移動させる方法は知っています」
「封印を移動させる? そんなことができるんですか?」
「ええ、宿主を変えるだけなので、それ程難しいことではありません」
私を長年悩ませていたはずの痣は、一瞬でレリクス様の元に移動していた。
封印を解く方法はわからない。だが、封印を移動させることはできる。それは、理解できた。
だが、それで何が起こるのだろうか。そう思いながら、私はレリクス様の方を見るのだった。
172
あなたにおすすめの小説
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる