11 / 24
11.妙な気配
しおりを挟む
「……何かが変だ」
「変?」
散歩で村の外れまで来た所で、ロヴァイドがそのようなことを言い出した。
何かが変。それは恐らく、空気とかそういうことなのだろう。
長らく離れていたが、私には特に何も感じられない。だが、この村で暮らしているロヴァイドがこう言っているのだから、何かがおかしいのだろう。
「空気が揺れている……何か凶悪なものの気配を感じる」
「魔物がいるということ?」
「ああ、そうかもしれない。狩人に相談した方がいいか……」
「待って」
私は、目を瞑って魔力を集中させる。
村の周辺の様子を魔法で探知してみると、すぐにわかった。確かに凶悪な魔物が辺りにいるらしい。
「うん、魔物がいるみたい。しかも、結構厄介な部類かも」
「そうか……武器を持ってきておけばよかったな」
「ロヴァイド、戦えるの?」
「忘れたのか? 俺が剣や弓の訓練をしていたことを」
「それはそうだけど……」
「まあ、俺も成長したということさ」
「そうなんだ」
ロヴァイドがそういった魔物退治に参加する立場になっていたということは、知らなかった。
だが、考えてみれば特におかしいことではない。彼は剣や弓の訓練をしていた訳だし、熟練したなら狩りなどにも参加するということもあるはずだ。
そんな所にまで時が経ったことを感じながらも私は考える。恐らく、魔物は一体だ。厄介な魔物ではあるが、あれくらいなら私一人でもどうということはない。
「ロヴァイド、少しだけ待っていてくれる?」
「何をするつもりだ?」
「魔物を討伐してくる」
「一人じゃ危険だ」
「私も成長したんだよ?」
「む……」
ロヴァイドの制止を嬉しく思いながら、私は魔物がいる場所までの移動を開始する。
王都ではあまり使う機会がなかった浮遊魔法は、奇襲にとても有効だ。私は速度を上げて、魔物がいる場所を目指す。
目的の魔物は、すぐに見えて来た。それはそれ程までに、村に近づいて来ていたということだ。
ロヴァイドが気づいてくれてよかった。もし彼が気づいていなければ、何か被害が出ていたかもしれない。
「あの魔物、なんていったかな……まあ、なんでもいいか」
熊のような姿をしている魔物の名前は、すぐには思い出せなかった。だが、それはどうでもいいことだ。どのような魔物が相手でも、私は負けない。この程度の魔物に負けていては、聖女なんてやっていられないのだ。
「ギャシャアアッ!」
私は魔物に向かって炎の球を投げた。
それは魔物に当たり、その体を焼き尽くす。不意打ちであったため、魔物は躱すことすらできなかったようだ。案外早く終わって、私としても一安心である。
「変?」
散歩で村の外れまで来た所で、ロヴァイドがそのようなことを言い出した。
何かが変。それは恐らく、空気とかそういうことなのだろう。
長らく離れていたが、私には特に何も感じられない。だが、この村で暮らしているロヴァイドがこう言っているのだから、何かがおかしいのだろう。
「空気が揺れている……何か凶悪なものの気配を感じる」
「魔物がいるということ?」
「ああ、そうかもしれない。狩人に相談した方がいいか……」
「待って」
私は、目を瞑って魔力を集中させる。
村の周辺の様子を魔法で探知してみると、すぐにわかった。確かに凶悪な魔物が辺りにいるらしい。
「うん、魔物がいるみたい。しかも、結構厄介な部類かも」
「そうか……武器を持ってきておけばよかったな」
「ロヴァイド、戦えるの?」
「忘れたのか? 俺が剣や弓の訓練をしていたことを」
「それはそうだけど……」
「まあ、俺も成長したということさ」
「そうなんだ」
ロヴァイドがそういった魔物退治に参加する立場になっていたということは、知らなかった。
だが、考えてみれば特におかしいことではない。彼は剣や弓の訓練をしていた訳だし、熟練したなら狩りなどにも参加するということもあるはずだ。
そんな所にまで時が経ったことを感じながらも私は考える。恐らく、魔物は一体だ。厄介な魔物ではあるが、あれくらいなら私一人でもどうということはない。
「ロヴァイド、少しだけ待っていてくれる?」
「何をするつもりだ?」
「魔物を討伐してくる」
「一人じゃ危険だ」
「私も成長したんだよ?」
「む……」
ロヴァイドの制止を嬉しく思いながら、私は魔物がいる場所までの移動を開始する。
王都ではあまり使う機会がなかった浮遊魔法は、奇襲にとても有効だ。私は速度を上げて、魔物がいる場所を目指す。
目的の魔物は、すぐに見えて来た。それはそれ程までに、村に近づいて来ていたということだ。
ロヴァイドが気づいてくれてよかった。もし彼が気づいていなければ、何か被害が出ていたかもしれない。
「あの魔物、なんていったかな……まあ、なんでもいいか」
熊のような姿をしている魔物の名前は、すぐには思い出せなかった。だが、それはどうでもいいことだ。どのような魔物が相手でも、私は負けない。この程度の魔物に負けていては、聖女なんてやっていられないのだ。
「ギャシャアアッ!」
私は魔物に向かって炎の球を投げた。
それは魔物に当たり、その体を焼き尽くす。不意打ちであったため、魔物は躱すことすらできなかったようだ。案外早く終わって、私としても一安心である。
10
あなたにおすすめの小説
完結 私の人生に貴方は要らなくなった
音爽(ネソウ)
恋愛
同棲して3年が過ぎた。
女は将来に悩む、だが男は答えを出さないまま……
身を固める話になると毎回と聞こえない振りをする、そして傷つく彼女を見て男は満足そうに笑うのだ。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
【完結】婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。
ムラサメ
恋愛
「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」
婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。
泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。
「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」
汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。
「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。
一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。
自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。
ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。
「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」
圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました
Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。
「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」
元婚約者である王子はそう言い放った。
十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。
その沈黙には、理由があった。
その夜、王都を照らす奇跡の光。
枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。
「真の聖女が目覚めた」と——
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる