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ウェリクス様の推測に対して、アルキーナ様ははっきりと反論した。
証拠がない。その主張で、彼の推測を跳ね返すつもりのようだ。
「アルキーナ嬢、お召し物が汚れているようですが、それはどうされたのですか?」
「え?」
「砂がついているようですね……今日は、外に出られたのですか?」
「……え、ええ、少しだけ、たまには庭を歩くのも悪くないと思いましたの」
「……その服装で、散歩ですか?」
「え、ええ、そうですわよ」
ウェリクス様は、アルキーナ様の服装を指摘した。
今、彼女が着ているのはきらびやかな服である。散歩するのに適しているかといえば、微妙な服装だろう。
「いつ散歩に?」
「朝早くですわ」
「おや、それで、着替えなかったのですか?」
「え?」
「その汚れている服に、使用人の誰も気づかず、着替えなかったというのでしょうか? 僕がわかったくらいですから、誰か一人くらい指摘するはずでしょう?」
「それは……」
アルキーナ様は、少し顔を歪めていた。
誰も気づかなかった。そう主張することもできるだろう。だが、それはあまりいいことではない。
その主張は、フェリンド家の令嬢は服が汚れていることも気づかず、使用人も指摘できないという主張だ。それを言葉にすれば、フェリンド家の評価を落としかねないだろう。
だから、迂闊に言葉が出なかった。あれでも、一応貴族の令嬢なので、その辺りの意識はあったのである。
「ええ、つまり、あなたは朝早くに外に出ていなかった。つい先程、外に出たのです。着替える暇もないくらいに直近、何をしに外に出ていたのですか?」
「それは……」
「中庭に出ていたのでしょう? 彼女を追い詰めていたのは、あなただ。彼女を裸足にして、中庭に立たせていたのでしょう? 違いますか?」
「うっ……」
ウェリクス様の気迫に、アルキーナ様は押されていた。
彼女は、まだ動かぬ証拠を突きつけられた訳ではない。いくらでも、言い訳はできるだろう。
だが、恐らくわかっているはずだ。いくら反論しても、ウェリクス様には敵わないと。それがわかっているから、何も言えなくなっているのではないだろうか。
「まだ、何も言えないようなら、決定的な証言を出しましょう。リメリアさん、今もう一度、あなたに問いかけさせてもらいます。あなたを陥れたのは、一体どなたなのでしょうか?」
「え?」
そこで、ウェリクス様は私に問いかけてきた。
ここで、私はやっと彼が余裕だった理由を理解する。彼には、絶対に逆転できる手段があったのだ。
私の証言。それは、絶対的な力を持っている。アルキーナ様がいくら言い訳しても、私の証言だけで全てをひっくり返すことができるのだ。
どうして、最初にその手を使わなかったのか。それも、なんとなく理解できる。先に彼女の心を折っておいた方が、話を通しやすいからだろう。
事実として、アルキーナ様は何も言えなくなっている。ウェリクス様のおかげで、私ははっきりと自分の意思を口にできるのだ。
「アルキーナ様です。私を中庭に立たせたのは、間違いなく彼女です」
「リメリア……あなた……」
私は、はっきりと口にした。
長年、苦しめられてきたアルキーナ様に、私は初めて反逆したのだ。
その言葉を聞いて、彼女は表情を歪める。その恐ろしい形相も、今はまったく怖くなかった。
証拠がない。その主張で、彼の推測を跳ね返すつもりのようだ。
「アルキーナ嬢、お召し物が汚れているようですが、それはどうされたのですか?」
「え?」
「砂がついているようですね……今日は、外に出られたのですか?」
「……え、ええ、少しだけ、たまには庭を歩くのも悪くないと思いましたの」
「……その服装で、散歩ですか?」
「え、ええ、そうですわよ」
ウェリクス様は、アルキーナ様の服装を指摘した。
今、彼女が着ているのはきらびやかな服である。散歩するのに適しているかといえば、微妙な服装だろう。
「いつ散歩に?」
「朝早くですわ」
「おや、それで、着替えなかったのですか?」
「え?」
「その汚れている服に、使用人の誰も気づかず、着替えなかったというのでしょうか? 僕がわかったくらいですから、誰か一人くらい指摘するはずでしょう?」
「それは……」
アルキーナ様は、少し顔を歪めていた。
誰も気づかなかった。そう主張することもできるだろう。だが、それはあまりいいことではない。
その主張は、フェリンド家の令嬢は服が汚れていることも気づかず、使用人も指摘できないという主張だ。それを言葉にすれば、フェリンド家の評価を落としかねないだろう。
だから、迂闊に言葉が出なかった。あれでも、一応貴族の令嬢なので、その辺りの意識はあったのである。
「ええ、つまり、あなたは朝早くに外に出ていなかった。つい先程、外に出たのです。着替える暇もないくらいに直近、何をしに外に出ていたのですか?」
「それは……」
「中庭に出ていたのでしょう? 彼女を追い詰めていたのは、あなただ。彼女を裸足にして、中庭に立たせていたのでしょう? 違いますか?」
「うっ……」
ウェリクス様の気迫に、アルキーナ様は押されていた。
彼女は、まだ動かぬ証拠を突きつけられた訳ではない。いくらでも、言い訳はできるだろう。
だが、恐らくわかっているはずだ。いくら反論しても、ウェリクス様には敵わないと。それがわかっているから、何も言えなくなっているのではないだろうか。
「まだ、何も言えないようなら、決定的な証言を出しましょう。リメリアさん、今もう一度、あなたに問いかけさせてもらいます。あなたを陥れたのは、一体どなたなのでしょうか?」
「え?」
そこで、ウェリクス様は私に問いかけてきた。
ここで、私はやっと彼が余裕だった理由を理解する。彼には、絶対に逆転できる手段があったのだ。
私の証言。それは、絶対的な力を持っている。アルキーナ様がいくら言い訳しても、私の証言だけで全てをひっくり返すことができるのだ。
どうして、最初にその手を使わなかったのか。それも、なんとなく理解できる。先に彼女の心を折っておいた方が、話を通しやすいからだろう。
事実として、アルキーナ様は何も言えなくなっている。ウェリクス様のおかげで、私ははっきりと自分の意思を口にできるのだ。
「アルキーナ様です。私を中庭に立たせたのは、間違いなく彼女です」
「リメリア……あなた……」
私は、はっきりと口にした。
長年、苦しめられてきたアルキーナ様に、私は初めて反逆したのだ。
その言葉を聞いて、彼女は表情を歪める。その恐ろしい形相も、今はまったく怖くなかった。
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