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とても驚くべきことだが、私は男爵家の地位を与えられることになった。
よくわからないが、レイドール様からそう言われたのだ。マルーク家は、貴族になった。これは、喜ぶべきことなのだろうか。
「リメリアさん!」
「え?」
そんな私の元に、ウェリクス様が慌てた様子でやって来た。
彼のその様子から、大体のことがわかる。きっと、彼も私が貴族になったことに驚いているのだろう。
「兄上から聞きましたが、貴族になったのは本当なのですか?」
「ええ、そうみたいです……」
「なんということでしょうか……ああ、僕はまた鈍かった。いや、この場合は、兄上の人が悪かったといってもいいのでしょうか……」
ウェリクス様は、何かを小声で呟いていた。
彼は、相当混乱しているようだ。その焦りが、表情に出ている。
「事情を説明しましょう……ですが、その前に一つだけ、あなたに聞いてもらいたいことがあるのです」
「聞いてもらいたいこと? なんですか?」
その焦りを振り払って、ウェリクス様は真剣な顔になった。
その顔から、これからする話がとても重要なものであることがわかる。一体、彼は何を話そうとしているのだろうか。
いや、なんとなくわかる。彼の顔を見ていると、その気持ちが少しだけ流れてきた。恐らく、彼はこれからとても大切なことを言ってくれるのだろう。
「……僕は、あなたのことを愛しています。あなたさえよければ、僕の妻になっていただけませんか?」
とても真っ直ぐに、ウェリクス様は告白してきた。
事前になんとなく察することができていたため、なんとか耐えられたが、その言葉はとても衝撃的なものだ。
彼が、私のことを愛している。それは、とても嬉しいことだった。私にとって、彼は憧れの存在だ。そんな人からの告白に、舞い上がらずにはいられない。
だが、ここで大声で喜ぶことはできない。あくまでも平静と保つために、私は少し深呼吸をする。
落ち着いて見えてきたのは、ウェリクス様の顔だった。
少し不安そうな、しかし同時に満足そうな顔をしている彼を見ていると、早く答えを出さなければならないと思った。
答えは既に決まっている。でも、それを口に出すことには少しだけ勇気が必要だった。その時に頭に過ったのは、先程判明した驚くべき事実だった。
私が貴族になったのは、いや私を貴族にしたのはこういうことが理由だったのだ。
確かに、レイドール様は少し人が悪い。でも、とてもいい人だ。私達の障害を少しでも取り払おうとしてくれたことには、感謝の気持ちしかない。
「はい――」
私は、ゆっくりと声を出す。
絞り出した声は少し掠れたものだったかもしれない。だから、もっと力を入れなければならないと思い、一呼吸置く。
「――喜んで」
私の言葉に、ウェリクス様は笑顔になってくれた。
その笑顔を見ているだけで、私は幸せな気持ちになるのだった。
よくわからないが、レイドール様からそう言われたのだ。マルーク家は、貴族になった。これは、喜ぶべきことなのだろうか。
「リメリアさん!」
「え?」
そんな私の元に、ウェリクス様が慌てた様子でやって来た。
彼のその様子から、大体のことがわかる。きっと、彼も私が貴族になったことに驚いているのだろう。
「兄上から聞きましたが、貴族になったのは本当なのですか?」
「ええ、そうみたいです……」
「なんということでしょうか……ああ、僕はまた鈍かった。いや、この場合は、兄上の人が悪かったといってもいいのでしょうか……」
ウェリクス様は、何かを小声で呟いていた。
彼は、相当混乱しているようだ。その焦りが、表情に出ている。
「事情を説明しましょう……ですが、その前に一つだけ、あなたに聞いてもらいたいことがあるのです」
「聞いてもらいたいこと? なんですか?」
その焦りを振り払って、ウェリクス様は真剣な顔になった。
その顔から、これからする話がとても重要なものであることがわかる。一体、彼は何を話そうとしているのだろうか。
いや、なんとなくわかる。彼の顔を見ていると、その気持ちが少しだけ流れてきた。恐らく、彼はこれからとても大切なことを言ってくれるのだろう。
「……僕は、あなたのことを愛しています。あなたさえよければ、僕の妻になっていただけませんか?」
とても真っ直ぐに、ウェリクス様は告白してきた。
事前になんとなく察することができていたため、なんとか耐えられたが、その言葉はとても衝撃的なものだ。
彼が、私のことを愛している。それは、とても嬉しいことだった。私にとって、彼は憧れの存在だ。そんな人からの告白に、舞い上がらずにはいられない。
だが、ここで大声で喜ぶことはできない。あくまでも平静と保つために、私は少し深呼吸をする。
落ち着いて見えてきたのは、ウェリクス様の顔だった。
少し不安そうな、しかし同時に満足そうな顔をしている彼を見ていると、早く答えを出さなければならないと思った。
答えは既に決まっている。でも、それを口に出すことには少しだけ勇気が必要だった。その時に頭に過ったのは、先程判明した驚くべき事実だった。
私が貴族になったのは、いや私を貴族にしたのはこういうことが理由だったのだ。
確かに、レイドール様は少し人が悪い。でも、とてもいい人だ。私達の障害を少しでも取り払おうとしてくれたことには、感謝の気持ちしかない。
「はい――」
私は、ゆっくりと声を出す。
絞り出した声は少し掠れたものだったかもしれない。だから、もっと力を入れなければならないと思い、一呼吸置く。
「――喜んで」
私の言葉に、ウェリクス様は笑顔になってくれた。
その笑顔を見ているだけで、私は幸せな気持ちになるのだった。
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