妹と王子殿下は両想いのようなので、私は身を引かせてもらいます。

木山楽斗

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9.公爵家を訪ねて

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「兄上、ラナシア嬢、一週間振りですね」
「ナゼルス様、おはようございます」

 私とジオルト様は、ローレント侯爵家の屋敷で諸々の準備を進めた後、ノーラン公爵家の屋敷に来ていた。
 私達を迎えてくれたのは、ナゼルス様だ。彼は人の良さそうな笑顔を浮かべている。ジオルト様も言っていたが、ナゼルス様に関しては間違いなくお人好しだといえるだろう。

「ナゼルス、そちらの進捗はどうだ?」
「ああ、兄上から頼まれていた工作は滞りなく終わっていますよ。いくつか問題はありましたが、なんとか解決しました」
「流石だな」

 ジオルト様は、何やらナゼルス様にも頼みごとをしていたようだ。
 王城を出発する前に、二人が話していたことは覚えている。その時に何か頼んでいたということなのだろう。てっきり今回の件とは、無関係な話をしているものだと思っていたのだが。

「諸々の根回しが順調に進んでいるというなら、計画は順当に進めて良いだろう。ヴォーラスがごねようとも、ノーラン公爵家の力があれば多少は強引なこともできる」
「そうですね。しかし、ヴォーラス殿下は意外にも嫌われているのですね。父上なども、僕の意見を聞き入れてくれましたし……」
「ふっ、あの男は母上に入れ込んでいる。その母上に対して苛烈な意思を示したヴォーラスなどは気に食わないのだろう」

 ナゼルス様の言葉に、ジオルト様はまた人が悪い笑みを浮かべていた。
 当然のことながら、ノーラン公爵に対しては複雑な思いを抱えているのだろう。彼の表情からは、それが読み取れる。

「夫人はどうだった?」
「母上も概ね賛同してくれています」
「まああの方は、やましい欲望で平民を守ろうとする父上と違い、真っ当にお優しい方だからな。ヴォーラスのような思想は看過できないのだろう」

 ノーラン公爵に対して辛辣なことを言いながら、ジオルト様はその表情を平坦に戻した。
 どうやらノーラン公爵夫人に関しては、尊敬の念を抱いているようだ。ジオルト様が認知された背景には夫人も関係しているのだろうし、その時色々とあったのかもしれない。

 何はともあれ、公爵夫妻が今回の作戦に協力してくれるというなら、こちらとしてはありがたい限りだ。
 ローレント侯爵家に加えて、ノーラン公爵家という後ろ盾を手に入れれたならば、大抵のことに対策ができるといえる。

「それから、アルベルト殿下やイフェルグ殿下も……」
「まああの二人に関しても、ヴォーラスは邪魔者だろうからな」

 どうやらさらに、ヴォーラス殿下以外の王子達も協力してくれるようだ。
 そこまで協力が得られるならば、最早無敵とさえいえる。いつの間にか私の周りには、盤石な構えができていた。
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