「優秀な妹の相手は疲れるので平凡な姉で妥協したい」なんて言われて、受け入れると思っているんですか?

木山楽斗

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4.おかしな反応

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「えっと……」

 こちらまでゆっくりとやって来たオーディス様は、私の顔とテセネアの顔を交互に見た。
 それから彼は、疑問符を浮かべる。それは当然のことだろう。突然上級生が訪ねて来て、すぐに理解しろという方が無理な話だ。
 とはいえ、私の顔を見れば少しくらいはわかるのではないだろうか。二卵性であるためそっくりという訳ではないが、それでも私と彼女は双子だ。この距離で顔を見れば、連想くらいはするはずだ。

「……僕に何か用かな? もしかして、愛の告白とか」
「え?」

 オーディス様の口から出た言葉が予想外のものであったため、私は思わず固まった。
 彼は一体、何を言っているのだろうか。いやもちろん、そういう可能性もある訳だが、最初にそれが思い付くなんて驚きだ。
 いや、容姿が端麗な彼には、そういったことが何度も起こったと考えるべきだろうか。

「いや、すまない。冗談だ」
「冗談?」
「中々上手くいかないものだな。もう少し気の利いたことが言えれば良いと、常々思っているよ」

 そこでオーディス様は、苦笑いを浮かべた。
 先程の言葉はあくまで冗談、彼にそう言ってもらえて、私は少し落ち着いた。笑えない類の冗談ではあったが、そういうことなら納得はできる。
 しかし落ち着いてきたからか、彼の態度がなんだか不遜に思えてきた。馴れ馴れしいというかなんというか、彼の態度は軟派なように感じられる。

「……とりあえず、自己紹介しますね。私は、ラルーナと申します。ロディオン子爵家の長女です。こちらは、私の友人のテセネア・メルード子爵令嬢です」
「どうぞよろしくお願いします」

 気になることはあったが、私はとりあえず自分の素性を明かした。
 別にそれを隠す必要があるという訳でもない。むしろ警戒を解いてもらうためにも、必要なことであると思った。
 ただ、オーディス様の反応というものは薄い。私がリメルナの姉であると知っていたのだろうか。いやそれにしても反応がちぐはぐだ。

「それで僕に何の用かな?」
「えっと……リメルナのことで話がしたいんです」
「リメルナ嬢のことで? まあ別に構わないが、どうして君達がそんなことを聞くんだい?」
「え?」

 オーディス様の言葉に、私は混乱することになった。
 何故、彼は状況を理解していないのだろうか。リメルナの姉である私が話を聞きに来た。それは別に、おかしいことという訳ではないだろう。

 いやまさか、彼は先程の私の言葉を聞いていなかったのだろうか。よく考えてみれば、上の空だったような気もする。
 もしかしたら彼は、そこまで好感が持てる人物という訳でもないのかもしれない。私の頭には、そのような考えが過ってきていた。
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